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一ノ瀬 馨

言わなきゃ
いけないことがある.

一ノ瀬先生は

真剣な表情をしていた.

でも夕陽の色が被さって

どんな顔色をしているのかは

読め取れない.

よほど大事な話なのだろう.

私は肩に力を入れる.

一ノ瀬先生は、ゆっくりと

口を開いた.

一ノ瀬 馨

…俺は…佐倉のことが、

一ノ瀬 馨

好きだ.

佐倉 ゆう

…ふぇあっ…?

私はこの上なく頼りない声を

上げて目を見張る.

一ノ瀬先生の発した言葉が

信じられなかった.

一ノ瀬 馨

真面目な佐倉にとっては

一ノ瀬 馨

教師が生徒に対して

一ノ瀬 馨

こんなことを言うなんて

一ノ瀬 馨

…考えられないことかも

一ノ瀬 馨

しれないけどな.

___違う.

私は、一ノ瀬先生が少し

切なげな表情を浮かべたのを

見て、思わず目を逸らした.

私だってきっと

先生のことが好きなのだ.

それは、ついさっきから

なのかもしれないし

もしかしたらずっと前から

好きだったかもしれない.

いずれにしろ、

この気持ちは真実だ.

一ノ瀬 馨

ホント、悪かった.

一ノ瀬 馨

…俺のこと、不真面目な

一ノ瀬 馨

教師だと思ったよな?

一ノ瀬先生はそう言いながら

数学研究室から

出て行こうとする.

__何か言わなくちゃ.

なのに、声が出ない.

一ノ瀬先生が扉に手をかける.

その一連の動きが、まるで

スローモーションのように

見えた.

___ダメだ.

今言わなくちゃ.

でないと、きっと

もう一ノ瀬先生と話せない.

佐倉 ゆう

…待って、くださいっ

一ノ瀬先生は驚いた様子で

私を振り返った.

佐倉 ゆう

……私も、先生のことが

佐倉 ゆう

好きです.

…多分、世界一恋に落ちてから

告白までが早い恋だろう.

めまぐるしいここ数分間を

思い返し、私は思わず

小さく笑ってしまった.

一ノ瀬 馨

…なんだよ、ゆうって

一ノ瀬 馨

真面目かと思ってたら

一ノ瀬 馨

全然違ぇじゃん.

その瞬間、一ノ瀬先生の

雰囲気が少し変わった.

いつものふざけた感じから

一変して、余裕を感じさせる

大人の雰囲気に.

それに、今…。

___ゆう、って.

一ノ瀬 馨

なぁゆう、知ってるか?

一ノ瀬先生はすたすたと

私の方に歩み寄る.

その大人な表情で

私をしっかり捉える.

いつもと違う、全く知らない

一ノ瀬先生に私は少し

後ずさりした.

一ノ瀬 馨

…我慢ってのは、

一ノ瀬 馨

意外と大変なんだぜ?

しかし二歩も下がらないうちに

コツ、と棚にかかとが当たった.

佐倉 ゆう

…先…生…?

私は棚を背に追い詰められる.

一ノ瀬 馨

…わりぃ、もう

一ノ瀬 馨

我慢できねぇんだわ.

その言葉とともに、グッと

肩を掴まれて引き寄せられて…

__そして、ふわりと

唇が重なった.

♡きたら続き出します!! 読んでくれて📖 ありがとです!!☺︎ ぜひ他の作品も 見てみてください!!☃

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