絶対葬らない物語

俺が高校生の時だったかな

テラーっていう、チャット型小説のアプリが流行ったのは

テラーは欲求不満な俺には、

ちょうどよく合っていた

最初は、ただ読むだけだった

「エロ｣や「ちょいエロ｣って調べて

通報ギリギリラインの物語に1人でウハウハしていた

でも、それだけだと物足りない

いつからか、そう思うようになって

自分でも書いてみようって思った

俺の書く物語は

いつもすぐに通報され

非公開の始末だ…

卑猥な表現がどうのこうのって

いや運営さーん

男子高校生だよ？

卑猥なもんしか出てこないよって

いつも思ってたけど、

ある時、男の俺でもキュンってなる展開を思いついた

そのヒロインが

にいなちゃん

にいなちゃんは、俺の理想そのものだった

だから本気でにいなちゃんと付き合いたいって思ってたし、

夢では、

にいなちゃんとあんなことやこんなこと

色々妄想がふくらんだ

でも、その物語は気づいた時には、もう書いていなかった

多分、終わらせたくなくて…

書けなかったんだと思う

物語には、読者をアッとさせるような展開が大事だろ？

でも、その物語の作者でもあるが、読者でもある俺は

にいなちゃんを

大切にしたかったんだ

にいなちゃんを殺すことだって

にいなちゃんを悪に染めることだって

にいなちゃんが実は男でしたっていうのだって

書こうと思えば、なんでも書けるだろうけど

俺にはそんな度胸がない

にいなちゃんを失いたくなくて、

俺は

その物語を葬ったんだ…

なぜかわからないけど、

彼女の名前を呼ぼうとしたら、

にいなちゃんって

さっき呼んでしまった

漫画のヒロインと誤魔化したけど…

俺があの時から好きなにいなちゃんの笑顔は、

夢乃の笑顔とよく似ているなぁ