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蘇枋

珍しいね
桜君からこう言うお誘い
してくれるの

……

うっせ

必死にこの差恥に耐えながら 絞り出した声は なんとも汐らしく、 さらに俺の羞恥心を抉った。

そんな俺を見てなのか、 蘇枋は「フフっ」と 手を口元に添え 上品に笑っていた。

何時もと変わらぬ、 同じ様な会話をしている筈なのに、 俺の心臓は高鳴り、 蘇枋の顔を直視出来ないでいる。

蘇枋は、俺の事を 恋愛対象として見ていない。 良き友人として、 俺に接していると言う事を 自分自身に言い聞かせ、 この激しく鼓動する心臓を 抑えようとした。

蘇枋

さくら、

蘇枋

まだ散って無くてよかったね〜

一瞬桜の発音が、 俺の名前に聞こえ、 ドキリと心臓がはねた。 そんな訳無いと、 再び激しく動き 収まりを知らない心臓を 俺は押さえつけた。

なんだ、

はやとちりかよ

きっと聞こえてないであろう 言葉を、 胸を押えつつそっと零した。 急にピタリと 蘇枋が隣で固まった様な気がした。

?、どうかしたのかよ

蘇枋

い、いや、
なんでもない……

その表情は笑顔であったが、 何やら何時もの胡散臭いものではなく、 硬い笑顔だった。 喋り方も、 どこがぎこちなく、 何時もの大人っぽい喋り方と 違い、年相応の言葉に見えた。

んだよ急に

変な奴

蘇枋

そ、そうだ桜君
ちょっと自販機寄らない?
喉が渇いちゃってね〜

あ?いいけど、
お前ジュースなんか
飲むのかよ

蘇枋

あ〜

蘇枋

うん!お茶も売ってるしね!

何時もなら絶対自販機で 飲み物なんか買わないのに、 珍しくそこへ行きたいと 言い出した蘇枋に、 不信感を抱きながらも 付き合うことにした。

お前金あんの?

蘇枋

傍から聞いたらカツアゲを
している人みたいだよ
桜君……

いいだろ
人も居ねぇし

蘇枋

まぁそうだけど……

蘇枋

あ、それと、

蘇枋

ちゃんとお金はあるよ

そーかよ

少し歩き続けると 微々たる光を放つ自販機が 見えてきた。 蘇枋は自販機に金を投入し、 真っ先にお茶を買った。 蘇枋が自販機に金を入れる姿は、 収まりかけてた俺の胸を、 またもやドキリとさせた。

白く長い指が、 丁寧に金を入れてゆき、 お茶を買った。 それだけなのに、 俺の心臓は打ち付けられた。

蘇枋

ありがとう桜君

こんくらいどーってこと…

ぶっきらぼうに そっぽを向きながら返事をすると、 ペットボトルのキャップを開け、 蘇枋がお茶をゴクリと飲んだ。 喉仏が、上下していた。 そんな姿を見つめていると、 蘇枋がこちらに目をやった。

蘇枋

なーに?桜君も飲みたいの?

蘇枋

いいよ
はいこれあげる

蘇枋

俺もう要らないから

要らないって、
お前

1、2口飲んだだけじゃねぇか

蘇枋

それで俺は十分なんだよ

じゃ、遠慮なく貰うわ

正直、 さっきから顔は暑く火照っているし、 心臓もうるさく鳴っていて 俺の体温を上昇させて居た。 蘇枋の上着と合わせ 少しの暑さを感じていたので、 この水分は結構有難かった。

開いたままのペットボトルの口を、 自分の口に入れ、 勢いよくお茶を飲み干した。 喉に冷たいお茶が流れ込んできて、 体が冷えて行くのを感じた。

飲み干し口元を自分の腕で 拭っていると、 蘇枋が目を丸くしてこちらを見ていた。

んだよ

やっぱこれ
欲しかったのか?

蘇枋

いや、そうじゃないけど……

蘇枋

はぁ、……

蘇枋

無知って怖いね……

あ??何言ってんのか
分かんねぇよ

蘇枋

いや、こっちの話だよ

蘇枋

ほら桜君、
そのゴミかして?

無言でゴミを渡すと 蘇枋は 自分の近場にあったゴミ箱へと ほおりこんだ。

蘇枋

桜君、暑いならその上着
脱いでいいんだよ?

いや、いい。

別に暑くねぇし、

羽織っているものから、 もう蘇枋の体温は感じられないが、 ふわりと蘇枋の匂いがして、 気恥しさと共に、 少し落ち着く感じがした。

蘇枋

そっか。
暑くないならいいんだけど…

辺りは静かに静まり返って居て、 蘇枋と俺の足音しか 聞こえてこなかった。 正確に言えば、 聞こえていたかも分からない。 俺の心臓の音がドクドクと 激しく脈打っており、 周りの音なんて気に ならない程だった。、

「そろそろ帰ろう。」 そう言う言葉が 口から出そうになるも、 俺の口から漏れ出ることは無かった。 蘇枋も、口を閉じ 静かに歩いているだけで、 何も言ってこなかった。

俺が誘ったんだ。 満足した もう帰ろう。 そう言わなければならない。 優しいこいつの事だ、 きっと俺が言い出すまで 何も言わないだろう。

心に括りを決め、 俺はいざ口を開こうとした。

なぁすお、....

蘇枋

桜君。
もうちょっとだけ
付き合ってくれる?

蘇枋

俺の足の事は心配しなくて
いいからさ、

わかった。

柔らかく笑う、 深い赤き瞳を持つこの男 の言うことに俺は 静かに、 YESと答えた。

飲み込んだ飴玉。

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コメント

15

ユーザー

お互いに無意識に名前を呼んでしまっているの尊すぎる...関節キッスもしちゃいましたよね..??!!はぁ..無知って怖い...( ; ; ) このまま海辺か何かに行って告白ですね,

ユーザー

桜の鈍感力には恐れ入りますわ すおういつもは大人っぽいのに子供っぽく?なっててかわいいww 続き待ってます‼️🎵

ユーザー

間接キスしたのに気づかない桜可愛い〜〜

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