遊び人の本気

昨日、先輩と夜遅くまで通話していたからか、なんだかいつもより眠くて依吹くんの話が入ってこない。

さっきまでモブAくんがチョコレートの池で溺れた話ですごく笑っていたのに、真翔先輩が出てきた途端に声のトーンや表情が変わる。

こうしていると、普通のカップルというより、友達な関係かもしれない。……実際に最初から友達だったら良かったのに…。

依吹くんが声を掛けようとした瞬間覆い被さるように真翔先輩の声が重なる。

依吹くんのただならぬ雰囲気に胃が痛くなった。

真翔先輩の含みのある言い方に依吹くんの眉がピクピク動いてる

ｷﾝｺｰﾝｶﾝｺｰﾝ

依吹くんの気迫に押されて授業前なのに教室を出る。

涼し気な顔して呼吸一つ乱さずにいる依吹くんとは対照的に私はｾﾞｰｾﾞｰと浅い呼吸を繰り返すばかり。

頷くと、意地悪な笑みを浮かべて更に距離を縮めてくる。

フェンスと依吹くんに挟まれて身動きが取れない…。

とうとう、依吹くんに覆い被されるように両手で挟まれているから逃げ場を無くして…。

昨日の電話で日曜日に図書館に行くことになった経緯を伝える。勿論、先輩に話した依吹くんの罰告の話はしていない。

と、したのも束の間…。

いきなり叫び出した依吹くん。

なんだか、頭を抱えて小声で早口を言っている。と、思ったら次は、

まさかの発言に驚く。

俯くとあの罰ゲームをしていたのを聞いた日を思い出す。思い出すと涙がでそうになる。

できるだけ自然な感じの笑顔を浮かべる。