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第一章-4
紫
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紫
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あまりにも切れ味が鋭すぎて
思わず本気で落涙してしまった。
干してあるタオルで涙を拭い
息を整えて再び少年の前に腰を下ろす。
少年の瞳が俺を値踏みしている気がしたので
適当に話すのは終わりにして真面目に考えてみる。
少年の状況と繋がる情報は
ドッペルゲンガーを見ると死に至る点だろう。
わざわざこの話を持ち出したのは
意味があるはずだ。
つまり。
紫
紫
紫
紫
少年の発言の意図を理解した途端
俺は返す言葉を失ってしまう。
静寂に包まれた部屋は
まるで現実から切り離されたかのようだった。
少年の声が震える。
歯を強く食いしばっているのだろうか
何かが欠けてるような音が鳴った。
その叫びで
少年の身に起きた惨劇をありありと想像してしまった。
ドッペルゲンガーに殺され
自分の居場所を奪われた挙句
幽霊となった顛末を。
俺を真っ直ぐに見据えた瞳に
嘘はなさそうだった。
その問いかけの答えを
俺は持っていなかった。
少年が大粒の涙を流す。
理不尽に命を奪われたばかりか
自分ではない何かが自分として人生を歩んでいる。
誰だって
そんな状態を受け入れられるはずがない。
次回作❤×310