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謙杜side
もう高校生になって半年。
いまだに友達と言える人はいない。
教室では自分の机で本を読む。
放課後に友達と遊んだ事なんて片手で数えられるくらい。
そのほとんどが小学生の時で高校に入ってからは1度もない。
部活に入るなんて考えたこともない。
長尾謙杜
大きなため息をつきながら、様々な声のする運動場の横を歩く。
野球部員
そんな声が聞こえたような気がして、ふと振り返ると野球部の投げたであろうボールが自分に向かって飛んでくる。
長尾謙杜
運動神経の悪い自分がとっさに動けるわけもなく、覚悟を決めて目をつぶる。
パシっ!
自分に当たるはずの球が中々当たらず、目を開けると1人の男の子がボールを片手で受け止めていた。
高橋恭平
長尾謙杜
すっごい綺麗な顔、スタイルもよく、自分と同じ制服を着ているとは思えなかった。
彼はそのまま手に持ったボールを数十メートル先にいる野球部に向けて投げる。
ボールは大きな弧を描いて野球部員のグローブの中に収まる。
野球部員
彼は野球部に小さく会釈すると、自分の方を向く。
高橋恭平
長尾謙杜
長尾謙杜
高橋恭平
そう言って彼はスタスタと歩いていってしまう。
自分も帰ろうとして足元を見ると、名札が落ちている事に気づく。
高橋と書かれた赤い名札。
赤は3年生の色だ。
長尾謙杜
そうして自分も帰路に着いた。
恭平side
学校が終わって賑やかな運動場を遠目に眺めながら歩く。
野球部員
そんな野球部の声が聞こえ目をやると、凄いスピードで進むボールの先には男の子がおった。
助けなあかん!そんな思いが脳裏をよぎり気づいたらに足が動いとった。
ほんの数メートルをダッシュし、ボールを片手で受け止める。
高橋恭平
長尾謙杜
男の子に無事を確認して数十メートル先にいる野球部員にボールを投げる。
正直久しぶりにこんな体動かしたから届くか不安やったけどなんとか野球部員のグローブに収まった。
野球部員
俺は野球部員に小さく会釈し、男の子の方を向く。
高橋恭平
長尾謙杜
長尾謙杜
高橋恭平
小さな会話をかわして帰路に着く。