天罰

今日、僕は人を殺した

血の繋がっていた人を殺した

今、僕の胸に沸き上がっているものはなんだろう

人を殺した後悔？罪悪感？

それとも、自由の身となった歓喜？達成感？

それぞれがごちゃ混ぜになって、頭がおかしくなりそうだ

僕の人生で培われた、なけなしの倫理観が警鐘を鳴らす

今からでも自主するべきだと

今さら自主して何になる？

僕の行いを否定して何になる？

手にもつ血のついたナイフが、 もうどうにもならないのだと教えてくれる

僕なんかの犯行、すぐに判明するだろう

まずは、この死体をどこかに隠さなければ

…そうだ、あそこがいい

押し入れには、僕の子どもの頃の 玩具があった

数少ない思い出に浸って、玩具を押し入れから出す

死体を押し入れに押し込む

体を洗って、さっさと外に出よう

僕は早足でシャワーを浴びに行った

外に出ると、星々がキラキラと光っている

今までの人生で出来なかったことをしたい

これから歩む人生に頭がいっぱいだった

だからだろうか

横から突っ込んでくるトラックに気がつかなかったのは

トラックは、小さな僕をはね飛ばした

死、という言葉が脳裏にでる

僕の意識は、暗く深く落ちていった