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目を覚ますと、私はまた"現実"にいた。
でも、それは見慣れた世界とは少し違っていた。
白い天井。
ざわめく教室。
どこにでもある放課後。
だけど、どこか少しだけ、空気が軽い。
私は自分の席に座っていた。
窓から差し込む夕陽が机の上に伸びている。
ただ、それだけの風景が、少し泣きたくなるくらい綺麗だった。
教室の隅で、誰かが笑っている。
廊下を走る足音。
階段を駆け下りる声。
何もかも、普通で、息苦しくて、でもちゃんと愛おしい。
私は、ふと鞄の中を見る。
そこには、一枚の紙切れが入っていた。
《おかえり》
筆跡は、レイのものだった。
私自身の字でもあった。
あの度は、夢だったのかもしれない。
でも、心の奥に刻まれた感触は、確かに"現実"だった。
放課後からの帰り道。
制服の裾を揺らしながら、私は歩く。
商店街を抜けて、川沿いの道を通って、少し高い丘へ登る。
風が髪を揺らす。
見下ろす街は、あの日見た"偽りの世界"とは違って、静かでリアルだった。
レイ
聞こえた気がして、振り返る。
そこにいたのは、制服姿のレイ。
でも、もう"もう一人の私"じゃなかった。
彼女は、ただそこにいて、私の隣に立った。
レイ
日向
レイ
私たちは並んで、街を見下ろす。
日向
レイ
日向
レイ
日向
私は小さな声で聞いた。
レイは少しだけ間をおいて、答える。
レイ
その言葉に、胸がぎゅっとなった。
夜が少しずつ近づいてくる。
街の灯りがひとつずつ灯る。
日向
レイ
日向
レイ
私はうなずいた。
風が静かに吹く。
どこか遠くで、明日が呼んでいる。
私は一歩、前へ進む。
"誰かのため"じゃなくて、"私"のために。
もう私は、誰かに「デビルじゃないもん」って言わなくていい。
天使だなんて言われなくても、自分を信じていられる。
私はただの私。それが、最高で最強だ。
ーおわりー