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【参加型】Stellar Symphony〜sky-high編〜

第8話 - 第8話　気晴らしと

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2025年11月13日

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宵月シノ

下の階から、慌ただしい足音が聞こえてくる。 ……耳を澄ませてみる。おそらく、3人だ。

段々と近くなってきた足音。扉の前でそれが収まったと思うと、今度は扉を勢いよく開けられた。

一之瀬理鈴

──天音さんっ！！！

天音ゆい

……あ、皆。

天音ゆい

やっぱ来たんだね。

白峰ユウ

……それで？

白峰ユウ

練習のしすぎで倒れたって言うの、本当？

天音ゆい

本当だよ。

天音ゆい

そうじゃなきゃ倒れたなんて言わない。

天月芦愛

練習のしすぎ……って、

天月芦愛

倒れるくらい無理してたの？大丈夫？
どこか痛むところとか──

天音ゆい

芦愛、やけに心配性だね。
なんかお母さんみたい。

天月芦愛

そりゃ心配にもなるよ……！

一之瀬理鈴

あはは……

一之瀬理鈴

でも、天月さんの気持ち、僕は分かるよ。

一之瀬理鈴

メンバーが何の前触れもなしに突然倒れたとか言われたら、そりゃあ驚くし。

一之瀬理鈴

……あんなこと言っちゃった僕のせい、だよね？

理鈴は少し俯きがちにそう答える。しかし、ゆいはそんな理鈴の言葉を食い気味に否定した。

天音ゆい

違う。そんなことない。

天音ゆい

これはあーしが勝手に倒れただけ。
だから理鈴は何も悪くない。

一之瀬理鈴

そっか……。

しかし、理鈴の表情が晴れることはない。心のどこかで、それに納得していないような様子だった。

白峰ユウ

……それで、もう1回事情を聞いてもいい？

天音ゆい

いいけど、そんな面白いものとかないよ。

天音ゆい

あーしが練習のしすぎで倒れた。
本当にたったそれだけ。

天音ゆい

はぁ〜。親バカなんだから……。
そんなに大事でもないのに。

天月芦愛

……そんなこと言わないで。
皆、大事なメンバーなんだよ？

天月芦愛

バンドと真剣に向き合うのはいいことだけど、自分を粗末に扱わないでほしいなぁ……。

天音ゆい

……。

天月芦愛

……な、何様だよって感じだよね！
ごめんね！

天月芦愛

でも私は、ゆいちゃんが倒れたって聞いた時、すごく胸が苦しかった……。

一之瀬理鈴

僕も、驚いたし辛かったよ。
皆そうなんじゃない？

理鈴の言葉に、ユウは無言でこくこくと頷く。そして、口を開いた。

白峰ユウ

誰だって、仲間が自分のことを粗末に扱っているのを見ていい気はしない。

天音ゆい

そっか。

天音ゆい

ま、あーしはもう大丈夫だから！
今すんごい元気だし？

天音ゆい

何なら今日練習再開してもいい。

一之瀬理鈴

……。

天月芦愛

うーん……。

白峰ユウ

ダメか……。

天音ゆい

え？何？

何とも言えない反応を示す3人を前にして、ゆいは困惑の表情を浮かべた。

すると、芦愛がこう切り出す。

天月芦愛

……ダメー！

天月芦愛

このまま練習に戻ったら、ゆいちゃん絶対また倒れちゃうよ！

天音ゆい

そんなこと──

天月芦愛

ある！絶対ある！

天月芦愛

……多分！

天音ゆい

（多分絶対あるって何……？）

天月芦愛

1日だけでいいから、ゆっくり羽を伸ばす機会とか欲しくない？

天音ゆい

あーしは練習しないと……

理鈴と交わした約束のために。ゆいは心の中でそう付け足したが、芦愛は今の状態のまま練習に向かおうとするゆいを良くは思わなかった。

天月芦愛

今のゆいちゃんは絶対に休まないと、いつか体を壊しちゃうよ。

天月芦愛

ステラフェスに向けて練習してるのに、練習のせいで体を壊してステラフェスに出られなくなったら本末転倒だよ！

天音ゆい

……そっ、か。

天月芦愛

1日だけでもいいから休もう、ね？

白峰ユウ

確かに、いい案かもしれない。

白峰ユウ

……間違いなく、今のゆいには休憩する時間が必要だろうな。

一之瀬理鈴

僕も、いいと思うよ。

そしてその翌日。電車内で、声量を控えながらも芦愛は3人に話しかけていた。

天月芦愛

皆でライブとかイベント以外で遠出なんて久しぶりだよね。

天月芦愛

最後に行ったの……半年前くらい？
皆でプラネタリウムとか行ったよね！

天音ゆい

うわ、懐かし……。

天音ゆい

あーしが途中で寝てたやつ？

一之瀬理鈴

そういえば寝てたよね……。

白峰ユウ

確かに、プラネタリウムの中って暗いし眠たくなるけど……。

天音ゆい

でも、やっぱ綺麗だなぁって思った。

天月芦愛

皆で行けてよかったって思ったよ。

天月芦愛

また行ってみたいねー。

一之瀬理鈴

うん。いつ行く？

天音ゆい

まだ目的地着いてないのに、もう次の予定の話すんの？

一之瀬理鈴

え、あ、えっと……。

一之瀬理鈴

僕もあの時は楽しかったし、また皆で行きたいって気持ちが強くて……。

白峰ユウ

まぁ、また皆で行くのは悪くないかもな。

白峰ユウ

……ただ、その話は帰ってきてからにしよう。

白峰ユウ

とりあえず、今日は今日で楽しむ。
それでどう？

天音ゆい

賛成。

天月芦愛

そうだね。楽しみだなぁ〜。

一之瀬理鈴

早とちりしちゃってごめんね……。
でも、楽しみ。

それぞれ今日に期待を寄せていた。その時、車内にアナウンスが入り、4人はいつの間にか目的の駅のすぐ近くにまで向かっていたことに気づいた。

「次は〜××駅〜××駅〜」

天音ゆい

……あ、そろそろじゃん。

一之瀬理鈴

そうだね。楽しみだなぁ……。

一之瀬理鈴

……天音さん、到着しても練習したいとか言い出したら僕怒るからね？

天音ゆい

分かってるって。

天音ゆい

ベースも持ってきてないし、遊ぶ準備バッチリだから大丈夫。

天月芦愛

ゆいちゃんって切り替え早いよね。

天月芦愛

昨日までは練習したがってたけど、
今日はもう遊ぶ気満々だし。

天月芦愛

……まぁ、でもそれでよかった！

白峰ユウ

提案した側からすれば、楽しみにしてくれている方が嬉しいしな。

天音ゆい

……皆のためにも、あーしは今日精一杯遊ぶ。

天音ゆい

はしゃぎすぎて皆疲れ果てちゃうかもよ？

白峰ユウ

俺達に迷惑かけるのはいいとして、他の人に迷惑かけるようなことはしないように。

白峰ユウ

……いいね？

天音ゆい

もちろん、分かってるって。

そのような平和な会話を交わしながら、4人は電車を降り駅のホームへと降り立った。

天音ゆい

っはー！！

天音ゆい

やっと着いた〜、思ったより時間かかったね。

天音ゆい

ねぇ芦愛、ここからその目的地までどんくらいかかるの？

天月芦愛

あと……歩いて10分くらいかな？

天音ゆい

思ったよりかかるし……

天音ゆい

電車乗ってるだけでも疲れたー、ちょっと休憩ついでに飲み物買っていい？

一之瀬理鈴

ふふっ、まだ目的地に着いてないよ？

天音ゆい

まぁまぁいーじゃん。

天月芦愛

あ、自販機こっちだよ。
結構レパートリーあるね。

天音ゆい

何がいいかな〜。

遠くで何やら楽しそうに会話を交わしている3人を見ながら、ユウは自分のもう1つの目的を思い返していた。

白峰ユウ

（……まずはもちろん、休むこと。）

白峰ユウ

（ゆいもそうだし、俺自身も羽を伸ばせればいいけど──。）

白峰ユウ

（2つ目は……）

ユウの脳裏に、あの日見た罵詈雑言の数々が思い浮かんだ。

白峰ユウ

（何か、証明する方法……）

天月芦愛

ユウくーん、大丈夫〜？

天月芦愛

もしかして疲れたとか？

白峰ユウ

いや……大丈夫。

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宵月シノ

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