先生
先生を無視して、転校生はこっちに歩いてきた。
菜穂
転校生は空いていた私の隣の席に、無造作に座った。
クラスのみんなが、こっちを見てざわついている。
先生
先生はそう呟いて、ホームルームを始めた。
転校生は何にも動じずに、黙って座っている。
菜穂
私は転校生に声を掛けた。
転校生は何も答えない。
菜穂
転校生はこっちを向いた。
菜穂
菜穂
転校生
菜穂
転校生
菜穂
転校生
菜穂
私は呆気にとられた。
菜穂
転校生
菜穂
菜穂
そう尋ねると、転校生は私の机に、何かを投げた。
見ると、私の生徒手帳だった。
菜穂
菜穂
確認すると、入っていなかった。
転校生
菜穂
菜穂
転校生
菜穂
転校生
菜穂
転校生は少し微笑んだ。
転校生
菜穂
私はそう言って微笑んだ。
その時、ふと視線に気づいた。
見ると、直弥君がこっちを見ていた。
チャイムが鳴った。
先生
クラスメイトは帰り支度を始めた。
菜穂
先生
直弥君が立ち上がり、先生のもとへ行った。
直弥
直弥君は私を呼んだ。
菜穂
私も急いで先生のもとへ行った。
先生
先生
見ると、相沢稜太は机に突っ伏していた。
ホームルームの間中、ずっと寝ていたのだ。
先生
菜穂
先生
菜穂
先生
そう言って、先生は教室を出て行った。
直弥
それだけ言うと、直弥君は先生の後を追いかけた。
相沢稜太のもとへ行くと、いびきをかいていた。
菜穂
私は溜め息をついた。
ダルそうな相沢稜太を連れ回して、私はなんとか校内を案内し終えた。
菜穂
菜穂
稜太
菜穂
稜太
菜穂
稜太
菜穂
一緒に昇降口へ行くと、外は雨が降っていた。
菜穂
菜穂
隣を見ると、相沢稜太もボーっと立っている。
菜穂
稜太
相沢稜太は、そのまま下駄箱に向かった。
菜穂
稜太
菜穂
稜太
菜穂
稜太
靴を履き替え、外に行こうとする。
菜穂
私は出ようとする相沢稜太を押さえた。
菜穂
そう言って、私は用務員室へ走った。
用務員
菜穂
用務員
私は傘を1本受け取り、溜め息をついた。
土砂降りの中、私と相沢稜太は、1本の傘に入って歩いていた。
国道沿いの道は、激しい雨が降っていて、大きな水溜りもできていた。
見ると、田んぼの水嵩も、いつもより増えている。
相沢稜太は傘を持って、無言で歩いていた。
菜穂
菜穂
稜太
相沢稜太はおもむろにそう呟いた。
菜穂
稜太
菜穂
稜太
稜太
菜穂
稜太
菜穂
菜穂
稜太
相沢稜太は何も言わなかった。
その表情はどこか寂しげだった。
よく見ると、傘が私の方に傾いていて、相沢稜太の右肩に、雨が当たっていた。
菜穂
菜穂
私がそう言うと、相沢稜太は私に近づいた。
ガバッ。
菜穂
ドキッ。
突然、相沢稜太に抱き寄せられた。
その直後、大きなエンジン音がして、トラックが通り過ぎた。
相沢稜太は、私から離れた。
見ると、相沢稜太の制服がびしょびしょになっている。
水溜りの水が、掛かったのだ。
菜穂
菜穂
菜穂
稜太
そう言って、相沢稜太は私に傘を差し出した。
菜穂
稜太
菜穂
私が受け取ると、相沢稜太は突然走り出した。
菜穂
菜穂
相沢稜太はこっちを振り返らずに、走って行ってしまった。
私は雨の中、その場に呆然と立っていた。
菜穂
コメント
3件
相合い傘…! 凄くきゅんきゅんしました!✨✨✨