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修也side 美琴に助けられた翌日。 しばらくの間 彼女のお家に 居させてもらうことになった。 熱の影響で断片的にしか記憶が無いけど 唯一思い出したのが これからプロ野球選手になることだった。

美琴

んでここ曲がったらコンビニとかスーパーとか色々揃ってる。

修也

そっか…

美琴

他になにか気になることある?

修也

1個だけなんだけど…

美琴

なんでもどうぞ?

修也

今日平日だけど学校大丈夫なの?

今日は週の真ん中の水曜。 普通なら学校で授業をうける時間帯だ。

美琴

うん。先週に学年末終わってるし、昨日テスト返却だったからあとは3年の登校日だけだから大丈夫。

修也

んじゃ昨日助けてくれたのは…

美琴

塾の帰り。私と同い年ぐらいの子だなーって見てたらなんかありそうやなって思って。

何気ない優しさが 身に染みてたら ポケットに入れてた スマホに着信が入った。 画面を見ると 多分野球関連の選手の名前が 書いてあった。

美琴

あ、ドラ1の下村選手…

修也

ちょっと待って…

とりあえず 電話に出ると 相手はスピーカーにしているのか 色んな人の声が飛び交っている。

下村

『やっと繋がった〜!!』

石黒

『今お前どこにいるの?!怪我ない?!』

百崎

『急に飛び出して行くからびっくりしたー!』

聞き覚えのある声に 安堵すると共に なんとなく選手の面影を思い出して どこから説明しようか迷っていると 横からスピーカーにしてと 行ってきたので スピーカーにした。

美琴

横から失礼します。私笹倉美琴と申します。昨晩路上でうずくまって居られた山田様を家で保護させて頂きました。雨の影響もあるかもしれませんが、一時熱を出しておられました事後報告で申し訳ありません。

石黒

『すいません。うちの山田が。』

百崎

『修也なんかあったん?お家の事情なのかわかんないけど相談ならいつでも受け付けるからな。』

修也

ありがとう

下村

『熱下がったん?』

修也

はい。朝測ったら平熱まで下がってました。

下村

『ならいいわ。』

津田

『あ、集合かかった。修也無理だけはすんな。話ならいくらでも聞いてあげるからな。』

下村

『笹倉さん修也のことしばらくよろしくお願いします。』

美琴

はい。任せてください。

そうしていると 電話が切れた。

美琴

良かったね。優しい人たちで。

修也

うん。

美琴

熱大丈夫?

修也

今のところは。少し体が重い気がするけど、多分治る。

美琴

そっか。なら良かった。

下村side 修也がいなくなって 1日経った。 聞いた話じゃスマホを見た途端 この世にないぐらい 顔を真っ青にして 寮を飛び出したらしい。 それから何度も電話をしたが 1回も出なくて やっと出たのがさっき電話した時だった。

石黒

けど良かったね。元気そうで。

下村

そうやね。

津田

けど何があったんやろ、

椎名

誰か知ってる?

百崎

僕この間修也の電話聞いちゃったんですけど…

下村

なんかあったん?

百崎

えっとですね…

蒼生の話によれば 電話で男性と 揉めている感じで 話し込んでいたらしい。 蒼生はあまり聞いてはいけないと 感じでその場を 離れたみたいだった。

仲野トレーナー

お、みんな揃ったね。

下村

あの、修也のことなにか知ってませんか?

百崎

さっき電話したんですけど、なにか隠してる感じがして…

仲野トレーナー

そのことを今話をしようと思った。さっきうちのチームのスポンサーの社長さんがやってきたんだけど

津田

スポンサーって色々あるんすけど…

仲野トレーナー

まぁそこは置いといて。修也は今ここにいらっしゃった社長さんのところにいるらしい。

下村

あの、そのスポンサーの社長さんって笹倉って苗字じゃないっすか?

仲野トレーナー

………なんで知ってんの?

百崎

マジで?んじゃあの子って、

石黒

跡取り?

椎名

てことは次期社長ってこと?

津田

そういうことやな。

下村

だから電話対応丁寧だったんや…

仲野トレーナー

んでな、こっから難しい話になるんだけど…

簡潔にまとめると 修也の親戚の方が 連帯保証人に修也の 名前を書いたらしい。 要するにお金関係。 んで、蒼生が聞いたのは そのお金関係の人と 揉めてる感じだった。

百崎

なんであいつ言わないの…

石黒

なんでも1人でやろうとする子だからなぁ…

下村

俺らも話を聞こうとしなかったからなぁ…

仲野トレーナー

修也もいい奴らに囲まれたなぁ…

椎名

修也何も悪くないのに。

津田

ていうかなんで連帯保証人になったん?おかしくね?自分で払えばいいのに。

松原

そう言いたくなる気持ちもわかるけど落ち着こうよ。

福島

うちの子になんてことを…

下村

んじゃ修也しばらくどうするんですか?

仲野トレーナー

修也の身の安全を優先して社長さんのお家に身を寄せることになった。

百崎

ヤ○ザの人が来るから?

津田

ちょっと。

下村

その単語言っちゃダメ。

松原

たしかにその方が安全かも。

福島

キャンプどうなるんですか?

仲野トレーナー

そこは上の方で要相談。

今の段階では 修也と自主トレは 別でやる方向。 報道陣には ウエイトと室内練習を主にしていると 話すらしい。 修也に関しては 自主トレを公開しないとのこと。

福島

修也大丈夫かな…

椎名

不安やな。

百崎

うちの修也が…

下村

唯一の同い年やもんな。

石黒

話変わるんですけど、電話に出た女の子って何歳なんですかね?

津田

セクハラやぞ。

百崎

聞いた感じ年上っぽそう。

仲野トレーナー

よし、話はそこまでにしてウエイトトレーニング始めよっか。準備してー!

下村

はーい

仲野トレーナー

あ、言い忘れたことあった。

松原

なんですか?

仲野トレーナー

修也雨にずっと濡れていたせいで熱出して記憶一時なくしてるらしい。

津田

記憶失くしたとは…?

百崎

熱出したのは知ってたけど…

下村

一過性全建忘ってやつか…

百崎

なんですか?それ。

津田

熱のせいで名前とか年齢、親御さんの名前以外全部忘れること。だいたい1日ぐらい経てば治るらしいよ。

仲野トレーナー

修也が心配なのはわかるけど練習しよか。

修也side 夜11時頃 中々寝付けなくて 部屋にあったスープの粉があったから お湯を入れて飲んでいる。 ちゃんと美琴の許可付きで。 なんとなく体が 暖かくなっていくのを感じると ドアが擦る音が聞こえ ドアを開けると 大きなワンチャンがやってきた。

修也

なにこれ?どういうこと?

首輪を見ると ”ポム”って書いているから この子の名前だろう。 上の服の裾をやたらと 引っ張るから 多分美琴の元へ 連れていきたいのだろうと思い 新しいスープを作り彼女の元へ向かった。

美琴の部屋

美琴

あれ?どうしたの?こんな遅くに…

修也

中々寝付けなくてスープ飲んでたらこの子が来て…

美琴

あ、ポムどうしたの。

大きなワンチャンの 頭を撫でると ワンチャンは気が済んだのか 彼女のベットの上に寝転んだ。

修也

あ、これ良かったら飲んでどーぞ。

美琴

いいの?ありがとう。

元々置いている物が少ないのか シンプルな部屋だった。

修也

質問いい?

美琴

どーぞ

修也

大学進学って言ってたけど、どこの大学行くの?

美琴

んーとね、関西学院の経済学部に行く予定。

修也

んじゃテストは?

美琴

2月1日。

修也

明日?

美琴

うん。

修也

やばいじゃん。俺部屋戻るわ。勉強頑張って。

美琴

要点だけまとめたからあとは大丈夫だって。

修也

たしか関西学院って頭いいじゃん。

美琴

まぁ一般的にそう言われてるね。

修也

模試とかは?

美琴

A判定。塾の先生と学校の先生曰く受かるはずやって。

修也

化け物やん…

美琴

入試に関してはもう大丈夫かな。うん。

修也

大学院も行くの?

美琴

うん。行く予定。

修也

あと6年勉強…

美琴

ねぇねぇ

修也

ん?

美琴

自分語りになるけど聞いてもらっていい?

修也

いいけど…明日入試なんだし早く寝たらどう?

美琴

緊張して寝られないんだよね。

修也

そっか。んじゃ話聞く。

美琴

私ね、お兄ちゃんとお姉ちゃんいるんだけどね。

修也

うん。

美琴side 明日の入試のために 勉強してもう寝ようかのところで ゴールデンレトリバーのポムを連れた 修也くんがやってきた。 彼が入れてくれたスープを飲みながら 私のお家のことを話す。

修也

今お兄ちゃんとお姉ちゃん何してるの?

美琴

お兄ちゃんは弁護士してて、お姉ちゃんは海外でファッションデザイナーしてる。

修也

美琴は?

美琴

この家の会社の跡取り。

修也

次期社長…

美琴

そういうこと。

ぬるくなった スープに口をつけた。

美琴

美味しい…

修也

なら良かった。

美琴

あ、そういえば

修也

ん?

美琴

明日修也くんの同期の方いらっしゃるらしいよ。

修也

ほんと?

美琴

うん。さっき父さんが言ってた。

夕飯が終わったあと 声をかけられて そんな話をしてきた。

修也

そういえばこんなこと聞いちゃダメかもしれないけど…

美琴

あ、私のお母さんのこと?

修也

そう

美琴

私の母さん3年前に乳がんで亡くなってる。

修也

変なこと聞いてごめん…

美琴

いいって。気になるもんじゃん。

母の癌がわかった時 既に治療に手が付けられないぐらい 進行が進んでいたらしい。 母の願いだった 会社の跡取りを 私が引き受けることになった。

修也

お母さんの願いか…

美琴

そう。

修也

ほんとはやりたいことってあったんじゃない?

美琴

私?

修也

うん。

美琴

………やりたかったことって言われたら薬剤師になりたかった。

修也

お母さんの病気を治す薬を作りたかったんでしょ?多分。

美琴

うん。ほんの一時期だけど病院の先生恨んじゃったな。何も悪くないのに。

いつの間にか流れていた 涙をふいてくれた彼。 今まで溜め込んでいた想いを 出し切るように 彼の腕の中で涙を流し続けた。

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