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冥界の守護者

第7話 - 900年分の

247

2025年04月29日

#司類

#冬彰

#寧々えむ

#こは杏

#瑞類

あかまる🍓🐾໊@テスト

書庫

アキト

(えっと……あぁ、あった。これか？)

アキト

(うわ、こんな本読むのかよ…分厚…)

アキト

(まぁいいや。見つけたしさっさと戻ろ。)

アキト

…

アキト

……俺になんか用か？

…あはっ、流石。不意打ちは無理か。

アキト

お前…

アキト

(ピンク色の髪、サイドテール、特徴的なまつ毛…)

アキト

へぇ、お前が噂のアキヤマさん？

お、ボクのこと知ってるんだ！

そりゃそうか。君はトウヤくんのバディだもんね。

袖から短剣を手に取り、悪霊の背後に回ろうと動いた。

アキト

！

すごい！本当に消えちゃうみたいに動くんだね！

アキト

(これは…)

動かそうとしても、何かに縛られているかのように両腕が動かない。

アキト

ふぅん……悪霊ってのはみんなコレ使えるのか？

みんなじゃないよ〜！ボクらだけ♪

アキト

へぇ。で、悪霊サンがこんな所に何の用だ？

ボクね、君に用があって来たんだ〜

アキト

俺に？

そう！

シノノメ･アキトくん。死神なんかやめて、ボクらと同じ目的のために戦わない？

アキト

…お前らの目的って、あれか？生者と死者を反転させるってやつ。

その通り！

ボクらと手を組めば、生き返れるんだよ！そして反対に、生者はみんな残らず死ぬ！

どう？最高じゃない？

アキト

……

ボクらの願いが叶えば、死神のみんなも生き返られる。トウヤくんもだよ。

トウヤくんと、同じ世界を生きることが出来るんだよ。

アキト

へぇ…

アキト

そりゃあ魅力的な提案だ。悪くない。

でしょ！

アキト

いいぜ、その話乗ってやるよ。

ふふ、君ならそう言ってくれると思った！じゃあ行こうか！

パッ

腕を拘束していた何かが消え、身動きが取れるようになった。

ドンッ！

その瞬間、素早く悪霊を押し倒し、その上に乗った。

！

アキト

お生憎様。寿命のある生をトウヤと生きるなんて御免だね。

アキト

俺は生き返りなんか興味無い。ここで、永遠にトウヤと居られればそれでいい。

……酷いなぁ、騙すなんて。

君はボクと同じだと思ったのに。…ガッカリだよ。

グシュッ！！

書庫

司

トウヤっ！アキトは…

司

！

トウヤは、大量の鮮血が飛び散った本棚の下の方に向かって、声を掛けていた。

司

(あれは…)

トウヤ

ルイさん！！アキト…大量出血により気は失っていますが、まだ大丈夫です！

ルイ

あぁ、すぐに医務室へ！カイトさんが待機してくれているはずだよ。

アン

！

コハネ

すごい血…

アン

悪霊は？！絶対に斬り刻む！！

コハネ

多分、もう逃げたんじゃないかな…気配も無いし…

司

あぁ。窓が割れているし、あそこから逃げたんだろう。

司

それより、先にアキトだ！オレたちも医務室へ行こう！

医務室

カイト

……うん、もう大丈夫。

カイト

見た目は派手だったけど、致命傷では無かったみたいだ。傷も浅かったよ。

司

そ、そうですか！

アン

良かった…

トウヤ

……何故、悪霊がここに、

カイト

うん…そこなんだよね、

カイト

普通の悪霊は、場所すら知らないはず。

カイト

…元死神なら、話は別だけど。

コハネ

元死神って…

ルイ

……ミズキ、

司

！

ネネ

…

カイト

少し作戦会議を早めよう。みんな、会議室に。

トウヤ

すみません！

トウヤ

あの…俺は、アキトの傍に居させて貰えませんか？

トウヤ

勝手は承知ですが、どうか…

カイト

分かった、構わないよ。会議の内容は後でルイくんから報告してもらおう。

カイト

トウヤくんは傍に居てあげて。

トウヤ

ありがとうございます…！

会議室

エム

シノノノノメくん…大丈夫かな…

司

あぁ…

司

アキトでも勝てないとは…アキヤマとは、そんなに強いのか？

ルイ

…『守護者』として、とても優秀だった。

ルイ

けれど、それだけじゃない。悪霊になってからは、数え切れないほどの魂を食らって、更に力をつけている。

ルイ

正直、僕も今のミズキに勝てるかは、あまり自信が無い。

司

な…

カイト

今後しばらくは、単独行動を禁止とする。

カイト

必ずバディと一緒に行動してね。

カイト

あとはここの警備についてかな。1人の悪霊に知られているということは、他にも広まっている可能性が高い。

カイト

しばらくは当番制で見回りをしてもらうことにしよう。

コハネ

分かりました。

カイト

それと、アキトくんが回復するまで、2人が担当していた区域をみんなで分担して担当してもらう。

カイト

振り分けについては後で詳しく説明するよ。

カイト

あとは……謝らせて欲しい。

カイト

ここの管理は僕の責任だ。悪霊を入れてしまったこと…本当にすまない。

カイト

また2人にも謝罪するけど、今後一切、今日みたいなことは起こさないと誓う。

カイト

…本当にすまなかった。

司

(カイトさん…)

カイト

さて、何か質問や意見はあるかい？

カイト

……特に無いなら、今日の会議はこれで終わりだよ。

カイト

新しい警備体制については、明日にみんなに詳細を伝えるよ。今日はこれで解散だ。各自部屋に戻るように。

司

もう3日か、

ルイ

…そうだね。

エム

アオヤギくん…ずっと医務室にいるよ。

アン

うん。ご飯とか持っていったんだけど、トウヤ多分ずっと寝てない。

ネネ

顔も…かなりやつれてた。無理もないと思うけど…

コハネ

…心配だよね、やっぱり…

司

……ちょっと、もう一度見に行ってみる。

ルイ

僕も行くよ。

アン

あ、私たちも！！

トウヤ

(俺があの時…ルイさんを追いかけなければ、)

トウヤ

(いいや。アキトに本を探しに行ってもらわなければ…)

トウヤ

(俺が…離れなければ…)

トウヤ

(なんで……なんであの時、傍にいなかった…！)

トウヤ

(どうして…)

ルイ

トウヤくん、

トウヤ

あ…ルイさん、

司

アキトは…まだ目覚めんか。

トウヤ

あぁ……

アン

トウヤ…

コハネ

…

エム

シノノノノメくん…

ネネ

「シノノメ」ね…

トウヤ

(頼む……アキト…)

トウヤ

アキト…

アキト

…ﾊﾟﾁｯ

トウヤ

！！！

ルイ

！！

トウヤ

アキトっ！！！

アキト

うおっ？！

トウヤ

アキト…！！！アキト！！すまない！！本当に……良かった…！！

アン

あ、アキトぉぉ！！！

コハネ

シノノメくんっ！！

司

アキトぉぉ！！！

エム

シノノノノメくーーーん！！！

アキト

ち、ちょっと待て！！急に何なんだよ？！

ルイ

ちょっとみんな。気持ちは分かるけど、一応病み上がりなんだから。

トウヤ

そ、そうだな！すまない、アキト！

トウヤ

だが、本当に良かった……もう一生目覚めなかったら、どうしようかと…！

アキト

いや…はぁ？

アキト

そもそも、お前誰だよ。

トウヤ

……え？

アキト

つか、ここどこだ？まだ仕事残ってんだけど。

司

な……う、嘘だろう？アキト？

アン

あ、アキト？トウヤだよ！？アキトのバディ！！

アキト

はぁ？バディ？なんだそりゃ

トウヤ

あ…アキト…

ルイ

アキトくん…ここは冥界だよ。君は死んで、死神をしている。…これも分からない？

アキト

はぁ？冥界？死神？

ルイ

そう。ここは死後の世界だよ。

アキト

……ふぅん、

アキト

そうか…俺、死んだのか…

トウヤ

(……嘘だ、)

アキト

というか、死神ってなんだ？冥界って…地獄じゃねぇのか？

ルイ

ここは天国にも地獄にも相応しくないと判断された魂が来る場所さ。

アキト

は？

アキト

どう考えたって、俺は地獄行きだっただろうが！判断した奴連れてこい！！

トウヤ

(嘘だ……)

トウヤ

(あの時のアキトだ……初めて、ここに来た時の……)

ルイ

…ネネ。カイトさんを呼んできてくれ。

ネネ

わ、分かった！

カイト

これは……不味いね。

カイト

原因は不明だけど…今のアキトくんは、死神をしていた900年間の記憶が全くない状態だ。

カイト

実質……最大戦力が、無力化されたに近い。

司

無力化って…？

ルイ

トウヤくんとアキトくんは、バディになるまでかなり時間がかかったんだよ。

アン

え、そうなんですか？！

トウヤ

あぁ。初対面では殺されかけた。

司

何っ？！

カイト

そう…だから、今のアキトくんが戦力になるかは期待出来ない。

カイト

本当にやってくれたよ…最大戦力だったのに…！

司

…

カイト

…すまない。少し今後のことを考えてくるよ。

エム

カイトさん……すごくショボボンだったね…

コハネ

うん…ずっと忙しそう、

ネネ

通常業務に加え、悪霊のことも色々考えなきゃいけないからね、

アン

王様って大変だよね…

司

……トウヤ、

トウヤ

…みんなは通常通り、業務に戻ってくれ。

トウヤ

アキトの記憶は責任持って、俺が取り戻す。

ルイ

1人でかい？

トウヤ

バディは俺なんです。それに、ルイさんの手まで煩わせるわけにはいきません。

トウヤ

俺にはアキトに関して、900年分の知識があります。

トウヤ

だから大丈夫です。

司

(900年分の思い出を失って…大丈夫なわけないだろうに、)

司

(悪霊……絶対に許すことが出来なさそうだ。)

トウヤ

アキト。

アキト

あー…お前…えっと、アオヤギ･トウヤだっけ？

トウヤ

あぁ。トウヤと呼んでくれ。

アキト

流石に初対面で呼び捨てはしねぇよ。

アキト

あ、いや…初対面じゃ無いんだっけ？

トウヤ

…

トウヤ

信じられないかもしれないが、俺とアキトはバディになって、もう900年経つんだ。

アキト

は？900年？

トウヤ

あぁ。だから…誰よりもアキトのことを知っている自信はある。

アキト

へぇ？そう。

アキト

じゃ、俺の職業知ってるか？

トウヤ

もちろん。踊り子で暗殺者だろう。

アキト

！

アキト

じゃあ、俺の年齢と家族構成は？

トウヤ

アキトは享年19歳で、お姉さんが1人。お父さんはアキトが子供の頃に亡くなり、それが原因で家族と離れ離れになってしまった。

トウヤ

1人で生きていく中でアキトが身に付けたのが、踊りと暗殺。初めて暗殺した人は34歳の男性で、踊りと暗殺の技術は全て我流。

トウヤ

踊り子になったのは、有名になれば離れ離れになった家族に見つけてもらえると思ったから。踊り子と並行して暗殺者になったのは、暗殺でもらえる報酬金が多いから。

トウヤ

金が沢山必要だった理由は…

アキト

も、もういい！！！普通にキモイ！！

トウヤ

？！

アキト

あー…鳥肌立った…マジで全部知ってんのか？

トウヤ

あぁ、全てアキトが教えてくれた。

アキト

ふぅん…まぁ、それだけ知ってる時点で、嘘はついてねぇって分かる。

トウヤ

それは良かった。

アキト

お前は俺のこと知ってるみたいだし、お前のこと教えてくれよ。

アキト

綺麗な顔してるけど、お前も俺と似たような職種だったか？

トウヤ

俺は……

トウヤ

……とある国の、国王だった。

アキト

…王？

トウヤ

あぁ。

アキト

へぇ……王サマか…ふぅん…

ドンッ！！

勢いよく飛び掛られ、咄嗟にそれを受け止めたが、勢いのまま床に背中を打ち付けた。

トウヤ

っ

アキト

あ？…今の受け止めれんのか、

トウヤ

あぁ…予測済みだったから。

トウヤ

アキトが王族に嫌悪を抱いているのも、憎悪を抱いているのも知っている。

トウヤ

…その理由も、理解している。

アキト

……なのに、なんで素直に国王だって答えた？

トウヤ

俺はアキトに嘘をつかない。

アキト

…変な奴。

アキトが俺の襟から手を離し、俺の上から降りた。

アキト

やっぱりお前、ちょっと気持ち悪いわ。

トウヤ

うっ…

アキト

出てけよ。俺は王族は嫌いなんだ。

トウヤ

……分かった。

トウヤ

アキトが…そう言うのなら、

トウヤ

はぁ…、

トウヤ

(やっぱりキツいな…)

ルイ

トウヤくん。

トウヤ

あ…

ルイ

…どうだった？

トウヤ

…あの時のアキトです。やはり、俺に嫌悪を抱いています。

ルイ

そうかい…

ルイ

カイトさんが教えてくれたよ。アキトくんの記憶を戻す方法。

トウヤ

！！

ルイ

「記憶を取り戻したいと、心から強く思うこと」らしい。

トウヤ

心から…強く…

ルイ

…それが出来るのは、きっと君だけだよ。

ルイ

もちろん僕もできる限りの協力はする。ただ、アキトくんに強くそう思わせられるのは、恐らくトウヤくんだけだ。

トウヤ

…ありがとうございます。

トウヤ

実は、部屋から追い出されてしまったんですけど…やっぱり、もう一度会いに行ってみます。

ルイ

あぁ。

アキト

(貴族は嫌いだ。アイツらに人の心なんか無い。)

アキト

(王族も嫌いだ。アイツらは国民のためとか言いながら、私腹を肥やすことしか考えてない。)

アキト

(嘘つきも嫌いだ。誰も信用なんか出来ない。信用できるのは自分だけ。)

アキト

(俺はずっと、1人で生きてきた…バディだかなんだか知らねぇが、俺は1人でいい。)

アキト

(それが1番安全。自分が傷つかないための、自衛…)

アキト

(寂しくなんかない。ずっとそう生きてきたから、)

コンコン

アキト

……誰だ？

「アキト。トウヤだ。」

アキト

帰れ

「そう言わずに。お茶を持ってきたんだ。」

アキト

…茶？

アキト

王サマが茶って言うから、紅茶かと思ったが…

トウヤ

アキトが、好きだと教えてくれたお茶だ。

トウヤ

寝る前によく淹れてくれる。…温かくて優しくて、俺も大好きなんだ。

アキト

ふぅん…

アキト

お前、王サマなのに茶なんか淹れれんの？

トウヤ

正直、全然ダメだった。初めて淹れた時は、下手すぎてアキトに酷く笑われたな。

トウヤ

それからアキトが淹れ方を教えてくれたんだ。

アキト

へぇ…

トウヤ

温かい内に、飲んでみてほしい。

アキト

……俺のこと知ってんなら、何が入ってるのか分かんねぇもんを俺が飲むわけないって、分かってるよな？

トウヤ

あぁ、もちろん。

アキト

なのに、なんで淹れた？

トウヤ

俺のアキトとの、大切な思い出だから。

アキト

思い出ねぇ…

アキト

悪いが、他人の淹れた茶は飲めねぇんだ。だから、それも要らない。

トウヤ

そうか…

トウヤ

アキト、怪我はもう何ともないのか？

アキト

怪我？別にどこも痛くねぇけど。

トウヤ

そうか。なら、少し散歩しないか？

冥界の守護者

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まさかの展開！？でも、トウヤならアキトの記憶を戻せそう！続き楽しみにしてます！

アキト…記憶がｧｧ……！トウヤくんって、貴族だったんだ？！( ミズキが持ち掛けた提案に乗った時めちゃくちゃびっくりしました… トウヤくん、アキトの事いっぱい知ってるな〜さすが900年間の仲続きが楽しみです！

あかまる🍓🐾໊@テスト

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