そして、月日は流れた。
__五年後。
女子1
女子2
セーラー服を纏った女子二人が、廊下ですれ違ったセーターを纏うピンク髪の男に手を振る。
その声に気づいた男は、両手で抱えた段ボールの箱を持ちながらも、顔だけ横から覗かせて苦笑した。
ないこ
女子1
女子2
「わかってないな」とでも言うかのように、片手を顔の横に挙げて首を振った女子に、男は困惑した表情を浮かべ慌てたように言った。
ないこ
女子1
ないこ
女子2
ないこ
考え込み始めてしまった男に、女子二人は「まぁいいや」と口を揃えて男の横をすり抜けていく。
女子1
女子2
ないこ
男は女子二人と別れた後でも、段ボールを抱えながら階段、通路とどんどん先へ進んでいく。
注意深く歩き続け5分程度経つと、やがて一つの部屋にたどり着いた。
ないこ
教師
ないこ
空いた机の上に段ボールを置くと、指定された机に体を委ね、 へにゃりと崩れる。
男の隣に座っていた若い女性が彼の机の上にマグカップを置いて、自身が持っていたカップをコクリと一口煽る。
そして子供のように頬を膨らます男に苦笑しつつ、机の上に置いてあるファイルに目を通し始めた。
教師
教師
教師
ないこ
ないこ
教師
ないこ
机の上で駄々をこねる男を笑いながら宥める女性は、ふと彼の机の上に置いてある一枚の写真を見る。
教師
ないこ
教師
女性が写真の中の一人の男性を指差して、男にそう尋ねる。
男はその写真をじっと見つめると「そうですね」と体を起こしながら、大きく天井に向かって伸びをした。
ないこ
教師
ないこ
ないこ
ないこ
男は柔らかい瞳で写真の中の男性を見つめる。
女性はその彼の顔をじっと見つめると、ふっと優しく微笑んで彼の机からファイルと紙束を奪い取った。
ないこ
教師
ないこ
男は女性からファイルを取り返そうとする。
しかし女性は勝ち誇ったような笑みを口元に浮かべ、ファイルを彼から遠ざけるようにして置いた。
教師
教師
ないこ
ないこ
深々とお辞儀をし、バッグを持って部屋を出た男に、女性は「気をつけてね」と声をかけて見送る。
教師
男子
りうら
りうら
自身の持つ資料を見ながら、前髪をひよこのゴムでまとめた赤い髪の男は尋ねられた紙の書き方を彼に教える。
男子
りうら
りうら
スッキリした様子で自身の席へ戻った彼を確認し、男は再び滑らかにペンを走らせ始める。
彼の机の横に山積みにされた紙たちを、一枚一枚確認してはサインをして、彼はかれこれ一時間以上処理し続けていた。
?
?
?
?
突如水色の髪を纏った男と、白い髪を纏った男が部屋の中に騒がしい状態で入り込んでくる。
それを見た赤髪の男は呆れたように大きくため息を吐くと、 机からガタリと立ち上がって二人を勢いよく指差した。
りうら
りうら
ほとけ
赤髪の男に、水髪の男が抱きつく。
しかし赤髪の男は彼を酷く嫌そうな顔で見つめ、首根っこを掴み自身から引き剥がそうと試みる。
ほとけ
ほとけ
りうら
りうら
本気で怒り始めた赤髪の男に、水髪の男はさすがにやめるべきだと察したのか、残念そうな顔で離れる。
その会話を聞いていた白髪の男は、悪戯っ子のように口元をにやけさせて水髪の男に言った。
初兎
ほとけ
初兎
そっぽを向いた水髪の男を揶揄うようにそう言った白髪の男は、赤髪の男に指を指された。
赤髪の男は頬を膨らませる。
りうら
りうら
ほとけ
初兎
机に向かい出した二人に安堵しつつ、赤い髪の男もまた手元の資料に視線を戻したのだった。
スタッフ
スタッフ
悠佑
黒髪と黄色髪のグラデーションした長い髪を一つに纏めた男は、 スタッフに向かって一つお辞儀をして楽屋に戻る。
バッグからスマホを取り出して、某青い鳥のアプリを開くと一枚の写真と共に文章を入力して投稿ボタンを押す。
悠佑 今日はソロライブのリハーサル! 久しぶりに弟が帰ってくるから、早めに切り上げて終わらせたでー みんな楽しみにしといてくれよな!
りんね>>ソロライブ楽しみです!絶対行きます!
KoTo>>リハーサル写真ありがとうございます!アニキ、手だけでも可愛いのはなんで・・・・・・?!
紅羽>>弟さん帰って来られるんですね!写真越しでも嬉しそうなのが伝わってきます!w
次々と送られてきた返信に、男は思わず口元を綻ばせる。
そしてハッシュタグに自身の名前の検索をかける、いわゆるエゴサーチを始めたところで彼は時間を確認した。
悠佑
悠佑
机に無造作に置かれたペットボトルやら、タオルやらをリックサックの中に詰め込んで、男は立ち上がる。
悠佑
悠佑
そしてスマホで電車の出発時刻を確認し、それに間に合うような速度でライブハウスを走り抜けた。
ないこ
ないこ
ピンク髪の男が、制服姿のまま慌ててやってきた赤髪、水髪、白髪の男たちに向かって大きく手を振る。
ピンク髪の男の隣には黒髪の男もいて、スマホを弄りながらもやって来た三人へ小さく反応した。
りうら
りうら
悠佑
悠佑
黒髪の男がキャリーバッグを持って歩いて来た青髪の男の名を呼んで、自分らの居場所を伝える。
それに気づいた青髪の男は、五人を見た瞬間ぱあっと顔を輝かせると駆け足で近寄って彼らに笑いかける。
いふ
五人
青髪の男は最初に黒髪の男へと抱きつき、その次にピンク髪の男を抱き締める。
首元で強く抱き締められたピンク髪の男は、「苦しいよ」と苦笑して青髪の男の肩を叩き、無理やり腕を離させた
ないこ
ピンク髪の男が仕切るような形で、五人に向かってそう言う。
それにはみんなも「了解」と承諾をし、六人は最初の目的地へと、横一列に並んで足を運び始めた。
場面は変わり__in 海外
黒木家 父
黒木家 父
黒木家 父
黒木家 父
黒木家 父
黒木家 父
黒木家 父
黒木家 父
黒木家 父
黒木家 父
黒木家 父
__『彰人兄さん』。
りうら
五男、りうら。
ほとけ
六男、ほとけ。
初兎
四男、初兎。
ないこ
三男、ないこ。
いふ
次男、いふ。
悠佑
悠佑
長男、悠佑。
とある四人兄弟と、血の繋がらない二人兄弟。
計六人のの織りなす、温かくて少しばかり騒がしい__そんな非日常な人生はまだまだ続いていく。
『兄弟、拾いました』 end.
コメント
7件
お疲れ様でした!!まじで涙目です!w めっちゃ書くの上手すぎません!? 凄すぎます! これからも応援してます!頑張ってください! また感動系を出して欲しいです!
お疲れ様でした!マジ全部神だし、目から滝が出来そうでした!めちゃくちゃ感動してます、これからも応援してます!
お疲れ様でした!とっても最高でした!!言葉1つ1つがとても素敵で…この作品に泣かされたり、笑わせられたり、たくさんの勇気をもらいました!