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テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで

綾辻

つまりだね、我々幻怪調査団の目指すところは、怪異から一般人を遠ざけ平和を守ることなのだよ

綾辻

わかったかね?史郎くん

黒岩

はあ....

昼休み。授業が一段落し食事にありつける時間だというのに黒岩四郎は空き教室にいた

緑髪の謎の美少女、綾辻詩織に呼び出されたためである

黒岩

あの、綾辻さんっておいくつですか?

綾辻

ぴちぴちの17歳じゃ!

17歳と言われればそうなのだと思うが、整った顔立ちや170cmはあるであろうスタイルの良さによって、20代後半と言われても信じてしまうだろう

あと、古臭い喋り方が気になる

黒岩

なるほど先輩なんですね

黒岩

それで、なんで僕がその幻怪調査団とやらに招待されたんですか?

綾辻

うむ、いい質問だな

綾辻

それは君に私が見えていたからだ

黒岩

はい?

黒岩

綾辻さんが幽霊とでもいうんですか?

綾辻

幽霊では無いな

綾辻

でも、それに近しいものではある

綾辻

私は生まれが特殊でね、彼岸(あの世)と此岸(この世)のちょうど中間くらいの存在なんだよ

綾辻

普通の人に見えない訳では無いけど、授業中に木にぶら下がっていても気づかれないくらいには影の薄い存在なのだよ

黒岩

はあ

突拍子もない話ではあったが、綾辻の話には妙な説得力があった

それに、先程木に登って話しかけてきた綾辻が注意されずに僕が先生に注意されたことを不思議に思っているところだった

ガサッ

窓辺で音がしたかと思うと、小さな影が綾辻の肩に乗る

黒岩

カメレオン?ですか?

綾辻

そうそう

綾辻

この子はドガと言ってね優秀な調査員なのだよ!

綾辻

彼女が仕事を探してきてくれるのさ

黒岩

仕事ですか

ドガという名のカメレオンは綾辻に舌を伸ばし小さな紙を手渡し?た

綾辻

ふむふむ

綾辻

早速仕事のようだね

綾辻

史郎くん放課後空いてるかい?

黒岩

ええまあ、

綾辻

じゃあ放課後この教室に来てくれ

綾辻

それと、『学校わらし』について噂を調べてくれ

黒岩

....分かりました

綾辻

うむ、ではまたな

齋藤あかりは友達2人と談笑しながらシューズの手入れしていた

職員室に戻って行った顧問はあかりに電気を消してから体育館を出るようにと言っていた

いつも無駄話をしてなかなか帰らないあかり達のことを知ってのことだ

その日もあかり達は体育館に残る最後の3人になっていた

中野

えーなんであんな地味なやつが好きなわけ?

齋藤

別に好きなわけじゃないって

齋藤

気になるだけ

川内

ふーん

川内

気になるだけ、です、か

齋藤

もういいってー

齋藤

帰ろ!

中野

ちよっと、逃げんなって〜

体育館の扉に向かい、電気を消す

扉を閉め、体育館を出ようとした時だった

とんっ

....ボールの跳ねる音が聞こえた

3人が音の方を振り返ると、どうやら体育倉庫にしまってあるボールがバランスを崩して床に落ちたようである

無視して帰ろうとすると再び

とんっ

ボールの跳ねる音がする

3人は顔を見合わせ再び電気をつける

音は止み、体育倉庫内からボールの転がるてんてんてんという軽い音が聞こえる

中野

....もう帰らね?

齋藤

....そうだね

川内

帰ろ帰ろ

体育館は帰り道の横に面しており、門を出た後に横を通ることになる

体育館の横を通り過ぎた時、体育倉庫の窓を見ると、閉まっているはずの黒のカーテンが少しめくれていた

そこから黒い人影がこちらを覗いていることに齋藤あかりは気が付かない振りをした

黒岩が教室に戻った時、数名の女子と男子のグループがはしゃいでおり、盛り上がっていた

話題は、昨夜齋藤あかりがインスタのストーリーに載せていた、体育館での不思議な体験についてだろう

齋藤

だから見たんだってー

武田

ほんとかよー

道夫

そんな話聞いたことないけどなー

川内

まじで怖かったんだからね

東口

そういえば、俺も体育倉庫で変な音聞いたことあるわ

武田

えまじ?

剣道部の東口が思い出したように話し出す

東口

部活で顧問が使う和太鼓があるんだけど、それを体育倉庫に片付けたあと、バチが落ちる音がしたんだよね

東口

ただ確認してみたらちゃんと元の位置にあったんだよなー

中野

えーこわ

川内

そういえば、私もあるんだよな

齋藤

え?まじ?

川内

この前鼻血出して部活見学してた時、ぺたぺたっていう足音?が聞こえたんだよね

川内

体育倉庫の方に向かっていったと思う

道夫

ヤバすぎ

武田

なんかいるんじゃね?

他にも変な体験をした人が現れたというのだからさらに話が盛り上がる

齋藤

ねえ、黒岩くんはどう思う?

突如黒岩に話が振られる

遅めの昼食を取りながら黒岩はその話を注意深く聞いていた

そして綾辻に言われた『 学校わらし』についてネットで調べていたところだった。

黒岩は調べたばかりのネットの情報をもとに推論を述べる

黒岩

学校わらしという都市伝説があるらしい

齋藤

学校わらし?

武田

座敷わらしじゃなくて?

黒岩

そうそう、座敷わらしの学校版かな

黒岩

柳田國男の「妖怪談義」に記載があって1910年7月に岩手県遠野市の土淵村というところで学校わらしが出現して1年生にのみ姿が見えたという話がある

黒岩

あと、遊んでいる最中に紛れ込んでいて、肩を叩かれるとラッキーなことが続くらしい

中野

へー

道夫

なんでそれだと思うの?

黒岩

片付けたボールで遊んで、電気が着くと隠れたり、太鼓のバチを取ろうとするところはすごく子供っぽいよね

川内

あーまあね

黒岩

東口くんが言ってたギシギシって音もしかしたらロイター板なんじゃないかな?

東口

ああ!確かに!

東口

言われてみればそんな感じだったわ!

齋藤

ロイター板をトランポリンみたいにして遊んでたってことか

黒岩

あと、齋藤が体育倉庫から除く影が見えたって言ってたけどあそこの窓って結構高い位置にあったよね。

黒岩

それも窓際の跳び箱にのぼって覗いてたんじゃないかな

齋藤

なるほどー!

中野

それならかわいいな

黒岩

あと、ぺたぺたっていう足音だけど座敷わらしとか学校わらしは、昔の時代に大人になる前に亡くなった子供の霊とかって言われてるから、裸足で遊んでる貧乏な子供とかなのかな

川内

おおー

川内

確かにそれなら説明が着くね

武田

齋藤は影を見たんだよね

武田

やっぱり子供だった?

齋藤

んー

齋藤

なんかモヤモヤしてて影って感じだったんだよねー

齋藤

あっ!でも私おばあちゃんが岩手の人だわ!

中野

だからあかりにだけ見えたのかな!

道夫

じゃあもう確定じゃん!

道夫

肩叩かれるといい事あるなら会いに行くわ!

東口

よくそんなピンポイントの都市伝説見つけたなー

黒岩

いやいや、たまたまだよ

綾辻に教えてもらった学校わらしという怪異が今回の話にピッタリだっただけだが、黒岩は黙っていることにした

齋藤を含む女子たちは早速インスタを更新し、『我が桜ヶ丘学園七不思議、体育館の幽霊に新事実発覚!』『正体は学校わらし!』『出会えたらラッキー』 などの文章とともに、不思議な体験をした人達にマイクを向けるような仕草をしつつ話をきくインタビューの真似事のような動画をあげていた

最後には先生ものってくる始末でクラスは大盛り上がりだった

ちなみに七不思議って言ってるけど残りは何?と尋ねたところ

齋藤

知らん

との事だった

適当である

▫️月▫️日

思えばこの日が全ての始まりだった。綾辻との出会いはまさに運命だった。この出会いがなければさらに多くの犠牲者が出ていたに違いない。

その事はよくわかっているが、それでも私は彼女にもう一度あって話がしたい。ただ、それだけなのだ。

現実がいかに不安定でどれほどいい加減なものなのかを私はこの時知らずにいたのである。

しかし、だからといって軽いノリで使った言葉ひとつでここまで因果が巡るものなのか 本当にいい加減なものだ。

幻怪調査団 綾辻詩織

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