七夕…
それは織姫と彦星が一年に一度ようやく会える日。
なのに私達は
何を烏滸がましくもそんな2人に願い事をするのだろうか。
7月7日
雨も降らない蒸し暑い日
私は
近くの本屋の七夕コーナーに
あいつが死んでくれますように
と願いを書いた。
どうせ、こんな事をしても
神様が叶えてくれるはずなんかないのは知っている。
だってどんなに願ったとしても
七夕も神社での祈りも、テストの前だって
両親が離婚した時だって…
神様は知らんぷりだったんだもん…。
七海
七海
七海
お母さん
お父さん
七海
七海
七海
七海
お母さん
七海
七海
七海
七海
その日も七夕前の蒸し暑い日で…
七海
七海
とずっとずっと祈り続けていた事を今でも忘れない…。
他の短冊
他の短冊
他の短冊
他の短冊
他人の願い事を見て思う。
七海
七海
今日、私は母親と喧嘩したんだ。
離婚以来、グレた私は友達と深夜徘徊をし、タバコを吸い始めた。
それがバレて母親にひどく叱られたのである。
離婚しての母子家庭。
七海
七海
七海
自分勝手に離婚をして、娘を放置する母親に非常に腹が立っていたんだ…。
七海
七海
今日も家に帰らず友達の家に泊まろうか…
そんな事を考えている時だった。
プル、プルルルル…
一本の電話が鳴る…
七海
七海
七海
七海
七海
七海
なけなしのお金で病院に着いた私は案内されたオペ室の前にいた。
赤く灯る手術中の電光に恐怖を覚え、
暗い廊下に響く時計の秒針の音が妙にざわつきを呼んだ。
七海
七海
七海
七海
七海
七海
七海
さっきまで酷い事を言っていたのに…
何故失いそうになって気付くのだろう…
七海
七海
七海
お母さん
お母さん
七海
お母さん
七海
七海
お母さん
お母さん
七海
七海
七海
七海
お母さん
七海
七海
七海
七海
お母さん
お母さん
七海
お母さん
お母さん
七海
七海
お母さん
お母さん
お母さん
七海
七海
七海
お母さん
七海
七海
お母さん
七海
七海
七海
七海
七海
七海
「おかえりなさい。昨日は言い過ぎてごめんなさい。でもあなたの事が心配です。 中々一緒にいれなくてごめんなさい。 夕ご飯、ちゃんと食べてね。」 母より
七海
七海
いくら涙を流しても止まらない…
今更後悔したって遅すぎる…
七海
七海
七海
七海
私のために昼夜働いて忙しいお母さん。
疲れてるはずなのに、朝も昼も夜も…いつもご飯を作っていてくれたお母さん。
時間がないのに、いつもいつも私の心配をしてくれていたお母さん…。
きっと私には想像できないくらい大変なのに
私はご飯があるのが当たり前だと思い、
片親しかいない自分を不幸だとお母さんを責めたてていた…。
七海
七海
七海
ねぇ、お母さん。
ちゃんと生きて戻ってきて…?
私、いっぱいいっぱい謝りたいよ…
私、いっぱいいっぱい感謝したいよ…
七海
七海
七海
神様、ねぇ…
七海
七海
七海
七海
七海
七海
私は手術を終えた母の横で眠ってしまっていた。
お母さん
お母さん
七海
七海
お母さん
お母さん
七海
七海
七海
私は幼稚園児の様に泣き噦った。
七海
七海
七海
七海
七海
お母さん
柔らかくてシワシワな手が私の頭を優しく撫でてくれた。
七海
七海
七海
七海
お母さん
七海
七海
お母さん
お母さん
お母さん
七海
お母さんの優しい声、優しい眼差し、暖かい温もりが私を包んだ。
七海
七海
私はあの本屋に飾った短冊を破り捨て
こう書いた。
お母さんありがとう。 あなたがずっと幸せでありますように…
もし、願いが叶うなら…
…Fin
コメント
4件
お母さんが、無事でよかったです〜、本当泣いちゃう作品を作っちゃうのも、この作品の作者さんのいいところです〜!
気づいたら泣いてました… 素敵な作品です✨
わぁ、私この話大好きなんです😍 親子の愛とか、もうそういうのがなんかいいなぁ、みたいな😁 でも、確かに七夕で会う2人に何願い事してんだよって、思いますね😂