怪盗 時雨桜

〜ユキ(真冬) side〜

ウェーブと一緒に、合流場所である 競技場裏まで向かう

ふと疑問に思って、そう聞いた

楽しそうにそう言って、 ニッと笑ったウェーブ

ソラのナビ通り、左に曲がる

すると、そこにはすでに ボクとウェーブ以外が集まっていた

メンバーをよく見ると、 ソラが足りない

それなら、特に心配しなくてもいいか

優がウェーブの方を見てそう言った

ウェーブより先に、 浦田先輩が口を挟んだ

本当に探偵は、一体どこまでボクらの ことを知ってるんだろう……

何故か突然、ウェーブの声のトーンが 暗くなった

表では、彼女は彩莉と 友達として接してる

それに、リーフにバレちゃいけない から、いとこだってことを言うのも こちらとしてはよくない

一体何を言うつもり……？

ボクとウェーブの関係？

彼女ではないけど、ここで違うと 言ったところで、他の言い訳が 思いつかない

ここは、首を縦に振るしか……

ボクが答えに困っていると、 背後からソラの声が聞こえてきた

こちらに歩いてくる彼に駆け寄って、 安否確認をする

何故か、小声で謝られた

ウェーブの言葉を遮って、ソラが言う

その声には、怒りのようなものが 混じっていた

ソラの言葉が理解できなくて、 ひたすら質問をする

当の凪沙は、ソラを見て黙ったまま

なんで、なんでここでファントムの 名前が出てくるの？

まるで、凪沙がファントムの一人 だとでも言うように

ボクらのしてきたことが、 無駄だったとでも言うように

声を荒げて、叫ぶように言ったソラ

こんなに感情を剥き出しにしているの を見たのは、一体いつのことか

だけど……これだけは言える

心の底から叫ぶように

兄さんに応えるために

今まで溜めていた全てを吐き出した