戦後のお話。 今回は最初アメリカ視点です。
日本が病んでます。でも今回は明るくなります。 ※キス表現ありますが、意味は人それぞれで捉えてもらって構いません。 ⚠️旧国注意
さん
にー
ぜろ
会議室:
日本
アメリカ
背を向けて立ち去っていく同盟国を前に、俺はただ立ち尽くすしかなかった。
周囲の国々は 遠巻きに俺達を凝視しており、極めて居心地の悪い状況だった。
パラオ
アメリカ
歯切れの悪い俺の発言に不安度が増したのか、パラオの表情もまた暗くなる。 何だこの違和感...何で日本はいきなり あんな事言い出したんだ?
そして、普段怒り泣きしない彼の豹変に戸惑う俺達の元に、とある国が話しかけてきた。
中国
パラオ
話しかけてきたのは、 アジア1の経済大国・中国だった。
アメリカ
中国
ケラケラ、と口を袖で隠して笑う中国。 この状況下だと殺意しか沸かない。
というか化けの皮って何だ、 日本が本音を中々言わない性格なのは知っているが、 その時のアメリカにとってはその言葉が大事な意味に思えた。
気に食わないが、 日本の昔も今も知り尽くしているのはコイツだけなのだから。
中国
アメリカ
中国
くるりと服をはためかせ、中国が背中を向ける。
複雑なことに、その仕草は細かい部分まで日本とそっくりだった。 まるで本当の兄弟のように。
中国
パラオ
アメリカ
第2会議室:
中国
かちゃり、とドアに鍵をかけた中国は、少し改まった表情でこちらを見てきた。
アメリカ
中国
日本とは仲が悪いはずの中国だが、 何やかんやで気に入ってはいるらしい。
あれだけ仕草が似ていれば、それも納得はできるのだが。
中国
パラオ
中国
アメリカ
自分でも顔が青ざめていくのが分かる。 何でもっと早く気付いてやれなかったんだ、俺は?
そんな俺の様子を見透かすかのように、中国はヤレヤレと首を横に振った。
中国
中国
『あぁ、自分は誰の一番にもなれないんだな』 ............って。
中国
そう吐き捨てた中国の表情は、影になっていてよく見えなかった。
ただ、とても悲しそうな顔をしていたということは、 パラオとアメリカには痛い程伝わったのだった。
日本side:
翌日、屋上には一つの影があった。
日本
昨日、会議室を飛び出してしまった。
部屋を出ていく間際、アメリカさんとパラオの顔をちらっと伺った。
まさに絶句した表情でこちらを凝視していたのが、嫌になるほど鮮明に記憶に残っている。
日本
他の国も全員呆気にとられたような顔で私を見ていた。 ......あと、中国さんが何もかも悟った様な目をしていたのも朧気に覚えている。 あの人には全てお見通しのようで。
挙句の果てには、 帰ってきていきなり妹に抱きついて泣き喚くという痴態まで晒してしまった。
自分の知らない内に、 僕は随分と無理してたみたいだった。
日本
それでも、ここまで頑張れたのは。
日帝
日本(幼少期)
穏やかな笑みを浮かべて、優しく手を広げてくれる父さん。
日本(幼少期)
日帝
日本(幼少期)
日本
じわ、と視界が滲む。
透明な雫が、地面へと落ちてゆく。
日本
もう居ない父の笑顔が浮かんでは消え、浮かんでは消えを繰り返す。
嗚呼、その笑顔も、言葉も。
ぜんぶぜんぶ、うそなんだ。
父さんにとっては、自分みたいな大人しくてつまらない子供よりもパラオの方が好きだったんだ。
快活で、心優しくて、勇気もあって、 一度でも父と共に戦おうとしたパラオの方がずっと好きなんだ。
......でも当たり前、か。
でもそれだと私の価値は一体何だ? なら、そんなことになるくらいなら!
日本
呟いたその時だった。
アメリカ
後ろから優しく抱き寄せられる。 ......あぁ、この香水の匂いは。
日本
アメリカ
何でここに、何で抱きしめて....?そもそも何でここが分かったの?
疑問だらけで頭がぐちゃぐちゃだ。 それに、
どうしてそんな、 悲しそうな顔をしてるの?
日本
アメリカ
アメリカ
日本
アメリカ
心臓が跳ねる感覚がした。
何で、僕ですら気付いてなかったのに!
アメリカ
日本
アメリカ
アメリカ
日本
あぁ、アメリカさんにまで気を遣わせてしまっている。
父を討った仇ではあるが、 自分達をここまでサポートしてくれた恩人でもある人。
ここで手を煩わせたら、また嫌われてしまう......!!
そんなの、絶対に....
日本
アメリカ
体の向きを変えて、真正面から対峙する。
いつも身につけているサングラスは取られていて、綺麗なコバルトブルーの瞳がよく見えた。
大海原を想わせる美しさを秘めた視線に、思わず何か期待してしまう。
アメリカ
アメリカ
『お前を世界一愛してる!』
日本
アメリカ
日本
アメリカ
嘘だ、絶対嘘だ。
期待したってまた、きっと裏切られる....!
アメリカ
だって、世界一の大国のアメリカさんが自分を愛してくれるなんて、
アメリカ
有り得ない、有り得ない、
アメリカ
アメリカ
やめて、それ以上言わないで、
日本
アメリカ
ちゅうっ、と。
唇に重ね付けられる。
日本
アメリカ
くしゃっと頭を撫でられる。
アメリカ
「な!」と笑うアメリカさんに、涙で ぐちゃぐちゃになった私が言えたのは たった一つの疑問。
日本
敬語も外れて、ぽつりと呟いた疑問。
だけどあの人は、そんな不安すらかき消して笑い飛ばした。
アメリカ
日本
"どこまでもあなたは、私の光なんですね。"
──────日本編、閉幕。
コメント
3件
やばい…良かったです。 日帝の1番の敵が日本の1番の相棒なの本当に大好きです。 後中国が1番の理解者なの解釈一致すぎて…
この話のアメリカさんの日本くんに対する想いは、 個人的には恋情とか友情とかそういうの全部ぶっとばした彼方の先にある深い愛情(?)だと思って書いてます(((