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7 - ももいろのあめだま

♥

221

2022年10月10日

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💗

...ころんってさ、

💙

んー?

💗

よく噛むよな、飴。

💙

どったん急に、

💗

いや、何となく思ってさ、

💙

あーね?

💙

うん。噛むね

💗

なんでなん?

💙

なんでって言われてもなぁ...

💙

なんか癖になってたわ

💗

飴噛んでるといいご縁も砕けるぞー?w

💙

うっせ、おばぁちゃんも同じこと言ってたわ。

💗

まじ?w

💙

さとみくんはおじいちゃんだったんか...さとみじぃ...

💗

やめろw

さとみ。桃瀬さとみ。

僕の初恋の人。

隣にいられるならなんでも良かった。

幼馴染だとしても、相方だとしても、

隣を独占できるなら、その瞳を独占できるなら、

それ以上は望まなかった。

これ以上望んだら、撥が当たるから。

それだけで良かった。

良かったのに。

💗

あー、そだ

💙

ん?

💗

俺さ、彼女出来たから暫く一緒に帰れんわ

💙

はっ...?

頭が真っ白になった。

さとみくんに彼女、恋人が出来た。

それだけが頭を支配した。

前が見えなくなって、目眩がする。

嫌だ。そんなの、嫌だ。

ぼくいがいのとなりなんて、いやだ。

💙

っっ...

💗

...?ころん?

💙

...ごめん、頭痛い。

💗

え、

💙

先帰ってるね。

💙

ごめんね!!また!

僕はさとみくんを見ずに全速力で走った。

涙が溢れて、目の前が見えなくなる。

つらい、いやだ、ねぇさとみくん。

すきだよ。

💙

っ、はぁ...

ポケットから飴玉を出す。

毎週、近所のおばちゃんから貰う飴。

色んな味があったけど、僕は必ずピーチを選んだ。

さとみくんの色だから、さとみくんの苗字だから。

そのうちおばちゃんから自然にピーチを渡されるようになって。

桃のお裾分けもしてくれた。

ころんちゃん桃大好きだねって言われた時、恥ずかしかったけど。

それでも嬉しかった。

さとみくんの桃。

桃がそばにあるだけで強くなれた。

僕だけのおまじない。

泣きながら口に放り込む。

いつもの桃とは言い難い人口的な味。

でも、噛み砕けば終わる気がして。

僕は初めて最後まで飴を舐めた。

最後の最後で溶けてくのが悲しいかったけど。

💙

...あ、

確か、こうやって無くなるのが嫌で、

悲しい思いするならって噛んだ幼い自分を思い出した。

💙

ふは...、っ

結局、噛み砕いても悲しいのは一緒だったんだ。

💙

すき、すき、すき。

💙

さとみくん。すき。

狂ったように呟く。

忘れられるように。忘れないように。

💙

すき。すき。すき...っ。

💙

だいすき。すき。

涙を拭いて、立ち上がる。

💙

...よし。

明日からは何事も無かったように振る舞えるように。

こころとあめだまをポケットにとじこめて。

ぼくはまえにすすむんだ。

あれから、僕の引越しが重なって、

吉か凶か、話さないまま何年も経った

💙

あ...、

そっと薫る、桃の香り。

青く映える空に見合わない桃色。

いつの間にか桃が旬の季節になってたらしい。

💙

...買って帰るか...

自分の気持ちなんて一向に振り切ることの出来てない僕は、

未だに桃を好んで食べる。

熟してそうな桃を幾つか取り、会計に向かう。

店員さん

...桃、好きなんですか?

💙

え?まぁ、はい...

店員さん

ふふ、桃いいですよね。

店員さん

私も好きです。

店員さん

桃って、夏が旬ってこと、意外と知られてないんですよ。

💙

そうなんですか...

店員さん

はい、無意識に春だと勘違いするみたいなんです。

店員さん

でも...いいですよね、夏に桃。

💙

...え?

店員さん

ほら、夏の青い空に桃色って似合うじゃないですか?

💙

...そうですね。

店員さん

貴方の髪も、とても桃に映えますね。すごく綺麗です。

💙

...ありがとうございます。

店員さん

長話になってしまい、申し訳ございません。商品です。

💙

いえ...、また来ますね。

店員さん

はい。ぜひ。

店員さん

ありがとうございました。

『ほら、夏の青い空に桃色って似合うじゃないですか?』

💙

...ほんとかな

だとしても、きっと僕には似合わない

さとみくんの隣なんて似合わない。

きっと隣には、可愛くて、綺麗で、

明るい女の子の方が似合うから。

💙

...帰ろ。

💗

...、ころん?

💙

っ、!?

💙

さとみく...っ?

💙

ぁ...っ、

💗

っ、まってよ!

💙

.....久しぶり、だね。

💗

...言いたいことは色々あるけど、

💗

まぁ、久しぶり。

いやだ。

こわい、いやだ、うれしい。

💙

なんでここにいんの?

💗

仕事の主張。

💙

...そっか。

💙

...........僕んち、くる?

💗

...うん。

💙

ほら、桃。

💗

...ありがとう。

💗

...ねぇころん。

💗

なんで引っ越すこと、言わなかったん?

💙

...忘れててさ、ごめんね!

💗

うそつき。

💙

.....っ、

💗

.....ごめん、違かったら全力で否定して。

💗

ころんさ、俺のこと好きだった?

💙

はっ、?

💙

ちがっ、

💗

じゃあなんであの時あんな顔したの。

💗

俺が彼女いる、っつった時。

💗

あんな、泣きそうな顔。

いやだ、きらわれる。

いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、

やめて。

💙

...っ、うっさい!!!

💗

ころん。

やめて。

その声で僕の名前呼ばないで。

好きになるから。

怖いから。

やめて。

💗

ころん。最後まで聞いて。

💙

っ、

💗

俺さ、あの後、ころんが引越した後。

💗

何度も何度も考えた。

💗

彼女と帰っても、他のやつにと帰っても。

💗

落ち着かなかったんだ。

💗

それでやっと気付いた。

💗

ころんじゃなきゃ駄目なんだって。

💙

っ...、!

やめて。期待させないで。

💗

俺さ、

やめて

💗

ずっと──

やめて

💗

ころんのこと、好きだったんだ。

...嗚呼。

💙

違うよ、

💙

さとみくんの好きは友達としてだよ。

💙

僕は...っ、違う好きなのに...

💙

ずっと一緒にいて、勘違いしてるだけだよ...っ、

💗

勘違い?

💗

キスしたいって思うのが?

💙

...は、

💗

抱きしめたいし、キスしたいし、それ以上のことだってしたい。

💗

彼女にも思わなかったことを、ころんに思うのに、それが友達?

💗

ならさ、"友達"としてころんにキスしていい?

💙

っ、まって、わかったから。

💙

ちょ、っとまって。

💗

...顔、真っ赤w

💙

...うっせ、

💗

ね、ころん。

💗

すきだよ。ずっと、あいしてる。

💗

だからさ、俺と一緒に居て。

💙

.....僕、うるさいし、我儘だし、可愛くなんてないよ?

💗

そんなん慣れっこだろ。てかころんは可愛い。

💙

...おかしいでしょ。

💗

まぁ、周りから見たらおかしいだろうな。

💗

でも俺はころんと居たい。

💙

...っ、うん。

💙

僕も、っ、さとみくんと居たい...

💗

ふは...っ、

💙

好き...っ、好きだよ。

💗

俺も、好きだよ。

隣にある桃が、なんだか輝いて見えた

すきだよ、さとみくん。

僕はもう、貴方の虜だ。

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