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ぺいんとは、致命的な油断をした。
武器を持つのは自分だけ。トラゾーは怯えて逃げているだけ。
……そう思っていたから、致命的な油断をした。
トラゾーは、逃げたのではない。
後退るフリをしながら、……自分の首輪から垂れる鎖を余らせ、それを鎖の鞭としていたのだ……。
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ぺいんとの狂気と、それに対するトラゾーの渾身の反撃と、偶然が重なった。
……鎖の鞭は、激しくぺいんとの両方の眼球を打ち付け、……潰したのだ。
ぺいんとは両手で眼を覆って啤きながら、よろめき、……やがて転んで、熱された金網の上で、のたうち回った。
肉と皮が焦げ、髪が焼ける異臭は、この世のものとは思えなかった…。
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ぺいんとを再び<死刑囚>に戻すことは、宣告をしたクロノアにしか出来ない。
しにがみの拷問レバーは引けないが、今のぺいんとの拷問レバーなら、トラゾーの良心もぎりぎり許す……。
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クロノアを起こそうと、うつぶせの顔を起こそうとする。
だが、焼けた金網に顔面の皮膚が焼け付き、引き剥がすような、ベリベリという不気味な感触を覚えさせるのだ……。
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残り時間がゼロになった時。……部屋の隅から次々に火柱が噴き上げる。
トラゾーは、すでに死んでいた1人にも、謝る。
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とうとう火炎が、部屋の全てを飲み込んでしまう。
挟じ開けられたエレベーターには、……誰も乗ることは出来なかった…。
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トラゾーは軽く笑って、ぺいんとの肩をポンと叩く。
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ぺいんとは少し驚いたように笑い、それからトラゾーに負けないくらい明るい笑顔を見せた。
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