氷麗
あ
てん
えぇー今日も一花センパイが掃除?
氷麗
はは
氷麗
あげはもいるよ
あげは
つ…氷麗…
氷麗
ん?
あげは
嘘でしょ…
あげは
本当に…視えない……!!
氷麗
あげは…?
氷麗
なに、中二病発動?
そう冗談を交わしたが
あげはが本当に混乱していることは分かっていた
あげは
数珠…外してるよね?
氷麗
え?
あげは
いま!あたし!
氷麗
う、うん
あげは
嘘…どうして
氷麗
大丈夫…?
悪感がしたと同時に
あげはは駆け出した
氷麗
えっ…あげは!?
あげは
この数珠持ってて!
氷麗
なんで!?
あげは
つけたらわかる!
グッ
氷麗
え?
あげはが行ったあと
数珠をつけてみようとした手はスカッと言う音と共に空ぶった
氷麗
えっと…?
氷麗
どうしたの?
ニコッと笑って数珠を奪いとる
氷麗
え、ちょ
てん
ダメだよ
てん
こんなもの持ってちゃ
氷麗
え
氷麗
や、やめて!
スッ
氷麗
(え?)
掴んだ筈のこの子の手をすり抜けてあたしはこけかける
氷麗
(今の…なに?)
てん
あ
と同時にポケットから飛び出た飴玉たちがこちらへ来る
氷麗
んわっ
そのうちのひとつを飲み込んでしまった
氷麗
うぇ
氷麗
ゲホッ…!!
てん
だ、大丈夫?
てん
飲み込んじゃった…?
氷麗
う、うん
てん
あー…
てん
ならもういいや
てん
真実、見なよ
氷麗
…へ?
てん
ふあ、来て
ふあ
なによ
てん
僕らは
てん
この学園の幽霊だよ
氷麗
…え?
その言葉は簡単には飲み込めなかった
氷麗
どういうこと…?
てん
今君が飲み込んだのは能力玉
氷麗
能力玉…?
てん
これは文字通りニンゲンにある能力をもたらすもの
てん
君が飲み込んだのは
てん
命中力、だね
氷麗
え?
てん
すぐわかるよ
てん
ボールとかなんでも、投げたいとこに投げられる
てん
そしてこれを食べてしまうと
てん
能力を持つ、ということで幽霊とニンゲンのはざまを生きることになる
氷麗
嘘…
氷麗
どうして…!?
てん
ん?
氷麗
この学園にずっといたのに
氷麗
今までは視えなかったのに!
てん
それはね
てん
助けたからだよ
氷麗
えっ…?
ふあ
はあ…。
ふあ
あんた、階段から落ちかけたことがあるわね?
氷麗
あっ!は、はい…
てん
そのときにこのふあに助けてもらったんだ
てん
本当は出来ないハズの触れあいで、君は一年間幽霊が視えるようになった
てん
始めてみたときは君が視えると知らなくてビックリしたよ
てん
てん
…君のお友だちも
氷麗
え?
ふあ
ああ、黒瀬あげはね
ふあ
ふおが助けたコ
てん
そう、あのコは昨日で1年だ
てん
だから今日は視えないと言っていた
てん
まあ今までも数珠で視えなくしていたけど
氷麗
嘘っ…!?
氷麗
さっきから、なに…!?
氷麗
あ、あたし帰る…!!
てん
そ。
てん
まあ縁は切れないと思うよ
てん
これからよろしくね、イチカ
氷麗
…っ!
非現実的なのに完璧なリアル
信じたくなくてどうにもできなくて、あたしは逃げた