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園美
園美
園美は、夕方から夜にかけやって来る、常連の玲利さんがお弁当を買いに来ると、なぜかわからぬがちょっぴり恥ずかしい。
豊野玲利(とよのれいり)、30才は植木職人歴15年になる。
玲利
園美
玲利
園美
園美には秘密がある。 実は、園美は卵から生まれた!
深い森の奥、グラグラ揺れる青白く光る大きな卵が一つ。パリッパリ、バリバリ! 中からはみずからの生命力でカラを脱ぎ捨て生まれて来た人間の女の子が! その時点で彼女は3歳ぐらいの愛らしいおさなご。なんにもわからないまま真っ裸で明るいほうへ向かって歩いた。そこをフツーの人間に保護され、警察に通報され、捜索願も出されていない園美はいったん『道本(みちもと)学園』という養護施設に預けられた。 中学に入るまでそこで暮らし、その後は温かい里親のもとで成長した。
園美が玉子を苦手とするのはそのおぼろげな記憶からではない。 玉子を『食べている人を見ると』なぜか、静電気のように一瞬だけだがチクッと体が痛むのだ。
園美
玲利
ポケットから小銭を探る玲利。
園美
……と受け取る時、園美の掌に玲利の指が触れた、たったそれだけで園美は嬉し恥ずかし。 玲利に、変わった様子はない。
園美
園美
玲利
笑顔の玲利。
園美
目がハートの園美。
園美
園美は調理で玉子を切ったり、煮たり、焼いたりするのは平気なのだ。兎に角訳は分からぬが、人が食べているのを目にすると体が痛くなる。そう、自身も玉子を食べられない。
園美
誰もいない部屋にそう言い毎日帰って来る園美。
園美
『ときゑ弁当』はオフィス街に近い場所にあるので土曜日・日曜日・祝日、とお休みの多い弁当店だ。 園美はベッドにパターンと横たわり、憧れのたくましくしなやかな姿の玲利を想い浮かべる。
園美
玲利は『ときゑ』の近所に住んでいるらしい。園美のマンションも比較的お店から近いところなので自転車通勤だ。
そして翌日の土曜日。
園美
なんて思いながらのスーパーからの帰り道。
園美
園美が赤信号を待っている時、玲利がコンビニの袋らしきものをぶら下げ、向こう側で青信号に変わるのを待っているではないか。
園美
園美は自転車を押し、青信号に変わった横断歩道を歩いている。
園美
玲利
と一瞬、園美をみて止まる玲利。
園美
園美が去ろうとした時
玲利
と玲利が追いかけて来た。
今度は園美のほうが
園美
だ。
園美
玲利
園美
ちょっぴり落ち着かない様子の玲利。
園美
玲利
園美
とガッツポーズで叫びたい園美。そこはしおらしく
園美
と微笑。そして続けた。
園美
チラッ♡
大胆な園美である。
玲利
園美
玲利
園美
玲利
園美
頬を染める園美。
二人はまるで、初々しい学生カップルのように道端でモジモジしていた。 そうして連絡先を交換した。
――――そして日曜日。
園美
玲利の勤める造園のお店の休業日がときゑと同じであることは前から知っていた。なにせ玲利は、ときゑに5年以上通い続けてくれている常連さんだ。
朝の10時半に園美は、思い切って玲利に電話を掛けた。
すぐに電話に出た玲利。
玲利
園美
玲利
園美
玲利
園美
玲利
園美
玲利
園美
玲利
電話でもモジモジする二人。
園美
玲利
園美
そんなふうにシレッと、自宅の場所を大好きな玲利に知らしめる園美。猛アタックだ!
――――1時間半後。 あ! 電話が鳴ってる! 『玲利さん』
園美
玲利
園美
楽しいデートの始まりだ。 レストランまでの道中もおしゃべりが絶えなかった。 その話の内容の中で互いに驚くことが1つ発覚した。 なんと、玲利も児童養護施設『道本学園』で育ったというのだ。
園美
玲利
園美
どうして児童養護施設に辿り着いたかという事は……今はまだ、互いに踏み込まないように気遣う二人だった。
玲利
園美
玲利
そう言うと玲利は顔を赤らめた。
園美が口にする。
園美
頭を掻き照れる玲利。テーパードパンツを履き、上はソフトなニットを着ている。
お店の扉をそっと開け園美を先に通す玲利。園美はときめいている。
玲利
園美
玲利
園美
アハハハハと静かな店内で大笑いしちゃう二人。
玲利
園美
とメニューに指をさす園美。
玲利
そして玲利が注文を終え、二人は静かに黙っている時間を楽しんだ。
園美
玲利
と訊く玲利。
園美
笑顔の園美。
火をつける玲利の仕草、すごくセクシー……キュン!
お店は全席喫煙可らしい。何気なく少し離れている隣のテーブルに目をやった園美。
園美
ピリ! っと体が痛んだ。男性客がハンバーグの上の目玉焼きを食べていたのだ。園美のことを見つめていた玲利は異変にすぐ気づき、園美の視線の先に目をやった。
すると、タバコの煙でむせた。
玲利
はっきりと玲利はそう言った。
ハッとする二人。
園美
玲利
園美
微動だにしない玲利が咥えたタバコの長い灰が、テーブルに落ちた。 そして気を取り直したように
玲利
園美
玲利
少し声が大きかった。辺りで笑い声がヒソヒソと聞こえる。
二人はそこから黙ってさっさと豪華なごはんを戴き、外へ出た。車に乗った。
沈黙がしばらく続いた。今度はソワソワとする沈黙だ。
そうして園美が口火を切った。詳細に自分の誕生シーンとその後を語った。真剣に話を聴いていた玲利がそのあと言った。
玲利
二人は海へドライブに行った。
園美
と言う園美。
玲利
と玲利。
12月の海辺には人一人いない。
園美
園美はそう感じた。 ギュ! 隣を歩く玲利の腕に絡みついた。
すると、玲利が向き直し園美に正面を向かせた。
ギュ――――!
腰が折れてしまうんじゃないかというぐらいの力。
園美
玲利
ふんわり離れる玲利。
目を閉じる園美。
キス……!
ドキドキがマックスだ。互いに求めてやまない心。
しかし……
園美
と言い出す園美。
園美
玲利
と、その時だ!
ザッバ――――――ン!
マンション5階建は優にある程の大巨人が海から現れた。
園美
玲利にしがみつく園美。 守るようにしっかと園美を抱きしめる玲利。
大巨人
(ぇ)目が点になるふたり。 (丁寧なあいさつの上『ジャジャジャッジャ~ン』!?)
大巨人
(うん、見ればわかる)
大巨人
園美
園美が訊く。
大巨人
玲利
園美
玲利
尋ねる玲利。
巨人は話を続けた。
大巨人
(わかってよね! お話的に!)
大巨人
園美
メモりながら園美が訊く。
大巨人
玲利
と玲利。
うん、うんと横で園美がうなずいている。
大巨人
チラリ。巨人が二ヤついてこちらを見る。
大巨人
モジモジが始まる玲利と園美。
そして巨人は言った。
大巨人
園美
玲利も怒っている。
巨人は言う。
大巨人
(ギョエ~! な、なにやら……神の世界って、残虐だし、天の神は『弁当』になるんだぁー)
園美
と園美。
大巨人
玲利
と玲利。
大巨人
ザッブ――――――――ン!
辺りが再び静まり返った。
園美
メモ帳をバッグにしまった園美。
玲利
ゴソゴソ! 指輪を取り出す玲利。
玲利
うっとりとする園美。
園美
玲利が厳かに園美の薬指に指輪をはめた……。 なんてラブリーな瞬間だろう。
しかし……。
あれ? な、なんか、感触が?
わわわ! 見ると指輪は磯辺揚げだった。