激しく照らすその日差しは俺の肌を焼き付けに来ている
むしろ実家に帰ってきたのはついでみたいな所まである
智樹
ただいま静華

静華
あ!智樹帰ってきたんだ!!

智樹
君がいなくなってもう10年も経つんだね

静華
時の流れは早いねー

智樹
当時は2人ともまだまだ子供だったってのに

智樹
今の俺はもう大人になってさ

静華
ほんと成長したねー

智樹
毎年毎年来てたから俺の顔つきとかだんだん大人っぽくなってきてて気づいてたかな

静華
確かに大人っぽくなってるー!

静華
でもでも!笑った顔は昔と変わらず素敵だよ!

智樹
そっか……

智樹
まぁ静華の事だしそういうだろうなって思ってた

静華
見透かされてた感じかな〜?

智樹
最近さ大人になって初めて仕事をする事の辛さを知ったんだよ

静華
そうだよね〜

静華
あの時は自分達が仕事するなんて思わなかったしね〜

智樹
いつもいつもいいように上司に扱き使われてさ

静華
それは許せない!

静華
私が代わりに怒ってあげる!!

智樹
でも扱き使われるのが後輩だし

智樹
まぁ仕方ないっちゃ仕方ないんだけどな

静華
もー変わらず優しいんだから智樹はさ

智樹
仕事をしてる時、時々昔のことを思い出すんだよ

智樹
俺とお前で山ん中走り回ってさ

静華
あったねそれ!

智樹
川辺で水遊びして

静華
そのまま釣りとか楽しんじゃったよね!

智樹
何回か俺は川に落ちて死にかけてるけどね

静華
やんちゃ系な子だったもんねー

智樹
でもその気ままで何気ない時間って最高だったなって思うんだよね

静華
遊んでる時が一番自然体みたいな所あるもんねー

智樹
ここに来るまでの道中で畑とか見て今のを思い出してさ

智樹
結局田舎って何も無いけどそれが良かったりするんだよね

静華
何言ってるのさ!

静華
住めば都ってね!

智樹
そういえば静華は変わらず麦わら帽子被ってたよね

静華
私のお気に入りだからね

智樹
あれって確か俺が何気なく静華に上げたのがきっかけだっけ?

静華
そーそー!

静華
カブトムシ取るから持っててなんて言われて

静華
持つじゃなくて被せられたんだけどね

智樹
それ以来ずっと被ってたの覚えてるな〜

静華
私のマストアイテムってやつかな?

智樹
最初は違和感を感じてたけど時を重ねる毎に似合っていってさ

静華
ちょっと変に思われてたの私!?

智樹
最終的にはそれがないと静華って感じがしなかったもんな

静華
わたし本体麦わら帽子だと思われてたのかよ!

智樹
ちょっと話しすぎたかな

静華
そぉ?

静華
まだまだ話そうよー

智樹
そろそろ俺も母さん達に呼ばれる時間だからな

静華
それじゃあ仕方ないかー

智樹
じゃあまた来年

静華
また来年ね

静華
ばいばーい!

彼女のお墓の後ろに咲いている沢山の
ひまわりが風になびいていた
今年もまたこの季節が来たのだと揺れ動くひまわりを見てそう思った