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校内放送

まず、ゲームを行うには我々だけでは人手が足りない。そこで、これより我々が指定するマスコミには、校内へと入ってもらう。

校内放送

上野原放送局、カメラマンだけ校内に入れ。分かっているとは思うが、下手な真似をしたらこいつの命は――ないからな。

校内放送に合わせて、ガスマスクを被った連中が、銃口で校長先生らしき人物の背中をつつく。そして、校長先生らしき人物は自ら柵を乗り越えた。

ヒグラシ

一体、何をするつもりなんだ。それに、マスコミを校内に招き入れた――。これはいよいよ劇場型かもしれないな。

セイノ

ヒグラシ、その劇場型ってのは――。

ヒグラシ

読んで字の如く。劇場型の犯罪のことを指します。しっかりと定義づけることはできませんが、犯人の目的はおそらく――世の中に自分達の犯行を知らしめるという意味があるんじゃないでしょうか?

セイノ

テレビを観てる奴らが劇場の観客ってことか。

ヒグラシ

えぇ、そうなります。

ヒグラシ

となると、早い段階でマスコミの方々と話をしておいたほうがいいでしょう。

ニッタ

えぇ、いまだに本部からの指示もありませんし、私達としては動きようがありませんから。

そう、ヒグラシ達は動けない。

そもそも組織立って動くのが警察であるし、正直なところ、ここまでの数が集まっても意味がない。

本部が設立されたのかさえ不明ではあるが、とにかくスタンドプレイは刑事としては御法度である。

ヒグラシ

ニッタ、さっき【革命軍】に指名されていた【上野原放送局】の人達って――。

ニッタ

えー、そう言われましても。これだけのマスコミがいるわけで。

ニッタが辺りを見回す中、カメラを担いだ男が校舎に向かって歩いていく。

セイノ

ヒグラシ……お前、なにをするつもりだ?

ヒグラシ

すいませんセイさん、ちょっとここはお願いします。

ヒグラシはそう言うと、マスコミが集まっている辺りに向かって小走りをする。

幸いなことに刑事が多く集まってくれていたから、おそらく目立ってはいないだろう。

校内放送

もう一度言う。上野原放送局のカメラマン。校内へと入れ。

ヒグラシ

あの、すいません。上野原放送局の方ですか?

手当たり次第に、カメラを持っている人間を目掛けて訊ねて回る。

上野原放送局の人間を見つけるのは、さほど難しくはなかった。

なぜなら、誰が行くかで揉めているようだったから。

カメラマン

言っとくけど、俺は絶対に嫌だからな。どうして地方局にいながら、こんな危ない橋を渡らなきゃならない?

ディレクター

じゃあ、どうすんだよ?

ディレクター

まだ誰も足を踏み入れていない校内の様子を独占できるんだぞ。

カメラマン

だったら、ディレクターが行ってくれよ。俺は嫌だからな。

ヒグラシ

あのぉ、お取り込み中申し訳ありません。

ヒグラシがカメラマンらしき男に声をかけると、見計らったかのごとく校内放送が響く。

校内放送

上野原放送局のカメラマン。こちらの要求に応えないのであれば、こいつの命はないと言っているだろうが。

校内放送

もうしばらく待つ。至急、校内へ。

数分後――テレビカメラを肩に乗せ、校舎へと歩み寄るヒグラシの姿があった。

ヒグラシ

(こんな勝手なことをしたらセイさん怒るだろうなぁ)

ヒグラシ

(でも、息子達と同じような目に遭う子ども達を出すのは――もうたくさんだ)

校内放送

よろしい。それではまずは1年1組の教室に向かってもらおうか。

それは自分に向かっての指示なのであろう。

ヒグラシは慎重に辺りを見回しつつ、正面玄関へとたどり着いた。

カメラのファインダーを覗いてみる。

この画面が今、テレビで放映されていると思うと妙な気分だ。

正面玄関に人の気配はない。

静寂が耳に痛いとはこのことだった。

ヒグラシ

(なんだか妙だな――。本当にこの学校、占拠なんてされているのか)

校内放送

では、これより第一ゲームのルールを説明する。

校内放送

まず、校長先生の腰には、これから10本のロープを巻かせてもらう。

校内放送

ロープには【1】から【10】までの番号を振ってあり、うち1本が当たり。当たりの番号はこちらで決定させてもらう。

校内放送

そして、これから1年生の各クラスから順番に、3年生まで、どのロープを選ぶか決めてもらう。

校内放送

各学年3クラスずつ。選ばれたロープが当たりだった場合、当たりを引いたクラスは解放とする。

校内放送

当たりが出た時点で校長先生も解放させてもらおう。

ヒグラシ

(【1】から【10】までのロープ。それを各クラスが選んでいくのか)

校内放送

選んだロープが外れだった場合、対応するロープを切断してゲームは続行される。

校内放送

各クラスの持ち時間は各5分。制限時間内にロープを選ばなかった場合は、そのまま次のクラスにバトンが渡る。

校内放送

――そして、最終的に3年3組まで順番が回って、なおも当たりが出なかった場合は……。

校内放送

校長先生には、残念だが屋上から飛び降りていただく。

校内放送

あらかじめ言っておくが、校長先生に繋がれたロープは、1本や2本で成人男性の体重を支えられるほどのものではない。

校内放送

早く当たりを引かなければ校長先生がどうなってしまうか――考えなくても分かるな?

校内放送

それでは、1年1組から順番に、カメラが到着したら、代表の者がナンバーを答えてくれ。

校内放送

3年生は自分達の番が来るまで時間があるな。

校内放送

じっくり議論できることだろう。

校内放送

さぁ、当たりを引けなければ校長先生が死ぬぞ。

ヒグラシ

(後はカメラの到着待ちか――)

ヒグラシ

(一見して単純に見えるゲームだけど、何か嫌な予感がする)

ヒグラシ

(とにかく、1年1組の教室に向かわないと)

ヒグラシは自らに言い聞かせると、頭よりも先に体が動いてしまった自分に、少しばかりの後悔をするのだった。

上野原高等学校革命同好会

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