なおきりがいなくなり、部屋外の騒動も聞こえなくなった静かな部屋。
一人ぼっちで蹲り、何も考えないよう目を閉じる。
『俺の傍から消えて欲しい』
そんなの本望じゃない。
ゆあん
いくらでもため息は出ても、本音は出てこない。
『側にいてよ』そんな一言が、傷つけてしまいそうで。
日に日に実感している、ヴァンパイアの通りになることを。
犬歯部分が痒くなり、たまに血が欲しくなる。
それだけなら我慢出来る…けど…
なおきり
優しい声がふわりと届く。
振り向いて何も言わない俺を、そっと抱き寄せてくれた。
ゆあん
本音じゃない、こんなの。
でも、言わないと…
傷つけないように…離れてって欲しいと。
でも、なおきりさんは鼻で笑う。
なおきり
ゆあん
なおきり
ゆあん
ゆあん
なおきり
ゆあん
なおきり
ゆあん
抑えきれなかった。
離れて欲しくない、側にいてよと叫びたいのに。
思わずなおきりの胸元を何度も殴る。
なおきり
殴る俺に何度もあやす様に撫でてくれる。
苦しい、苦しいよ…
お願い、そんな事しないで…
ゆあん
なおきり
ゆあん
今まで以上に叫べば、さすがになおきりも怯む。
大きな音を立てて押し倒し、威嚇して見せた。
ゆあん
ゆあん
ゆあん
ゆあん
違う、違うよ…
なおきり
ゆあん
ゆあん
シヴァ
音を聞き付けてやってきたシヴァ。
なおきりを俺から剥がして連れていく。
行かないで…行かないで…
俺のそばに、居てよ…
届かない、出てこない声が、軽く伸ばした手に現れた。
また誰もいなくなった部屋、行き場のない中途半端に伸びた手を見つめていた。
ゆあん
なんでだろ…涙が出るんだ。
俺が選んだ選択なのに
コメント
19件
ゆあんくんが言ってる事をテキストのゆあんくんが心で思ってる言葉が否定してて,「ゆあんくぅん......」って心が締め付けられましたね.
最高すぎる!! 続き待ってます!!!
ぁぁぁぁぁぁぁぁ!待ってましたぁぁぁぁぁぁぁぁ!めっちゃ何かムズムズする……!やっぱこの面白さは芝音さんにしか出せませんね!やっぱ最高だぁぁぁぁぁ!