こうして、半年の時は、のろのろと過ぎ去っていく。
久々に見た門の外の景色は、すっかり様変わりしていた。
法務教官
秋彦
今日、秋彦は少年院を出院する。 彼はやっと、普通の高校生へと戻るのだ。
秋彦
秋彦
秋彦
秋彦
秋彦
秋彦
秋彦
秋彦
秋彦
ぶつくさと文句を言いながら、秋彦はすっかり毛の無くなった頭を掻き毟る。
秋彦
秋彦
秋彦
秋彦
秋彦
秋彦
秋彦
秋彦
秋彦
呆然と立ち尽くす秋彦の前に広がるのは、
生活感の一切が消え去った、更地であった。
―地山家跡地―
かつてあった家はどこにもなく、秋彦の思い出の欠片も残されてはいない。
呆然と立ち尽くし、空を見上げる彼の元に、1人の女が歩み寄る。
彼女は地山もみじ。秋彦の従姉妹(いとこ)にあたる、社会人のお姉さんである。
もみじ
秋彦
もみじ
秋彦
もみじ
もみじ
もみじ
もみじ
もみじ
もみじ
もみじ
もみじ
もみじ
秋彦
秋彦
秋彦
もみじ
秋彦
もみじ
もみじ
もみじ
もみじ
もみじ
秋彦
秋彦
もみじ
もみじ
秋彦
もみじ
もみじ
もみじ
もみじ
秋彦
秋彦
もみじ
もみじ
もみじ
もみじ
秋彦
もみじ
もみじ
秋彦
秋彦
秋彦
もみじ
もみじ
もみじ
もみじ
もみじ
もみじ
もみじ
もみじ
もみじ
もみじ
もみじ
秋彦
もみじ
もみじ
もみじ
もみじ
秋彦は想像する。
もし、イラストレーターの彼らが、自らのイラストにストーリー性を持たせたいからと、秋彦の小説を無断で学習した小説生成AIを使用したら?
秋彦が人間関係まで犠牲にして生み出した『ハイクオリティな作風』の文章を、彼らはたった数秒で得てしまうのだ。
そうなれば、秋彦の努力はAIの素材――彼が言う、『踏み台』以外の何物でもなくなってしまう。
もし自分がプロとして、本を出している身であったなら、もっと最悪だ。
AIは素材に、ライセンス料――彼の努力の対価を払わない。 本来ならば秋彦に支払われるべき対価を、AI利用者はタダでばら撒くだけではなく、自分の儲(もう)けとしてしまうのである。
秋彦
秋彦
秋彦
秋彦
もみじ
秋彦
もみじ
もみじ
もみじ
もみじ
もみじの言葉に打ちのめされた秋彦は、彼女の車の助手席に、ダラダラと乗り込む。
彼はようやく思い知ったのだ。
自分が壊したのは、他人が育ててきたモノだけじゃない。己自身の価値をも、へし折って壊してしまったこと。
――何より、踏み台として雑に扱っていい、他人の努力などないことを。
秋彦
もみじ
秋彦
秋彦
もみじ
もみじ
秋彦
もみじ
もみじ
もみじ
もみじ
もみじ
もみじ
もみじ
もみじ
もみじ
秋彦
秋彦
秋彦
秋彦
秋彦
秋彦
秋彦
秋彦
もみじ
もみじ
窓の外で流れていく街の景色は、やがて緑が目立ちはじめたかと思えば、ゆるやかに高速道路へと侵入していく。
秋彦のこれからを暗示するかのように、2人の車は、傾き始めた日に向かって進み続けた。
AIに人は宿る 完
コメント
2件
秋彦、最後は自分のしたことの重さに気づいてよかったですね…。真っ当な人生を送ってほしいです でも1番の心残りはあんなに優しかったおばあちゃんが死んじゃったこと、ですね……(そこ?)