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正反対。

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正反対。

3 - 正反対。 3話。

♥

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2020年03月22日

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紡希 絢

お、お兄ちゃん!

紡希 來夢

絢!久しぶりだな。元気だったか?

紡希 絢

お兄ちゃん、何で…

私の兄、來夢(らいむ)は大学2年生。

しかも、全寮制の大学のくせにたまに帰ってくる気まぐれ。

紡希 絢

お兄ちゃん、帰ってくるなら教えてっていつも言ってるじゃん。

紡希 來夢

まーま、いいだろ別に。そんなに俺が嫌いか?

紡希 絢

いや、どうでもいい

紡希 來夢

思春期の妹は酷いなぁ。

紡希 來夢

母さんー!絢がいじめるー!

そんな、面倒臭い兄もかっこいいところはあって、私を何度も助けてくれた。

高校の時のあだ名は「漫画のヤンキー」だったそう。

紡希 絢

(家族なのに、どうしてこうも性格が違うのか…)

陽気な兄と、慎重な私。

周りの人が言うに、正反対だそう

次の日。学校にて

平 哉翔

紡希、原稿…

紡希 絢

あ、できたよ。コピーしてある。

朝から平くんに話しかけられる。

周りのみんなは、私が平くんと話している状況に息を飲んでいる。

琴葉 茅野

絢ー!おはよ!と、平哉翔。

紡希 絢

茅野、おはよう

琴葉 茅野

平哉翔見つかったんだ。良かった。そして、2人は何話してんの?

平 哉翔

お前には関係ない。

平くんが茅野に冷ややかな目線を送る。でも、

琴葉 茅野

えー、気になる。

紡希 絢

(茅野のおおらかな性格に通じるわけないんだなぁ。)

茅野はおおらかなで元気。 ムードメーカーと言うやつだ。

紡希 絢

1年生歓迎会の話だよ。

琴葉 茅野

あ、もうそんな時期か。生徒会主催だもんね。

平 哉翔

だから、関係ないって言ったろ。

琴葉 茅野

はいはい。

平 哉翔

💢

紡希 絢

ハイハイ、落ち着いて。HR始まるよ

私の声に茅野達だけでなく、他の人たちも座り始める。

紡希 絢

(これがクラス委員…!)

私は少し、感動した。

帰宅

紡希 絢

ただいまー。

紡希 來夢

おかえりなさい、絢♡

紡希 絢

何でエプロンしてんの…

私は目の前の光景にげんなり。

紡希 來夢

絢の為にクッキー作ったのよ。

紡希 絢

お母さんがでしょ。

兄は、家庭科の成績は最悪だ。なにか作ろうとすると必ずダークマターになる。

紡希 來夢

ちぇ、バレたか。

兄は、ふざけて着ていたエプロンをぬぐ。すると、

ピンポーン

紡希 來夢

あれ?誰か来た。

紡希 絢

宅配じゃない?

私はドアを開ける。

紡希 絢

はい。って、平くん

平 哉翔

よ。

紡希 絢

何でここに?しかも、どうして家が…

平 哉翔

琴葉に聞いた。お前、USB置いて帰ってたぞ。流石にやばいだろって思ったから。

紡希 絢

あ…ごめん。私、たまに抜けてるから…

平 哉翔

いや、いい。

紡希 來夢

お?絢、彼氏くん?

紡希 絢

彼氏じゃない。お兄ちゃん下がってて。

平 哉翔

平 哉翔

あの、俺覚えてませんか?

いきなり平くんが食い気味で兄に話しかける。

紡希 絢

紡希 來夢

ん?

平 哉翔

俺の事、覚えてませんか?

紡希 來夢

えっと、

紡希 來夢

紡希 來夢

どっかであった?

きっと今、この場で1番言ってはいけない言葉を兄は発した。

紡希 絢

お兄ちゃん!

平 哉翔

そ、うですよね…。ごめん紡希。

紡希 絢

平くん!

そう言って平くんはうちの玄関を閉めた。

紡希 絢

お兄ちゃん!デリカシーが無さすぎる!もっと状況を読んで話して!人を傷つけることになる!

紡希 來夢

え、悪ぃ。

紡希 絢

もう!

私はいてもたっても居られなくなって、家から飛び出した。

紡希 絢

(平くん、どこいった…?)

平くんが出ていった後にすぐ追いかけたから言うほど遠くに行っていないはず。

紡希 絢

あ!

紡希 絢

平くん!

私は平くんの腕に手を伸ばす。

紡希 絢

平くん!待って!

私は久しぶりに全力疾走したので息が切れていた。

紡希 絢

良かった…、まだ、遠くに行ってなくて…

平 哉翔

なんだよ。

紡希 絢

っ!

不機嫌なのがすぐに分かる。

紡希 絢

(大丈夫。)

紡希 絢

ごめんなさい。私の兄が、酷いことを…

平 哉翔

いや、いいよ。

紡希 絢

ズバッと切られる。

紡希 絢

(負けない。)

紡希 絢

お兄ちゃん、忘れっぽいところがあるから、もしかしたらすぐに思い出すかもしれないし、だから…

平 哉翔

お前、どうしてそんなに人に付きまとうの。

会心の一撃を受ける

紡希 絢

あ、

平 哉翔

しつこいんだけど。どうしてそんなに人に構うの。メリットなんてないじゃんか。

紡希 絢

た、確かに、人に構ってメリットがあるなんて思えない。

紡希 絢

でも、

でも、

紡希 絢

人に構ったり、助けたりすることによって、デメリットがあるなんて、限らない!

平 哉翔

平 哉翔

メリットがあるなんて保証もない!

紡希 絢

そうだよ!でも、両方の保証がなくても、人は不平等に人と話す、関わる、助ける。

紡希 絢

人類は、そうやって時代を築いてきた。

一息に言うと、我に返る。自分が何を言ったのか、どんな状況だったのかすぐに理解する。

紡希 絢

(やっちゃった…)

紡希 絢

(お兄ちゃんにあんなこと言ったのに…。自分で言えないよ。)

平 哉翔

ぷっ、

紡希 絢

え、

平 哉翔

あははは、

平くんが大笑いをしている。私はもう、何が起こっているのかわからなくて呆然と平くんを見つめている。

紡希 絢

ど、どうして、笑って…

平 哉翔

あはは、お前みたいなの初めてだわ

紡希 絢

え、

平 哉翔

みんな、俺に歯向かおうとしないし。琴葉もそうだ。俺が威嚇したのに全然見向きもしない。

紡希 絢

茅野は、おおらかな性格だからねぇ

私は愛想笑い。おおらか過ぎて、大変なこともあるけど、茅野の声はみんなが頷くほど説得力がある。

平 哉翔

お前の事、真面目でビビりなやつって思ってたけど、前言撤回。

平 哉翔

真面目で正直だ。両方とも上にバカがつく。

紡希 絢

なっ、

つまり、「バカ真面目」と「バカ正直」ってことだ。

紡希 絢

何それ。あはは、

平 哉翔

そんなふうに見えるんだよ。

平くんが微笑む。

紡希 絢

そうかなぁ。

平くんは顔立ちが整っていて笑うとその威力を増す。これでモテないのはもはや、まとう空気のせいだ。

紡希 絢

ただいま。

紡希 來夢

絢、さっきの…

紡希 絢

うん、話してきたよ。大丈夫

紡希 來夢

なんか、妹に尻拭いをされるのはちょっと複雑。

紡希 絢

自分がやったんでしょ。

いつもの会話。いつもの空気。

それもなんだか今は、新しく感じる

紡希 絢

(明日は、どんな日かな。)

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