黒尾鉄朗
もうすぐテストだし、三人で勉強会しようぜ
テツがそう言ったのは 暑さが残る初秋のこと。
中間テストが近付いて、
男子バレー部も休みらしい。
三毛屋〇〇
いいんじゃない?
三毛屋〇〇
研磨は?
孤爪研磨
別に…どっちでも
黒尾鉄朗
よし決まり〜
黒尾鉄朗
早速今日の放課後な
孤爪研磨
今日はゲームのミッション更新日だから無理
黒尾鉄朗
あ、ハイ
というわけで翌日の放課後。
それぞれ教科書とノートを広げて
黙々と勉強に取り掛かった。
研磨と私は普段から あまり喋るタイプじゃないし、
テツも集中しだすと黙るから、
この三人での勉強は楽だ。
三毛屋〇〇
✍️
孤爪研磨
📚
人気のない静かな図書室に、
ただただ字を書く音と 紙を捲る音が木霊する。
三毛屋〇〇
……、
三毛屋〇〇
( …なにこの問題 )
と、すらすらと動き続けていた 手が止まる。
ある問題でつまずいた。
三毛屋〇〇
ねえテツ、研磨
三毛屋〇〇
この問題分かんないんだけど…
黒尾鉄朗
なんの教科?
三毛屋〇〇
現国
孤爪研磨
ならクロよろしく
黒尾鉄朗
はいはーい
「先輩に任せなさい」 なんて得意げに言うと、
私の隣の席に移動するテツ。
黒尾鉄朗
どれどれー?
三毛屋〇〇
これ
手元にある問題集を覗き見るテツ。
顔と顔が近付き、 びくりと肩が揺れた。
周りが静かなのも相まって 微かに呼吸音が聞こえる。
黒尾鉄朗
あぁ、これはね
三毛屋〇〇
う、うん
ページを指でなぞって 説明をしてくれるテツ。
ゴツゴツと男性らしい その手にすら意識しちゃって、
話に集中できなかった。