どうして、毎度こうなってしまうのだろう
H.
初兎ちゃんは指ひとつ動かさない
彼の呼吸音は聞こえるけれど
今にも消えそうな微かなものだった
そんな時、初兎ちゃんの胸がきらっと光った
よく見ると初兎ちゃんの、胸元の紫色のネックレスが
太陽を反射して光っていることがわかった
あれ、このネックレス…………
H.
H.
抑えてた涙が溢れ出てきた
僕は、本当に無力だ
Xを乗っ取られて、ifくんが刺されて
初兎ちゃんもこんな状態になってしまって……
なんでこうなったの……
いや、なんでじゃない……本当はわかっている
全部、僕のせいだ。
僕がお父さんの望むような完璧な人間になれていれば
Xなんて乗っ取られなかった
そうなれば、ifくんが傷つくことも
初兎ちゃんが傷つくことも避けられた筈だ
H.
H.
瞳から光が喪失していく
そんな僕は、ふらふらと高台へと足を進めた
ふらふらとした足取りだったが
なんとか、高台に行くことができた
H.
今のお父さんが、望むのは僕の不幸
それが叶わない限り、お父さんは
僕の大切なメンバーを傷つけ続ける、これからもきっと。
お父さんはわかっているんだ
僕になにかするよりも、メンバーになにかした方が
僕が傷つくってことに、
つまり、メンバーが傷つくられないようにするには
僕が消える必要があるのかもね
だけど……
H.
でも、メンバーが傷つく方がもっといやだ
H.
僕はゆっくりと柵に足をかけていく
メンバーとありふれた日常のなかでもっと、笑っていたかった
でも、そんな願いは今日でおしまい
だってもう、叶わないんだから
H.
せめて、僕のこと忘れないでね
ひゅん、そんな風を裂く音とともに
僕の体は地面に落ちて行った
リリン
リリン
リリン
𝐧𝐞𝐱𝐭…♡1000
コメント
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楽しみすぎます! 久々に読んで感動です!