"愛川さん、"
"そろそろ学校来ないと出席日数足りなくて、"
"留学になるわよ?"
ゆうか
ゆうか
電話越しで聞いたのは、
何回聞いたか分からない、
担任のセリフ。
16歳の11月。
いわゆる高校1年生だけど、
私はまだ学校に1度も行ったことがない。
特別に試験だけ受けて散々色んな事を免除してきてもらったけど、
それももう限界みたいだ。
ゆうか、大丈夫?
無理しなくていいんだよ?
なんて声をかけてくれる人も居るはずがなく、
私は賃貸の小さい部屋で1人、
覚悟を決めた。
先生
先生
先生
先生
先生
ゆうか
ゆうか
嫌われるのは嫌だから、
それなりの笑顔で教室を見渡すと、
好奇心でこちらを見てる人、
敵対心剥き出しの人、
分かりやすく鼻の下を伸ばしてる人
…やたらと驚いた顔でこちらを見てくる男子1人。
頭は少し明るい茶髪で、
ややパーマがかかっている。
白い肌で、
いわゆるイケメン?ってやつ。
なんか、
…頭がキーンと痛む。
…まぁいっか、
その子から視線を外して、
担任の言葉に耳を傾ける。
担任の指示通りの席に着いた後、
隣の席の可愛らしい女の子が声をかけてきた。
ゆみ
ゆみ
ゆみ
ゆうか
ゆうか
さっきやたらと驚いた顔で見てきた男の子は、
私の席より遠く、
今は後頭部しか見えない。
…でもとりあえず、
話せる人が出来ただけでも良かった。
一限目が終わった後、
当たり前のようにクラスメイトからの質問ラッシュ。
生徒
ゆうか
ゆうか
生徒
生徒
とか言う、
中身の薄い質問ばっかりだけど、
悪そうな人が居なくて安心した。
質問ラッシュはチャイムと共に終わった。
二限目って確か、
古典だったよな、
古典の教科書をゴソゴソ出してたら、
ゆみ
ゆみ
ゆみちゃんから嬉しい言葉が。
ゆみ
ゆみ
ゆうか
ゆみ
ゆうか
自習なんて、形だけで、
先生が居なきゃただの休み時間と変わりない。
ゆみ
ゆうか
ゆみ
ゆうか
ゆうか
ゆみ
ゆうか
ゆみ
ゆみ
ゆうか
ゆうか
ゆうか
ゆうか
ゆみ
ゆみ
ゆみ
ゆみ
ゆみ
ごめんね、
ゆみちゃん、
私、嘘ついた。
でも、神奈川に住んでた事は事実だから、
ごめん。
でも、許してね。
ゆうか
ゆうか
ゆみ
ゆうか
ゆみ
ゆみ
ゆみ
ゆうか
ゆうか
ゆうか
ゆみ
ゆみ
ゆみ
ゆうか
ゆみ
ゆみ
ゆみ
ゆみ
ゆうか
ゆうか
ゆみ
ゆみ
ゆうか
…道枝駿佑くん、って人は
後ろ姿しか見えないけど
私の頭の中にその人の存在がある気がして。
近づくべきか、
近づかないべきか。
この時の私は分からなかった。
近づかない方が良かった。
そう分かったのは、
もう少し先のお話。
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コメント
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あ、星ついた☆← 「マジでちょっと疲れちゃってす り つ ぶ す 」でした☆← 安心してください、私がやられるだけです。←
そうだ、平等だ! あ、なっていいの?←マジでちょっと一回すりつ☆☆☆()