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nmmn注意⚠️ キャラ崩壊注意⚠️ 誤字脱字注意⚠️ 二次創作
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第48話『揺れる境界』
朝。
薄曇りの空から、まだしとしとと雨が降り続いていた。
目を覚ましたらんは、体が鉛のように重く感じた。
眠ったはずなのに、休まった感覚がまるでない。
布団の中で何度も寝返りを打ち、ようやく起き上がると、こめかみを刺すような痛みが走った。
洗面台に立つ。
鏡の中の自分を見た瞬間、背筋に冷たいものが走った。
昨日と同じだ――まるで「他人の顔」を覗き込むような不快感。
頬を指でつついてみても、触感は確かに自分自身なのに、目の奥には別の誰かが潜んでいる気配があった。
らん?
声が頭の内側から響いた。
「もう一人のらん」が、すぐそこにいる。
らん
小さく呟いた声はかすれていた。
冷たい水を顔にかけて現実に引き戻そうとするが、耳の奥に残響のように声は貼りついたまま消えない。
リビングに降りると、いるまがカップを片手にソファへ腰かけていた。
無言でこちらを見るその視線は、観察者の鋭さを帯びている。
いるま
らん
らんは答え、テーブルに突っ伏した。
いるまは何も言わず、ただじっと様子を見ていた。
その沈黙がかえって重い。
やがて耐えられなくなり、らんの口から言葉がこぼれた。
らん
いるまの目が細められる。
いるま
らん
いるま
低い声が、雨音を切り裂いた。
いるま
いるま
いるま
科学者のような確信に、らんは唇を噛んだ。
わかっている。
理屈では、いるまの言う通りなのかもしれない。
だが――怖かった。
「もう一人のらん」を認めたら、自分の居場所がなくなる気がして。
午前。
ノートPCを開き、溜まった動画ファイルを眺める。
昨日見つけた映像のことが頭から離れない。
仲間たちが踊り、笑い、カメラを構える“自分”。
その口が動いて、確かに言った――「思い出してよ」と。
震える指で再生ボタンを押す。
だが再びノイズが走り、画面の中の“自分”が不自然にこちらを見返す。
らん
らん
思わずPCを閉じ、後ろへ跳ねる。
荒い息をつきながら壁にもたれる。
心臓が暴れ、全身が熱くなる。
らん
動画の記憶と、“もう一人”の声が混ざり合い、現実感が揺らいでいく。
昼。
食欲はなかった。
テーブルに出された簡単なパンを手にとるが、喉を通らない。
いるまが横目で見ながら言った。
いるま
らん
小さく返すが、指先は震えていた。
するといるまは静かに問いかけた。
いるま
いるま
らん
いるま
いるまは視線を外さずに続けた。
いるま
いるま
らん
いるま
らんは言葉を失った。
確かに、あの映像は懐かしく、そしてかけがえのないものだった。
もし“もう一人”が敵なら、わざわざそんなものを残す理由はないはずだ。
だが――信じるのは危険すぎる。
揺れる心に、らんは拳を握りしめた。
午後。
雨は止んでいた。
だが空はまだ曇っている。
らんは家の外に出て、公園のベンチに座った。
新緑の匂いが漂い、濡れた土の感触が靴底から伝わる。
子どもの笑い声が遠くに響いていた。
静かな風の中で、ふと瞼を閉じる。
すると、すぐに闇の中から声がした。
らん?
らん
らん?
らん?
らん?
らん
らん?
らん?
らん?
脳裏にこさめの涙が浮かぶ。
あの震える声。
掴んでしまった肩。
らん
胸の奥が締めつけられる。
らん
言葉が喉でつかえる。
拒むか、受け入れるか。
その境界に立たされているのはわかっていた。
夕方。
部屋に戻ると、いるまが真っ直ぐに言った。
いるま
いるま
らんは答えられなかった。
ただ、黙って視線を逸らすことしかできなかった。
夜。
暗闇の中で布団に横たわる。
静けさが痛い。
目を閉じれば、すぐに“もう一人のらん”の姿が浮かぶ。
鏡に映る自分と同じ顔。
けれど表情は穏やかだった。
らん?
らん?
らん
声が震える。
だがその震えは、昨日よりも少しだけ小さかった。
らん
らん
確かに心の奥で、小さな灯火が芽吹き始めていた。
それが希望か、破滅かはまだわからない。
だが逃げずに見つめる覚悟だけは、確かに生まれ始めていた。
第48話・了
rara🎼
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𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝♡490
rara🎼
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コメント
4件
初コメ失礼します 🌸🌸頑張れ!まずはもう1人の自分を認めてほしいなあ
らんらんがんばれ!