やっと着いた 暗い廃墟となった研究所。
少なからずあのことの約束の品。 悲しい思い出しか詰まってないが、 どうしても私はあのクシを 見つけなければならなかった。
壁がボロボロと崩れ落ちる音が聞こえる きっともう後戻りはできないであろう。 私は塞がる廊下を 無理やり進んだ。
壁が崩れ落ちたものを 素手で無理矢理どけていたので、 手はいつの間にか傷だらけで 血がダラダラと出ていた。
ただガムシャラに前を進み続ける私。 壁が落ち、塞がってゆく出口。 裏口はもちろんあり、確認したが とてもじゃないけど 入れそうでは無かった。
白衣が血で染る中、 私はひとつの部屋を見つけた。 「手術室」と書かれている部屋だった
何かがピンっと来た。 気づいたら私は嫌な思い出が 詰まったこの部屋を開けてしまった。
電気は消えていて、 部屋は少し薄気味悪い感じがした。
私はあるものを見つけた瞬間 走って傍によりそれを ぎゅっと抱きしめた。
少し薄汚れてしまっているクシ。 それを持っている私の手を少し汚れた。 自分の手から出ている血液が つかないように、慎重に持った。
だんだんと壁や天井が崩れ落ちる音が 聞こえる。 そして私の頭上も____
見ると私は押し飛ばされていて、 軽く壁に背中を打った。
咄嗟に出たのは彼の名前。 あぁ、呼ばないって決めてたのに。 今はそんなことを考えてる 場合ではないか、 だって彼は、 私の代わりに落ちた天井の下敷きになってしまっているから。
三途
はぁはぁと、 彼の荒い息遣いが聞こえる。 そりゃ苦しいはずだ。 だって下敷きになっているから
三途
三途
彼の心音が小さくなっていく。 それと同時に私の昔の記憶も 蘇ってゆく。 彼との甘い記憶 どんな風に呼び会ってたか、 どんなふうに笑ったか、 どんな風に話してたか、
彼の命の灯りが消えてゆくと共に 私の彼との思い出が どんどん溢れかえってゆく。
三途
三途
三途
彼の声が薄れてゆく。 なのに私を安心させようと 頑張って笑って見せた。
三途
三途
三途
三途
三途
三途
蘭
凪
三途
三途
蘭
と、短い言葉を交わし、 蘭は私を担いでその場を去ろうとした。 もうすぐに壁や天井が 落ちてきそうだった。
凪
蘭
珍しく蘭が声を荒らげた。 いつもニコニコ笑っていた蘭がだ。
蘭
蘭は手術室から出る扉へと 走っていった。 蘭の肩に担がれていたから、 はるちよがどんな顔をしているのかが よく見えた。 安心したかの様に笑っていた。
凪
凪
凪
蘭
私が暴れてもビクともせず 走り続け、 どんどんはるちよがいた部屋から 遠ざかって行った。
凪
とうとう私から出たとは思えない程の、 弱々しい言葉が出てきてしまった。 その言葉も気にせず、蘭は出られる場所 をさがし、どんどん明るい空へ 向かっていった。
最後には 自分の名前を完全に思い出した。 あぁ、私が好きなのはやっぱり 最初から君だった。 記憶が無い間もずっと愛し続けていたのは…… はるちよだったよ。
コメント
6件
はるちよぉぉぉぉぉ! 途中から名前が凪になってんの 好きすぎる...! いつも最高な作品をありがとうございます🥹🫶🏻
何回出会っても最愛の人は____ さぁさぁ多分次で最終回! もうすぐ垢も消して辞めちゃう子がいるので早めに投稿したい(( っていう感じです(