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界人
真
彼女は走り出した
今彼女に託されたこと。それは影特殊部隊を守ることだ
彼女はできる限り影化し、身体能力を大幅に向上させ本部へと向かった
アタシにできることといえば それくらいしか―!
突如、腹部に鈍い痛みを感じた
影化により痛覚は鈍っているものの、痛みはどんどん強くなり、体の力が抜けていく
真
真
彼女の腹部には、あの槍が突き刺さっていた
真
???
???
意識が遠のく
震える視界の中、最後に見た景色―
あの無邪気な笑みを浮かべる、白い青年だった
午前12:43 正体不明のヒト形の影襲撃 第三部隊全滅
ふと、目を覚ます
辺り一面暗闇で、何もない空間に彼女は立っていた
―そっか、アタシ死んだのか
真
いつのまにか、声のノイズは消えていた
ああ、やり直すことができれば―
???
聞き覚えのある声に振り向く
先程戦闘を交わした白い青年だ
???
真
真が問いかける。青年は答えようとしたのか口を開いたが、すぐに閉ざしてしまった
すると彼は ぱんっ と勢いよく手を合わせ告げた
???
ツーシャ
真
真
ツーシャ
"実験"―よい響きではない
聞きたいことは山ほどあるが、慎重に言葉を選びながら真は言う
真
真
ツーシャ
真
ツーシャ
ツーシャ
妙にもったいぶった言い方だ。その含みのある微笑や揺らめく瞳には計り知れない狂気をはらんでいる
ツーシャ
ツーシャ
ツーシャ
ど ろ り
冷たい脂汗が背筋を伝う
心臓が張り裂けるような耐え難い痛み
ああ、やり直したい―
ツーシャ
「やり直したい」。脳がその言葉に支配されてきている
全身から血の気が引いていく
彼らは自分のせいで死んだ。自分が動くことができなかったからだ
もっと早くに影化すればよかった。先に2人を逃がせば―
真
ツーシャ
ツーシャ
悪い話ではない。けど、ほんとにこれで終わるのか?
彼は真に向かい手招きをする。一瞬迷いが走るが、彼女のなかでの選択は決まっていた
やり直し、みんなを救う
彼は真の手を取り、握る
その手はぞっとするほど冷たく、生物の温かみはまるでなかった
ツーシャ
次の瞬間、真の中に「なにか」が流れ込んできた
痛みはない。生暖かく、湿ったような不快感を感じる
正体は不明。ただ、自分のなかに別のものがいることは理解した
真
ツーシャ
真の視界が歪み始める
怖い、頭が痛い―
砂嵐のような不快な音が鳴り響き、鼓動がはやまる
ツーシャ
午前11:16 正体不明―ヒト形の影―確認