TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

カフェで珈琲を飲みながら

ぼんやりしていたときのことだった。

女の子声A

暇だねぇ

女の子声B

うん

若い女の子たちの会話が

後ろから聞こえてきた。

女の子声A

ねぇ怖い話してよ

女の子声B

唐突に何?

女の子声A

暇だから

女の子声A

ユカはそういう話し詳しいでしょ?

女の子声B

まぁ…そうだけど

女の子声B

こんな真冬に怖い話かぁ…

女の子声A

お願いします

女の子声B

……

女の子声B

では

咳払いを一つする。

女の子声B

”呪って下さい。”っていう動画、知ってる?

女の子声A

ううん、知らない

女の子声B

そういう名前の動画があるらしいんだけど

女の子声B

誰も内容を知らないんだって

女の子声A

え、それって存在しないから誰も知らないんじゃ…

女の子声B

こら、水を差さない

女の子声A

すいません

女の子声B

最近出てきた都市伝説の一つでね

女の子声B

誰も内容を知らない動画だから

女の子声B

見たら死ぬっていう噂があるの

女の子声A

へぇ……

女の子声B

もっと興味持ってよ

女の子声A

いや、だってそれさ

女の子声A

牛の首とか死人茶屋と同じ系統じゃない?

女の子声B

牛の首?死人茶屋?

女の子声A

うん

女の子声A

あまりにも恐ろしくて語れないっていう都市伝説

女の子声B

ふぅん、そんなのあるんだ

女の子声A

うん

女の子声A

それと似たようなもんでしょ?

女の子声B

フッフッフッ

女の子声B

考えが甘いなぁ、サエは

女の子声A

え?

女の子声B

”この呪って下さい。”っていう話しは

女の子声B

それで終わりじゃないの

女の子声A

と言いますと?

女の子声B

この話しを聞いて三日以内に

女の子声B

夢を見るの

女の子声B

”呪って下さい。”っていう動画を見る夢をね

女の子声A

えっ…

女の子声B

でも、内容があまりにも恐ろしくて

女の子声B

誰も夢の内容を語れないんだって

女の子声A

……

女の子声B

……

女の子声A

なぁんだ結局一緒じゃん

女の子声B

ぐぬぬ…

女の子声B

だって

女の子声B

サエが牛の首とか知ってるなんて思わないじゃん!

女の子声A

人のせい!?

女の子声B

そういうこと

女の子声B

つまんないなぁ

女の子声A

えええぇぇ……

女の子声B

あ、もう行かなきゃ

女の子声A

もうそんな時間?

女の子声B

うん

女の子声A

次はもっと怖い話、聞きたいなぁ

女の子声B

はいはい

女の子声B

わかりましたよ

女の子声B

リナと合流したら話してあげる

女の子声A

やった!

 

……

 

(……呪って下さい…か)

何故かその話しが気になって、

家に帰って パソコンで調べてみることにした。

 

(内容はほぼあの子たちが喋っていた通り…)

 

(実際にその夢を見たっという人もいれば)

 

(聞いて数日経つけど夢なんて見ないっていう人もいる)

 

(夢を見たけど)

 

(怖くて語れないっていうのが正式なオチなんだろうけど)

 

(中には夢の世界に入ったまま)

 

(返って来られなくなって)

 

(死んでしまうっていう話しもある)

 

……

 

(でも、変なタイトル)

 

(呪ってやる、ならわかるけど)

 

(呪って下さいってなんで受け身なんだろ?)

欠伸を一つ噛み殺し、

時計に目をやる。

 

もう1時過ぎてたんだ

 

明日も早いし

 

寝なきゃ…

グッと背伸びをして

ベッドに入る。

いつもなら眠たくなるまでの間、

スマホをいじっているのだが、

不思議なことに

この日は驚くほどストンッと

眠りに落ちたのだった。

 

……あれ?

目を覚ますと

そこは見知らぬ部屋だった。

目の前には

とても古いタイプの

デスクトップパソコンがあった。

 

(ブラウン管モニターとか)

 

(懐かし……)

 

(あ、れ?)

そこで異変に気がつく、

 

(動かない…)

手も足も

首も指も

口も

ただ唯一動かせるのは

目だけ。

しかし、目をどれだけ動かしても、

見えるのはブラウン管モニターと

薄暗い部屋の一部だけ。

それ以上の情報は得られなかった。

 

突然、

モニターが映り、

見慣れた動画投稿サイトが表示されるが

色褪せて

もう何年も放置されたような雰囲気が漂っていた。

そして、

マウスポインタ―が勝手に動き出し、

検索エンジンをクリックする。

もちろん、

視界の中にあるマウスは

微動だにしていない。

さらに、

勝手に文字が入力される。

”呪って下さい。”

と。

 

(これは……)

そこで自分が夢を見ているのだと理解した。

検索結果、

一つの動画が表示され、

またポインターが勝手に動き、

その動画をクリックする。

ブラウン管モニターいっぱいに表示される動画。

 

(これが……)

 

(噂の……)

そこに映し出されたのは、

若い女の子たちが

廃墟の中で

楽しそうにはしゃぐ姿。

音声は無く、

無音のまま、

女の子たちは笑いながら

廃墟の奥へと進んでいく。

ひた…

ひた…

 

!?

微かに音が聞こえた。

ひた…

ひた…

 

(足、音…?)

 

……

耳を澄ませてみると、

足音はピタリと止んだ。

 

(いや)

 

(気のせい、かな…)

その音が気にはなったが、

体は動かせないので

確認することは出来ない。

その間にも

動画は進んでいる。

廃墟の壁に落書きをする女の子たち、

お菓子を食べてはゴミをその辺に投げ捨て、

下品な笑い声が今にも聞こえてきそうだった。

ひた…

 

!!

ひた…

 

(何かが…)

ひた…

 

(近づいて来る……)

ひた…

足音は

確実に

自分の背後に

近づいていた。

ひた…

ひた…

ひた…

 

(近い……)

真後ろで

なにかは

足を止めた。

 

……

それと同時に、

画面の中の女の子たちの表情も

何かを見つけ

強張る。

ひた…

 

!!?

ひた…

また、

遠くから

足音がする。

それも

一つではない。

幾つもの足音が

聞こえる。

画面の中の女の子たちが

恐怖におののき

悲鳴を上げる。

が、

もちろん

声は聞こえない。

一目散に逃げる女の子たち。

その間も

背後では

いくつもの足音が

近づいてくる。

 

……

映像の中の女の子たちが、

突然倒れてきた棚の下敷きになる。

頭から血を流し、

彼女たちは動画を撮っている人物に向かって

泣き叫びながら

助けを求めた。

が、

その人物は

彼女らを助けることなく、

その場を離れた。

気がつけば、

近づく足音は止んでいて、

 

(……囲まれてる)

姿は見えないが

気配はする。

たくさんの人に囲まれている、

そんな気配が。

心臓が締め付けられるような緊張感に

本能が警鐘を鳴らす。

ここに居てはいけない、と。

だが、

手も足も動かせない。

口も動かせない。

叫ぶこともできない。

この状況では

息をするのがやっとで、

動画を撮っていた人物が、

廃墟の外に出た瞬間、

モニターが消え、

辺りは真っ暗になった。

冷気が

首筋を撫でる。

”呪って下さい。”

 

!!!

耳元で囁かれる声。

それは

機械的で、

無感情で、

一瞬で

全身に鳥肌が立った。

 

きゃあぁぁぁああああ!!!

 

ああ……

 

……はぁ…はぁ…

 

……

飛び起きた自分は、

嫌な汗をかいていた。

 

…ゆ、夢…

 

……ああ

 

よかった……

安堵の息を吐き、

 

怖かったぁ……

深呼吸をして

気持ちを落ち着かせる。

 

あの声は……

 

あの動画は……

 

一体何だったんだろう…?

夢の内容を思い出そうとすると同時に、

見えない人たちに囲まれる恐怖も思い出されて。

脳味噌が思い出すことを拒む。

 

……はぁ

 

まぁ、戻って来れたからいっか

 

喉が渇いたなぁ…

ベッドから起き上がると、

パソコンの画面が付いていることに気がついた。

 

あれ?

 

消してなかったっけ?

そして、

パソコンに近づいて

伸ばした手が

止まる。

画面に映し出されているのは、

棚の下敷きになった

女の子たちの姿。

女の子声A

助けて!!

女の子声B

行かないで!!

女の子声A

どうして見捨てるの!!

女の子声B

嫌だ!!

女の子声A

こんなところで

”死にたくない!!!”

女の子たちは

泣き叫んでいた。

 

ま、待って…これ…

 

どういう……

 

私…まだ…

”呪って下さい。”

 

!!!!

耳元で

あの声がした。

”自分の”

”運命を…”

”呪って下さい。”

END

この作品はいかがでしたか?

151

コメント

7

ユーザー

こういうの大好き…

ユーザー
ユーザー

主人公の実写、まさか虚木さん…!?とおもいつつ、なるほど「自分の運命を」呪ってください、かと腑に落ちました

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚