墓地の裏手。つもりが実家の分家連中に囲まれ、呪詛に近い言葉を浴びせられている。つもりの瞳からは光が消え、最強の力(宿儺・堕天使)は内側に向かって自分を焼き始めている。
親A
おい、聞こえているのか化け物。その白髪を見るだけで反吐が出る。……お前が不割邸などという掃き溜めに逃げ込んだおかげで、我々がどれだけ体裁を汚されたか分かっているのか?

つもり
……っ、…………ぁ……

親B
死に損ないが。……お前を助ける人間など、この世に一人もいない。あそこの連中も、お前の『力』を利用しているだけよ。……さあ、その出来損ないの頭を下げろ。土を舐めて、詫びろ。

つもりが力なく膝をつこうとした瞬間――空気を切り裂くノイズが響く。
(キィィィィィィィィン!!という鼓膜を刺すような高周波)
雫
(無表情にスマホを操作し、指向性スピーカーからノイズを叩きつける)
…………うるさい。……その汚い周波数……私の世界に、入れないで。

親A
な、なんだ貴様は!? ……ぐわっ!?

男が雫に掴みかかろうとした瞬間、横から巨大な影が割り込み、男の顔面スレスレで拳を止める。風圧だけで男が尻餅をつく。
巌
(煙草を指に挟み、低く重い声で)
……おいおい。ウチの『お嬢ちゃん』に手を出そうってのか? 悪ぃが、俺は教育係でな。……礼儀の知らねえ野郎を見ると、つい『手が滑る』んだよ。

兄A
い、巌……!? なぜお前のような伝説の執行官が、こんな化け物の肩を……!

巌
化け物? ……どこにそんなもんがいやがる。ここにいるのは、不器用だが一生懸命掃除してる『俺たちのガキ』だ。……それ以上抜かしてみろ。不割邸の地下牢、空きがあるぜ?

律
(六眼を冷たく光らせ、つもりの肩に手を置く)
……つもり、耳を貸すな。こいつらの言葉は、不整合なノイズだ。……私の許可なく、勝手に絶望することを禁ずる。

冬弥
(実家の連中の背後にいつの間にか立ち、耳元で囁く)
あはは、顔色が悪いよ? ……ねぇ、君たちがつもりくんに言った言葉、全部録音して鏡さんに送っておいたから。……明日から君たちの資産、全部『事故』で消えると思うけど、頑張って生きてね?

つもりの実家の連中
(腰を抜かして逃げ出す)

つもり
…………とっつぁん。……雫。…………律、冬弥……。……俺は、やっぱり……(まだ震えてる)

雫
(つもりの袖をクイッと引いて、自分のヘッドホンを片方耳に当てる)
…………聴いて。……波の音。……大丈夫。……今は、これだけでいい。

巌
(つもりの頭をガシガシと撫でる)
ガハハ! 湿っぽい面すんな。……ほら、帰るぞ。琴音たちがメシ作って待ってんだ。……つもり、今日は特別に俺の隠し酒……は駄目か。高いマカロン、鏡に内緒で食わせてやるよ。
