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ピンポーンっ...

 

あ、にき?

正直、ちょっと気まずいけど、 ルーティンだから、 いつも通り、来てみた。

 

昨日は、ごめんな。

 

んーん、俺が悪かってんから。

アニキは、うつむき、 バッグを持ち帰る。

 

嬉しかってんけど、恥ずかしかってんよっ...//

 

お互い様、だねっ!

俺が言うと、 こっちを向く。

 

せやなっ...(ニコッ

最高にかわいい。

やっぱ、まろの彼女最強だなぁ...!

 

おはよー...

 

...。

ぁ...初兎くん。

 

おはようっ!

 

初兎ーくーん!...

 

何でしょう?(ニコッ

わぁ...

彼の笑顔は、花が咲いたように美しく、 ”守りたい”、”美しい” そんな笑顔。

 

昨日、困らせてごめんな?

 

...ぁ、困ってなんかないです。

え...?

 

僕が、ただ怖かったんです。

 

そっか...

怖いっ...?

謎は、深まるばかり。 でも”聞くべきやない”。

 

まぁ、困ってたわけじゃなくて、
よかったわ。

 

...はい。

彼は、笑うことなく、 席へと移った。

華奢なその容姿が、 可愛くて仕方なかった。

 

んふっw

 

まろーっ!

今日も、アニキが来てくれた。 嬉しいなっ!

 

あ、今日もたこ焼きでいい?

 

ぇー...ええけど。

アニキは、首を傾げて、 バッグ片手に、来た。

 

行ってみたいとこ、あんねん!

学校を、 飛び出した。

 

...ここ?

”さいころ”っと、書かれた看板の中。 見た目は、おしゃれで、古民家風のとこ。

居酒屋と、カフェの間くらいの店で、 気品のあるところだった。

 

そう、らしいよ。

 

へぇー...俺、これがいいな。

 

じゃあ、それにしよっか。

 

俺が、払えばいい?

 

いや、俺やわ。

交代制にしよっかな。

アニキのために、 金欠の本気を出す。

 

すみませーんっ!

 

これください。

サッ...っと千円札を置いた。

 

座ろ?

 

...っ!?

 

うまい...?

先に食べ始めたアニキ。

彼に、 バッグをおろしている俺が、尋ねる。

 

うまいよ...?生地は、モチモチしてて、
たこは弾力満載で、最高!

 

...っし、俺も。

一口、ほおばる。

 

...んー♡うまいっ♡

 

やろぉー!

 

はぁ...

 

...ふぅ

空になった舟。

つまようじだけが、 意図せず転がる。

あっという間に、 平らげてもうた...

 

おーぃしかった。

 

なっ...!

ガラガラッ...

 

...ぁ

 

ん?...ぇ

 

...。

初兎君。

ここにおるゆーたけど、 まさか...ね?

今日も...なんて...w し・か・も...!

 

こんちゃーすっ!

 

初めましてっ...

エプロン姿、なんよなぁ。

 

...っ//(ダッ...

顔を真っ赤にして、 バッグヤード的な所に、 走っていった。

 

...。

そして、制服で戻ってきた。

 

こっちおいで?

 

んっ...!

 

俺の事、わかる?

うなずく。

 

バイト中なの?

 

...そうやけど?

冷たく返された。

 

ごめんな、会いとーなかったやろ?

 

...はい。

え”...嫌われてんちゃう?俺。

 

ごめん...

 

...ぁ

初兎くんの目から、 一つ、二つと垂れる滴。

 

えっ!

慌ててハンカチを渡すアニキ。

 

...大丈夫か?

 

...だいじょーぶです。

彼は、強くハンカチを握りしめ、 涙を拭い始めた。

 

なんかあってん?

 

いえっ、お気になさらず。(ニコッ

もう一度、微笑んだ。 朝と同じ笑顔。

百合のように、美しく、 純粋無垢な様子。

でも、暗くて、閉ざされたようだった。

 

まぁ、えっか。

 

...なぁ、場違いやけど。

 

...?

 

通学バッグに、兎ついとらんかったっけ?

 

もっ、持ってきますね。

...。

アニキが、初兎くんと、 打ち解けてて、嫉妬してるんですがっ!!

 

...あっ!それそれ!

 

校則違反、ですか?

 

ちゃうよ、かわええなって...//

んー...凄いむずむずしてる。

俺って、嫉妬深かったっけ?

嫉妬しすぎて、 泣きそうなんやけどっ!(?)

 

...wありがとーな。

初兎君への敬語が外れる。

一気に緊張感が解ける。

俺の脳が、 警告音を鳴らす。

”ヤバい” 脳で分かってる。

どうしたらいいかわからない。

全身が、奮い立たされるほど、 むずむずする。

アニキが盗られる。 だからだよね。

 

水色の兎って、珍しいな。

 

ぁあ、北海道の親友が思い出にくれたんよ。

マスコットを、バッグから外し、 アニキの手のひらに置いた。

胸がざわめいて、 脳で不穏な音楽が流れる。

理由は、謎。

『アニキが、とられるからでしょ?』 脳に聞いたって、返事なんて来ない。

 

アニキっ!

ありったけの声で、

叫ぶ。

大好きで、 愛おしい人の名前を。

 

ん...?

マスコットを、返して、こっちを向いた。

 

日、暮れてまうやろ?帰ろ?

 

あ、うんっ!初兎、またな!

呼び捨て... 辛いよ。辛いよ。

 

またな、悠くーん!

俺の事は、呼んでくれない...

俺今、寂しいって思った?

苦しいなんて思った?

ううん、そんなわけ...ない。

俺は、アニキが好きやから。

アニキが、特別視されて、 悲しいだけだろ?

 

ねぇ...嫉妬した。

店外で、君の耳に、瞬いた。

 

ごめん。

ギュッ...

 

愛しとんで。

愛してる...?

 

ん、大好き。

言えなかった。

ピンポーンッ...

 

おっ...はよ?

 

行こ―!!

手を絡める。

 

...ごめん。

振りほどかれた。

 

いいよ。

俺も、乗り気になれなかった。

 

ぁ...放課後、今日一人で帰る。

突然の報告に、 足を止めた。

 

いいよ、忙しいの?

 

ちょっとな...

再度、歩き出す。

沈んだ2人の間には、 沈黙だけが通っていく。

いつもなら、にぎやかなのに。

 

おはよーっ!

 

はよー!!

手を振って、別れる。

 

初兎くーん!

 

おはよー、ございます

当たり前なのに、 敬語に苦しむ。

初兎君の笑顔に、 可愛いと思う自分がいた。

 

初兎っ!

アニキが、呼んだ。

俺以外の名前を。

 

悠くーんっ!

苦しむ。何故?

アニキが盗られちゃうから?

...そうじゃない。

ちがうよ、ちがう。

アニキが、ズルいの。

呼び捨てで、 敬語じゃなくて。

嫉妬。

アニキへやのうて、初兎くんへの。

白く、美しくて、 潔白な初兎君が...

 

...ww

好き。

...押すこと。

俺にできる唯一のアプローチ。

 

ねぇ、初兎くーん!

 

何でしょう?

アニキが、先生の手伝いしてる。

今のうち。今のうち。

 

しょにだ、って呼んでいい?

 

...いやです。

 

初兎、だと?

 

むり。

なんでよーーーーーー!!!

...んっ!?

敬語、取れてね?

 

...まろちゃん、勝手に呼べば?

えええええええええええ!!!!!

嘘でしょぉぉ!! あだ名...?神かよっ!

 

...しょーにだ!

 

...。

あれ、行っちゃった。

 

あれ、まろ一人?

帰り道だって、一人だ。

 

うんっ...

 

...そっか。珍しいね。

...”さいころ”寄ってこ。

 

...いらっしゃいま...せ?

今日も、千円札を。

 

しょにだ、カウンターいい?

 

ええよ、まろちゃん。

 

どーぞ。

 

ありがとー、うまっ

 

...悠くんと、どういう仲?

俺らが、避け続けた質問。

”幼馴染”、”大親友”

なんとだって、ごまかせる。

周りには、これで通じた。

でもっ...

”好きな人”には、 わかっててほしい。

俺は...

 

大切な親友やで。

ごまかした。

批判されたくなくて、 嫌われたくなくて、

世間から、消されたくなくて。

自衛した。

 

そっか...

 

...ん。

たこ焼き、最後の一つ、頬張った。

特別な味が、 口いっぱいに広がった。

 

うまかった。

 

...ふふっ、まろちゃん。

 

ん、?

舟に、もう一つ、おかれた。

 

...サービス。

嬉しいなぁ...

それから、数日後。

アニキは、何故、 初兎に優しいのか。

俺は、疑問解消のため、聞いた。

『初兎のこと、特別な存在だと思ってる』

アニキは、そういった。

悲しかった。

でも、しょうがないんだよ。

勝ち取ればいいだけの話だよね。

まぁ、きっと大丈夫。

僕らってね、所詮 『カップルごっこ』

周りから、それっぽく見えればいいの。

悠佑といふ。

傍から見たら、 変な奴ら。

”友達”以上に、ずっといて。

”カップル”なんて、わかりやしないだろ。

『仲の良すぎる二人組』 そう思ってるはず。

一人を除いて。

continue...

まんまるな俺ら。

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コメント

1

ユーザー

フォロー失礼しますm(_ _)m 続き楽しみです!!!!!

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