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冥界の守護者

第8話 - ただいま

166

2025年04月30日

#司類

#冬彰

#寧々えむ

#こは杏

#瑞類

あかまる🍓🐾໊

庭園

トウヤ

綺麗な場所だろう。

アキト

あぁ…たしかに。

トウヤ

あ…アキト。あの花は何色に見える？

アキト

ん？……真っ白で綺麗なやつか？

トウヤ

あぁ、それだ。

トウヤ

その花は、見る人によって色が違うんだ。

アキト

へぇ、変わってんな。

アキト

お前は何色に見えるんだ？

トウヤ

ん？ふふ、俺には鮮烈な紅色に見える。

アキト

ふぅん…お前、なんで嬉しそうなんだよ？

トウヤ

アキトが俺に興味を持ってくれたのが嬉しいんだ。

アキト

…そうかよ。

アキト

(やっぱ変な奴…)

トウヤ

あ…俺は、この花が1番好きなんだ。

アキト

へぇ

トウヤ

ふふ、この花で、アキトが初めて俺に花冠を作ってくれてな。

トウヤ

本当に綺麗で、嬉しくて…俺もアキトに教わって、一緒に作った、大切な思い出の花だ。

アキト

……そう。

トウヤ

少し休憩しよう。そこにベンチがある。

アキト

…

トウヤ

少し休憩したら、俺たちの部屋へ行こう。

アキト

…記憶ない俺なのに、なんでお前はそんなに楽しそうなんだ？

アキト

お前が語ってる思い出ってのは、俺には…何一つ記憶にないのに。

アキト

俺は…お前の言う「アキト」じゃないだろ。

トウヤ

アキトはアキトに決まってるだろう？

トウヤ

記憶が無くたって、アキトには変わりない。ずっと、大切な俺のバディだ。

トウヤ

それに、今のアキトとも初対面じゃないしな。初めて会った時はこんな感じだったから。

トウヤ

アキトともう一度、初めから思い出を作れると思えばいい。

アキト

……変なの、

トウヤ

照れ隠しか。

アキト

ふざけんな

トウヤ

ふふ、すまない。

アキト

(まぁ、でも…王族っていっても、そういう嫌味な感じはしないしな…)

アキト

(って、危ない。全部演技かもしれねぇのに、絆されそうになった。)

アキト

(…俺はもう誰も信用しない。)

部屋

アキト

へぇ…相部屋なんだ、

トウヤ

あぁ。バディだからな。

アキト

ふぅん、怖くねぇの？

トウヤ

？アキトがいるから、怖いも何もないが。

アキト

そうじゃなくて。王族を憎む暗殺者と相部屋とか、いつ殺されてもおかしくないだろ。

トウヤ

まぁ、もう死んでるしな。

アキト

あ、それもそうか。じゃあ別に死なないってこと？

トウヤ

いいや。ここでの「死」は、魂の消滅だな。消滅した魂は生まれ変わることもなく、ただ無に消えるんだ。

アキト

へぇ…実質、完全なる死か。

トウヤ

あぁ、そうだな。

アキト

怖くねぇの？

トウヤ

アキトに殺されるのなら本望だ。

アキト

うわ、重…

トウヤ

ふふ。それに、アキトは俺を殺さないって知ってるから。怖いはずがない。

アキト

ふぅん…そんな確証、どこにもねぇだろ。

トウヤ

…そうかもな。

トウヤ

アキト。もう怪我も大丈夫なら、今日からここで寝るといい。

アキト

ここって…お前と一緒にってこと？

トウヤ

あぁ。

アキト

馬鹿じゃねぇの？

アキト

王サマと同じ部屋で寝るだとか、恐れ多くて俺なんかには無理ですよ。

トウヤ

…「王様」じゃない。「トウヤ」だ。

トウヤ

そういう事を言うのはやめてくれ。

アキト

(へぇ…コイツも怒ることあるんだ。)

アキト

…俺はお前と同じ部屋で寝る気はない。最初にいた部屋に戻る。

トウヤ

…そうか、

アキト

(えっと、最初にいた部屋はたしか向こう…)

アン

あ、アキトじゃん！！

アキト

あ？

コハネ

あっ、そっか。まだ思い出せてないんだね…

アン

まだトウヤのことも分からないの？

アキト

あぁ、あの王サマ…

アキト

色んな所に連れ回されたけど、俺は何一つ分かんなかったよ。

コハネ

そっか…

アン

トウヤのことも分からないんじゃ、私たちの事なんて分かるわけないか、

アン

私ね、シライシ･アン！こっちは最愛のバディのコハネ！

コハネ

あ、アズサワ･コハネです！

アキト

俺、うるさい奴嫌いなんだわ。

アン

え？！

アキト

あと、オドオドしてて何か隠してる奴も嫌い。

コハネ

！？

アキト

もう話しかけてくんなよ。

アン

あ、アキト！

アン

うぅ……塩対応過ぎない？！結構傷付くんだけど…！！

コハネ

は、初めてあんなこと言われたもんね…

アン

本当に！来たばっかのアキトって、あんな感じだったんだ…

コハネ

うん…

エム

あ、シノノノノメくーーーん！！

アキト

げっ

エム

シノノノノメくん！まだ記憶戻ってないの？

アキト

あぁ、多分…

ネネ

そうなんだ…

エム

私たち、何でも協力するからね！あ、お歌とか歌おうか？

アキト

いらねぇよ。部屋戻るから。

エム

で、でもでも！シノノノノメくん、元気ないし…

エム

ネネちゃんのお歌聞いたらね、すーっごく元気になるんだよ！

アキト

そういうの要らないから。

エム

えぇ？！

ネネ

あっ、シノノメくん…！

ネネ

…素っ気なかったね。

エム

うぅぅ…やっぱり、いつものシノノノノメくんじゃないよぉ…

ネネ

900年分も記憶失ってるんだし、仕方ないとは思うけど…

アキト

(やっと戻ってこれた…)

コンコン

アキト

げ…

司

アキト！！すまん、入るぞ！！

ルイ

司くん、少し声量抑えようか。

司

すまん！！

アキト

(最悪だ。1番うるさいヤツ来た…)

司

そ、そんな嫌そうな顔をするな！傷付く！

ルイ

仕方ないよ。この頃の彼、司くんみたいなタイプ嫌いらしいから。

司

何だとっ？！

アキト

背高い方のアンタ、俺のこと知ってんのか？

ルイ

あぁ、もちろん。トウヤくん程は知らないけどね。

アキト

ふぅん…

アキト

何か用か？正直出ていって欲しいんだけど。

司

様子を見に来たんだ！心配でな。

アキト

余計なお世話だっつの。

アキト

何なんだよ、ここの連中は…何でそこまで俺に構う？

ルイ

それだけ君がみんなに慕われているんだよ。

ルイ

みんな君が心配なんだ。

アキト

…俺はその、慕われてる「アキト」じゃないぞ。

司

む、何故？

アキト

だって、記憶ねぇし。お前らの知ってる俺とは別物だろ。

司

まぁ、たしかにそうだが…アキトはアキトだもんな。

ルイ

そうだね。今のアキトくんも、僕からすれば懐かしいし。

アキト

…

ルイ

トウヤくんはどうしたんだい？

アキト

知らね。部屋にいるんじゃねぇの？

ルイ

君はお部屋にいなくていいの？

アキト

アイツと相部屋とか御免だね。

ルイ

トウヤくんのこと、嫌い？

アキト

俺は王族は嫌いだ。

ルイ

そうかい…

司

待て、王族ってなんだ？トウヤのことか？

アキト

知らねぇの？アイツ、生前国王だったんだってよ。

司

何？！なるほど…だからあんなに綺麗で威厳があったのか…

司

だが、アキトの言い方的にトウヤのことが嫌いなわけでは無いんだな。

アキト

はぁ？なんでそうなった？

司

王族は嫌いなんだろう？でも、トウヤは今死神だぞ。

アキト

…でも、王族には変わりないだろ。

司

王族のトウヤは死んでるのにか？

アキト

…

司

あ、いや、今の言い方は不謹慎か？

ルイ

まぁ、僕らみんな死んでるし大丈夫でしょ。

司

…とにかく、何故そんなに生前のことを気にする？

司

オレたちはもう死んでいるじゃないか。生前のことなんか関係ないだろう？

アキト

……うるせぇよ、

アキト

もういいだろ。出てけよ

司

む、すまん！気に触ることを言ってしまっただろうか？！

アキト

出てけって！

ルイ

…あぁ、分かったよ。邪魔してごめんね。

ルイ

司くん、行こうか。

司

あ、あぁ。邪魔してすまなかった！

司

余計なことを言ってしまったようだな…

ルイ

うん…別に、君の言うことは間違っていなかったよ。

ルイ

ただ、1つ覚えておいて。ここにいる死神たちは、君とは違う。

ルイ

天国行きだった君とは違って、僕らは天国にも地獄にも行けない魂なんだ。

ルイ

「もう死んでいる」「生前のことなんか関係ない」と、割り切れる人は少ないんだよ。

ルイ

生前のことで、みんな何かしら抱えているからね。

司

……そうなのか、

司

アキトのこと…傷付けてしまっただろうか？

ルイ

さぁ、それはどうかな。

ルイ

君は僕らと違うからこそ、僕らが掛けられなかった言葉を掛けられる。

ルイ

それがどの方向に向かうかは、僕にも分からないよ。

司

…

ルイ

ただね、「違う」というのは人に煙たがられることもあるけど、同時に、人を救うこともある。

ルイ

違うからこそ…いい方に導くこともあるよ。

🎶•*¨*•.¸¸♬•*¨*•.¸¸♪

アキト

…？

•*¨*•.¸¸♬•*¨*•.¸¸♪

アキト

(聞き間違い…じゃねぇよな。音楽…？)

応接室

アキト

(多分ここから、)

•*¨*•.¸¸♬•*¨*•.¸¸♪

アキト

！

窓辺に座ってバイオリンを演奏していたのは、トウヤだった。

綺麗な音色に、綺麗な横顔は、さながら絵画のようだと思ってしまうほど。

アキト

(楽器…弾けんのか。)

トウヤ

…？

トウヤ

あぁ、アキトか。やっぱり耳がいいな。

アキト

…まぁ、

アキト

お前…楽器弾けるんだな。

トウヤ

あぁ。音楽は好きなんだ。

アキト

ふぅん…

トウヤ

俺が楽器を弾いているとな、アキトが踊ってくれるんだ。

トウヤ

しなやかで上品で優雅で、けれど力強くて、情熱的なアキトの舞が、とても好きだ。

アキト

(またその顔…)

俺との思い出を語る時、いつも愛おしそうな顔をする。

トウヤ

何か弾くから、踊ってくれないか？

アキト

えっ

そう言うや否や、バイオリンを構えて弦を弾きだした。

•*¨*•.¸¸♬•*¨*•.¸¸♪

アキト

(問答無用かよ。…まぁ、)

楽しそうに弾く姿と、弾む綺麗な音色につい浮かされる。

アキト

(折角綺麗な音なんだし、踊らないのは勿体ないか)

トウヤ

ありがとう、アキト。やっぱりとても綺麗だった。

アキト

それは…お前の演奏こそ。

トウヤ

疲れただろう。そこに座っていてくれ。

トウヤ

お茶を持ってくる。

アキト

(また「茶」か。俺は絶対飲まねぇのに、性懲りもない奴。)

アキト

(王サマが、なんで俺なんかにそこまで…)

アキト

(違う…「アキト」のためだ。)

アキト

(どれだけ俺に冷たくされても諦めないほど、アイツは「アキト」に会いたいんだ。)

アキト

(…俺はアイツが愛しそうに語る思い出に、共感することができない。)

アキト

(トウヤが語る、900年分の…)

アキト

(トウヤの言うことが全部本当なら、その記憶は俺にとっても、かけがえのない大切なものだったはず。)

アキト

(俺は…トウヤの好きな物も嫌いなものも、何も分からない。)

アキト

……はは、

アキト

(なんで忘れちまったんだろ…)

愛しそうに思い出を語るトウヤが、今にも泣き出しそうな程悲しい気持ちなのも気付いていた。

俺の前では平気なフリしてるだけで、本当は全然平気なんかじゃないのにも、気付いていた。

トウヤが辛い思いをしながらも俺の記憶を取り戻したいのは、それだけトウヤにとって大切なものだからだ。

アキト

(俺が信じたくなかっただけで、本当は全部気付いてた。)

アキト

(トウヤは俺に嘘をつかない。今までのトウヤの言葉は、全て本心だ。)

トウヤが語る、些細だけどキラキラした思い出を、俺は…羨ましいと思った。

アキト

俺も…

アキト

……会いたいな

トウヤ

アキト、お茶を持ってきた。

トウヤ

よければ飲んでくれ。

アキト

…

トウヤ

(……まぁ、また「要らない」と突き返されてしまうだろうが。)

トウヤ

(それでも構わない。俺は、絶対にアキトを諦めない。)

トウヤ

(アキトが記憶を取り戻したいと思ってくれるまで…俺は、絶対に、)

アキトがカップを手に取り、そのまま口に運んだ。

トウヤ

？！

アキト

熱っ！お前、また沸騰させ過ぎただろ！

アキト

あんまり熱くし過ぎると、香りが飛んで苦くなるって教えたはずだろうが。

トウヤ

ア、キト…

アキト

まぁでも、最初に比べたら上手くなったんじゃねぇの？

トウヤ

アキト…か？アキトなんだな？！

アキト

あぁ。お前のバディで、守護者だ。

トウヤ

アキトっ！

嬉しさのあまり、断りもいれずにいきなりアキトに抱きついてしまった。

アキト

うぉっ？！

トウヤ

アキト…アキト…！！

アキト

お、おい！泣くこと無いだろ！

トウヤ

だって、アキトが、俺のこと分からないって、

トウヤ

もう、思い出してくれなかったらどうしようかと…っ

アキト

…ごめんな。

司

アキトーー！！

アン

記憶が戻ったって聞いたけど！！

アキト

あ、

トウヤ

あぁ、みんな。

コハネ

シノノメくん、私たちのこと分かるの？

アキト

おう。コハネにアン、司とオオトリにクサナギ。あとルイさん。

エム

シノノノノメくーーん！！！

アキト

「ノ」が多いって言ってんだろうが。

エム

！！✨️

アン

よ、良かったぁぁ…！！

アン

トウヤ、一瞬そこ代わって！私もハグする！！

エム

私も私も！！

トウヤ

すまないが断る。俺は今、深刻なアキト不足なんだ。

アン

えぇーー！！？

アキト

アン、コハネ。…なんか、悪かったな。嫌いとか言っちまっただろ。

アン

そうだよ！すっごい傷付いたんだから！

コハネ

う、うん！ちょっとビックリしちゃったけど、大丈夫だよ。

アキト

オオトリとクサナギも。心配してくれたのに、ごめんな。

エム

シノノノノメくん…！！✨️✨️

ネネ

私は大丈夫。あの状況じゃ仕方ないし。

エム

シノノノノメくん！ギューっ！！

トウヤ

ダメだ。

アキト

と、トウヤ…‪

アキト

司は…怒鳴って悪かった。

司

いやいや、あれはオレのせいだからな。オレこそすまんかった。

アキト

あと、ルイさんは生意気言ってすみませんでした。

ルイ

ふふ、構わないよ。気にしてないから。

アキト

ほ、本当ですか？怒ってません？

ルイ

あの程度で怒る程、僕はもう若くないよ。

アキト

それもそうか

ルイ

ん？

アキト

あ、何でも無いです

ルイ

…ふふ、本当に戻ったみたいで良かった。

ルイ

さて、気持ちは分かるけど、みんな一旦会議室に移動しよう。カイトさんも待ってると思うし。

エム

はーい！ゴーゴーゴー！

ネネ

あ、エム走らないで！

アン

トウヤ！一瞬だけお願い！

トウヤ

いくらシライシの頼みでも聞けない。

アン

もー！トウヤの意地悪！

コハネ

あ、アンちゃん！会議終わった後にしよう？

エム

どーんっ！！

司

どわっ？！おい、エム！！背骨が折れるかと思ったぞ？！

ルイ

おや、エムくんの突撃でそんな怪我するようじゃ困るね。

司

なっ！

ネネ

いや、エムの突撃って結構威力高いから…

アキト

相変わらず騒がしい奴らだな。

トウヤ

ふふ、そうだな。

アキト

会議だっけ？俺らも行くぞ。

トウヤ

あぁ。…そうだ、まだ言ってなかったな。

トウヤ

おかえり、アキト。

アキト

おう。…ただいま。

冥界の守護者

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アキト！！良かった記憶戻って…… もう、戻り方が素敵です💓 会議…やっぱ、ミズキ達のことについてかな？続き待ってます！！ (1日見るの遅れたァァァ、寝落ちしてしまいました……。)

よかった🥲アキトの記憶が戻って。でもまだまだわからないことも多くて、まだハプニングが起きそう、、、？続き楽しみにしてます！

あかまる🍓🐾໊

プロフィール

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冥界の守護者

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