TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

いつか君が還る場所

一覧ページ

「いつか君が還る場所」のメインビジュアル

いつか君が還る場所

9 - 第6話 未知の過去

♥

8

2025年09月07日

シェアするシェアする
報告する

夢(かなえ)

ただいま帰りました。

憂一郎

おかえりー遅かったな

憂一郎

遊んでから合流して帰ってきたのか?

夢(かなえ)

はい、千鶴さんの仕事終わりまで外でブラブラしていたんです。

夢(かなえ)

特に何も目的もないお散歩するの好きで。

憂一郎

だから傘を持っていったんだな。
天然なだけかと思った。あはは

夢(かなえ)

うふふ。

夢(かなえ)

……

横を見ると、千鶴さんは少し俯いていて顔が固まっていた。

夢(かなえ)

(千鶴さん?)

憂一郎

千鶴どうした?
浮かない顔して。

千鶴(29歳)

……

千鶴(29歳)

ごめんなさい。憂一郎さん

千鶴(29歳)

私今日浮気未遂しちゃったの。

夢(かなえ)

?!

夢(かなえ)

ちょっと千鶴さん!

千鶴(29歳)

でも車に乗っていたら夢ちゃんが来てくれたの。

千鶴(29歳)

一度酷いこと言って、手を振り払っちゃったけど

千鶴(29歳)

最近憂一郎さんとはすれちがいとか衝突が多くて、つい気の迷いで……

千鶴(29歳)

それでも諦めないで追いかけてくれたの。

千鶴(29歳)

本当にごめんなさい。

憂一郎

そうか。

憂一郎

最近少し帰りも遅かったしな。残業っていってたけど。

夢(かなえ)

残業は本当なんです!
私見ましたもん。

夢(かなえ)

確かに千鶴さんは一度、私の手を振り払いました。
でも本人もこういっているように
誰にでも気の迷いはあるはずです。したくてした訳では無いと思うんです。

夢(かなえ)

きっと、〝寂しかった〟んです。

憂一郎

……!

夢(かなえ)

いきなり居候になった私が言うのはお門違いかもしれません。
でも、どうか千鶴さんを許して貰えませんか?

憂一郎

……

千鶴さんは言わなくてもいいことポロって出しちゃうからなあ… 2人で暮らしていた時もそうだった。

こんなこと言ってもあの憂一郎さんが許すかな? 前回もその前もきっとここで挫折しちゃったんだよね。

……適度に嘘もついちゃったしめちゃくちゃだ。もう、顔も見れないよ。

憂一郎

(ポンッ)

夢(かなえ)

ふぇっ?

憂一郎さんが私の頭を撫でる。

憂一郎

お前が必死にそこまで言うなら仕方ねえさ。
千鶴も優柔不断な性格だから断れなかったんだろう?

憂一郎

確かに浮気は許せない。未遂だとしてもこれは立派な浮気だ。

憂一郎

俺も最近ピリピリしてて辛く当たったことを悪く思ってる。

憂一郎

もう一度、ここから一緒に歩き直したい。
俺は千鶴と、死ぬまでお互いがお互いだけを見つめ合える恋愛をしていきたい。

千鶴(29歳)

憂一郎さん……!

憂一郎

そして、こう思えるようになったのは、お前。
夢がいるからってのもある。

夢(かなえ)

私?!

憂一郎

ああ…
お前は、俺の妹に似てるんだ。脳腫瘍で死んじゃったけど。

憂一郎

少しドジっ子だけど真面目でさ。小さい頃から俺のことが好きで、誰よりも応援してくれた。

憂一郎

そして当時付き合いたての千鶴と会わせたら、凄く喜んでてさ。

憂一郎

そいつが言ってたんだ。

憂一郎

もし今の癌が治らなかったら、2人の元に生まれるんだって。

憂一郎

お前の目と心が俺をまた熱くしてくれた。
思い出させてくれたんだ。

憂一郎

俺たちの恋愛と目標は、俺たちだけのものじゃないって気づいた。

憂一郎

だから今回のことは水に流してやる。

憂一郎

こんなことで終われないんだ。俺たちは。

憂一郎

たった一人の男に邪魔される訳にはいかない。

夢(かなえ)

憂一郎さん!

千鶴(29歳)

うう……

千鶴(29歳)

憂一郎さん……夢ちゃん……ありがとう。

憂一郎

さあご飯食べよう、冷めちまう

夢(かなえ)

はいっ!

千鶴(29歳)

そうね!

水子

…………

水子

やったあああ!!!!!

水子

凄いよ!

夢(かなえ)

(ちょっと声大きいよ!)

夢(かなえ)

(まあ、聞こえないか。)

夢(かなえ)

(うん、仲直り出来てよかった。)

夢(かなえ)

(でも本当にこれでいいのかな?私がしたことは口を挟んだだけだし)

水子

何言ってるんだよ、夢はとても正しいことをしてるよ
今のところ花丸満点だ!

夢(かなえ)

(花丸なんて、滅多に言われないから嬉しいよ。)

水子

確かに、戦争規模の大きな出来事が起きたら世界の結末はかなり変わってしまうね。

水子

だけどどんなに小さいことも、些細な言動や行動で結果が大きく変わることも沢山ある。

水子

だから日常でのほんのささいなこともおろそかにしてはいけないよ。
一つ一つの積み重ねが今の結果を作り出している。

水子

だからと言って余裕が無い時はストレス溜まるし…
本来あの人も根はいい人って言ったじゃないか。

水子

ずっと隠しているといつか爆発してしまう。

水子

だから仕方ないと思おう。

夢(かなえ)

(そうだね、きっとあなたの言う通り。
私のしていることが正しいか心配になったの。)

夢(かなえ)

(あと…)

夢(かなえ)

(私のお父さんとお母さんは出会うことが無くなったから、
これで私のやることは終わったのかな?)

水子

いや。まだ1つある。

水子

それは

水子

僕が無事に産まれるまでの10ヶ月間見届けてもらうことだ。

夢(かなえ)

(確かにそうだ…
そうしないとあなたは地獄から抜け出せない。)

夢(かなえ)

(正直憂一郎さんも口調がきつめだし、このまま千鶴さんと一緒にしていいか不安で。)

水子

僕はもう既に千鶴さんのお腹の中にいる。

水子

まだ小さすぎるから本人も気づいていないけど。

水子

だからまずは、妊娠に気づくまで千鶴さんを見守ってほしいんだ。

夢(かなえ)

(うん!任せて!)

水子

本当にありがとう。

水子

あとは憂一郎さんの〝同意〟だよね。

水子

2人だけでもやっていくのに精一杯なのに、どうなるか……

夢(かなえ)

今までに成功したことはないの?

水子

ないよ。

水子

実はここまで成功出来たのは今回が初めてなんだ。

水子

だからここからは未知の未来なんだ。

水子

夢からしたら全て過去になるかもしれないけど。

水子

尚更夢(僕達)と、千鶴のさん達とのタッグを強めないといけない時期なんだ。

水子

僕も正直不安だよ……

夢(かなえ)

(…………)

夢(かなえ)

(きっと、いや絶対大丈夫!)

夢(かなえ)

(ここまでやってきたこと全て無駄にはさせない、私の大事な兄弟の為だもん!)

夢(かなえ)

(私、最期まで頑張るから
何も心配いらないよ。)

夢(かなえ)

(あなたは、元気に産まれてきてね!)

水子

……ありがとう。

水子

羊水の中で、泣きそうだよ。

夢(かなえ)

うふふ。

夢(かなえ)

じゃあ、おやすみなさい!

水子

おやすみなさい!

あれから特に何も起こらず20日間が経ち、 その間わざとらしくない程度に千鶴さんの身の回りのお手伝いをした。

憂一郎さんも仕事が少しずつ増えていき、心も安定しはじめたようで お小遣いを貰うようになった

夢(かなえ)

憂一郎さんおはようございます!

憂一郎

おはよー

憂一郎

お、また夢の卵焼きか
味が控えめで美味いんだよな!

夢(かなえ)

千鶴さんのも美味しいですよー

千鶴(29歳)

……あら、おはよう

夢(かなえ)

おはようございます!
体調大丈夫ですか?

千鶴(29歳)

うん。最近少しだるいかも?って感じだけど心配ないわ。ありがとうね。

夢(かなえ)

はい!出来たんで食べましょ

憂一郎

いただきます

千鶴(29歳)

いただきます。

夢(かなえ)

いただきます!

私は千鶴さんの顔をみていた。 少し顔色が悪いのだ。

ゆっくりと1口2口と箸を進めていたが……その動きが止まる。

千鶴(29歳)

…………ふう。

夢(かなえ)

千鶴さん本当に大丈夫ですか?

千鶴(29歳)

……心配かけてごめんね。

千鶴(29歳)

ごめんね。せっかく作ってくれて
とても美味しいのに。

千鶴(29歳)

ごめんなさい、少し御手洗に……

夢(かなえ)

ついて行きますよ。

千鶴(29歳)

大丈夫よ……少し気分が悪いだけだから

と言われつつもついていき、うずくまる千鶴さんの背中をさする

千鶴(29歳)

はあ、はあ。

夢(かなえ)

気にしないで下さい。
それより…

夢(かなえ)

千鶴さん、その……

夢(かなえ)

最近生理って来てますか?

千鶴(29歳)

えっ、どうして?

夢(かなえ)

おせっかいなんですけど、保健の授業で習ったことがあって…

千鶴(29歳)

……確かに2週間くらい来てないの。

夢(かなえ)

ついていくので、薬局行って検査しましょ?

千鶴(29歳)

生理日、ずれることはたまにあるんだけどね。

夢(かなえ)

それでも、私が気になっちゃって。

夢(かなえ)

お願いします!

千鶴(29歳)

…分かったわ。

千鶴(29歳)

夢ちゃんのいうことだもの。

千鶴(29歳)

実は少し気にしてたの。だけどまさかと思って過ごしてた。

千鶴(29歳)

気を遣ってくれてありがとう。

夢(かなえ)

いえいえ!

夢(かなえ)

じゃあ私も準備しますね

夢(かなえ)

憂一郎さんには言っておくので!

千鶴(29歳)

ええ。

千鶴(29歳)

いつもごめんね。

薬局に行き、検査薬を購入。

すると陽性反応が出たので憂一郎さんに内緒で病院へいくことになった。

いつか君が還る場所

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

8

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚