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アセビと、アネモネ。ー2ー

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アセビと、アネモネ。ー2ー

1 - アセビと、アネモネ。ー2ー

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2019年11月30日

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やはり、屋上で食べるごはんが 一番だ。

それが数少ない屋上利用者の 特権なのに、

なぜ山田香凛がいて、 一緒に食べなければならないのか。

なんで一緒なんだよ。

山田 香凛

え?

なんで一緒に食べなければならないんだ。

山田 香凛

んと、感謝、とでも言おうか。

山田 香凛

私なりの感謝の表現。
分からないとこ、教えてくれたから。

どうやら、彼女なりの 感謝の表現らしい。

山田 香凛

だって君、ぼっちでしょ。

その話、昨日もした。

山田 香凛

そうだっけ。
まあいいや。

気持ちだけ、いただいとく。

山田 香凛

いただいといて。
あ、そろそろ戻らないと、次の
授業に遅れるよ。

うん。

こういったところにも、 やはり彼女の正しさや正義感を 感じられる。

彼女は、誰よりも正しい。

帰りのホームルームの時だった、

そのことを知らされたのは。

先生

山田さんは、あと一週間で
家の都合のため、転校します。

僕はわりと、冷静かつ客観的にとらえていた。

別に、だからどうというわけでもないし、ただ、あ、そうなの、 という感じだったと思う。

山田 香凛

今までありがとうございました。

山田の声がひどくゆっくりに、 そして遠くに聞こえた。

別に山田と関係は特にないのに、 なぜだかざらついた気持ちに なる。

いよいよ転校当日に、迫ったが 彼女の転校を悲しむ者は一人も いなかった。

彼女だって、悲しそうではない。

山田 香凛

榊。

何?

山田 香凛

なんだかんだいって、ありがとう。

別に大したことはやってないし。

山田 香凛

私、家の都合で転校をよくするんだけど、

山田 香凛

話す人なんていなかったの。

山田 香凛

でも、榊が話し相手になってくれた。ありがとう。

僕は何もしてないよ。

山田とのお別れの時間は間近に 迫っていた。

山田 香凛

榊。

山田 香凛

じゃあね。

彼女はさようなら、とは言わなかった。

………。

そんな彼女に対して、僕は 微笑んだ。

彼女は不思議そうな顔をした。

さようならを言わずに彼女は 行った。

…。

僕はただ、微笑んでいた。

それからは、 彼女が転校してくる前の生活に 戻った。

平穏すぎる平穏なのに、 どこか物足りないと感じてしまう のはなぜだろう。

その答えに気づくことは、 きっと無い。

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