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妃菜
常にインドアな妃菜は歩き回ることが結構辛そうだ。
これから買い物をしなきゃいけないって言うのに大丈夫なのか?
香奈
そんなことにも目もくれず、気遣いのフリもなくそそくさとお惣菜コーナーへ向かう。
妃菜
僕
僕は妃菜の手を取り香奈のところに急ぐ。
店員
横から声が聞こえた。僕達のことではないと思いそこを通り過ぎようとすると。
店員
と僕たちを引き止めた。
僕
店員
どうしたらいいのか迷う。何に迷っているかというと。
カップルでもないのにその商品を勧められても困ることと、カップルでないことを全否定することで妃菜に心の傷を負わせてしまうことがある。
ということで。
僕
という言葉を選択した。 その場を去ろうとしたが今度は妃菜がその商品に釘付けになっている。
妃菜
僕
妃菜の顔が少し赤面しているように見える。 気のせいだろうか。
妃菜
え?いや。今なんて言ったのか。一瞬分からなかった。
えっと。今見ようとしているのは間違いなくカップル用の物だよな。
今の僕たちに必要なものだろうか。 ま、まさか。妃菜は僕のことをそのように捉えていたとか?
いや。まて。それはそれで自意識過剰な気もする。一体全体何がどうなっているのか分からなくなってきた。
でも。ひょっとしたらひょっとするかもしれない。
シンキングタイム終了。
僕
自分でも声が裏返っているのを感じとれた。 いくらなんでも。おかしいよな。今の感じ。 変に思われなきゃいいけれど…。
妃菜
少し俯きながら答える妃菜だが。 今度こそ顔を赤らめている様子が見て取れた。
妃菜が自主的に想いを発言するのも珍しかったし。なによりこうして2人で話すってこともなかなかなかったからいい機会だな。
でも。香奈の様子が気になる。どこに行ったのか。なにをしてるのか。少しだけ不安だったが…。 あいつなら適当に立ち回ってるだろ。
妃菜こそ1人にしたら行方不明になりそうだし…。 なんて理由付けをすることで自分を正当化しつつ妃菜との時間を作って… 何をやっているんだろう僕は…。
妃菜
そう言ってマグカップを見せてくれる妃菜。 真ん中にウサギがいてハートを持っている。
なるほど。妃菜はこういうのが好きなのか。 内心、笑みを浮かべながら
僕
妃菜
と慌てて、大袈裟に手を振りながら断る妃菜。 結局は買うんだな…。だけどその仕草は可愛い。
何でもしてあげたくなるような魅力が妃菜にはある。 家ではあまり見せないような新鮮な表情で少し僕も緊張している。
心臓が壊れそうなほど動いているのがわかる。でも、ひとつだけ買うってなると なんかあれだよな。3つくらい買うかな。
えーっと1つで1200円だから・・・。 ん?1200円!?高くね!?なんだこの高い値段設定は。
リア充どもはこんな高いものを2つ買うというのか!?いやいやいや。別に妃菜が買いたいなら僕も付き合うけど…
これはさすがに3つも買えないぞ?でもまぁこれも運命だ。買うしかない。この機会を逃すともう良いところ見せれない気がする…。 ということで。
僕
僕はそう言って3600円+税金を支払った。今月、というかもうお小遣いがもらえないので一生分のお金の2/3を使ってしまった。
これからどうやって生活すればいいのだろう。少し涙ぐむ僕。
妃菜
満面の笑みでお礼を言う妃菜。これがなによりの幸せだ。スマイルは0円と言われているが、このはにかんだ笑顔は支払った代金より高いのではないかと思ってしまった。
可愛いは正義という言葉があるけれど。本当にその通りだった。 可愛いで思い出す元いた昔の出来事…。
あれ?そういえば美帆もこんな笑顔を見せてくれたっけ?だめだだめだ…。妃菜と美帆を重ねてみたら、妃菜に失礼だろうが、でも、美帆は今何をやっているのだろうか…。
こっちの世界に来てからというもの。あっという間に時間は過ぎて…。懐かしいなぁ学校…か。僕もほんとは学校に通わなきゃいけなかったんだけどな。 そう思考を凝らしているうちに。
香奈
香奈が手を振り(荷物を振り回し)ながら僕たちを呼んでいる。大量の荷物だ。どうしてそんなに買うものがあるか謎だったが。彼女が言うにはレディーの嗜みらしい。
少しその袋を見てみたところ1か月分くらいの食料を買い込んでいて、それプラス、香奈の趣味によるものもあった。というか半分くらいが趣味のものと考えてもよさそうだ。
大量の荷物を抱えながら来た道を辿って帰る…。