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コメント
13件
ありがとうございます!めちゃめちゃ誉められて照れますね~(*^.^*)エヘヘ
公式よりうまいんじゃないか?❗ ゚ ゚ ( Д )
武藤径 様 とってもとっても光栄ですううう(´;ω;`)
注)グロテスク表現あり
『世が世なら私は城主の娘だったの』
一宮ランの口癖だった
【雑貨・秘薬の販売】 マジョリカ 営業時間 18時~25時
カラン~♪
一宮ラン
店先に
顔を背けたくなるような醜女(シコメ)が立っていた
なにも、容姿のことを言ってるんじゃない
容姿は────
このワタクシが治してさしあげたのだから
『──いらっしゃいまし』
『お待ちいたしておりました』
一宮ラン
『はい、お嬢様』
『少しお待ちを』
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
この女
穴という穴
口、鼻、毛穴にいたるまで
あらゆるところから立ち昇る
淀んだ臭気が見える
恐らくは──
積年の恨みつみなるものが
怨念として宿っているに違いない
『こうも性根が腐っていてはね・・・』
こればかりは
いくらワタクシでもどうしようもない
女の恨みは
逆恨みにも等しい
些細なことも
人のせい
勝手に恨みを募らせているに過ぎない
それも、これも
被害妄想
自己愛が強すぎるがゆえ
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
『さようでございますともお嬢様』
『それも』
『めったとお目にかかれない』
『オオムラサキクジャクヤママユの卵』
『素敵でございましょう?』
『お嬢様の恋する方のために』
『特別にご用意いたしました』
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
『ありがとうございます』
『少々お待ちを──』
『お嬢様?』
『これはいったい──』
『何かの冗談でしょうか?』
『代金は100万と申し上げたはず』
『何かの間違いでございましょうか?』
『ワタクシの手元には、10万しかございませぬが』
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
『疑っておられる?』
『い、生きていますとも』
『正真正銘』
『生きております』
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
『お嬢様』
『恩をお忘れですか?』
一宮ラン
『痘痕』 (アバタ)
『以前酷い痘痕顔でお困りだったでしょう?』
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
『煎じた秘薬の効果は絶大』
『めったとお目にかかれない』
『貴重な代物なんだよ』
『他に欲しがる者は大勢いる』
『買う気がないならお代は返すから』
『とっとと帰っておくれ!』
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
『しかたない』
『持ってゆくがいい』
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
カラン~♪
ふっ…
性根の腐った娘さんだよ
醜い痘痕顔を綺麗にしてさしあげたのにね
あの卵───
どれだけ貴重か知るまいに
あれを持つ器もない
ふふふっ
けど
アタシも人が悪い
忠告を一つ言い忘れたのだからね
あれは
人の心を虜にする
あれは
所有者の
欲しがるものに
姿を変える
だから
あれの
言いなりになってはいけない
あれの
要求に応えてはならない
魅入られてはならないのだ
さもなくば
あれに身も心も喰われてしまうでな
ふっ
ふははははは
いひひひひひーっ
一宮ラン
美香
一宮ラン
一宮ラン
美香
一宮ラン
美香
出来れば
こいつとは関わりたくない
美香
美香
美香
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
そーよ
だってあんたは
ブロックNO.1候補なんだよ!
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
半年前
あの夜
突然
一宮ランは私たちの前に現れた
Bar Butterfly オーナ
Bar Butterfly オーナ
Bar Butterfly オーナ
大人のになってからも
中学時代の仲間とつるんでいた私は
週末の度にBarButterflyに集まってはバカ話に花を咲かせていた
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
こんな子いたっけ?
私たちの中で、当時の彼女を知る者は誰もいなかった
──数日後
ゆかり(元同級生)
ゆかり(元同級生)
ゆかり(元同級生)
美香
ゆかり(元同級生)
ゆかり(元同級生)
美香
広げた卒業アルバム
ゆかりは入学式の集合写真を指さした
そこに 酷い痘痕顔の女の子が紛れていた
ゆかり(元同級生)
ゆかり(元同級生)
美香
美香
ゆかり(元同級生)
ゆかり(元同級生)
美香
ゆかり(元同級生)
美香
ゆかり(元同級生)
ゆかり(元同級生)
ゆかり(元同級生)
ゆかり(元同級生)
美香
美香
ゆかり(元同級生)
ゆかり(元同級生)
ゆかり(元同級生)
ゆかり(元同級生)
ゆかり(元同級生)
美香
美香
美香
美香
美香
ゆかり(元同級生)
ゆかり(元同級生)
美香
ゆかり(元同級生)
ゆかり(元同級生)
ゆかり(元同級生)
──結局のところ
大人になった私たちは
表面的には仲のよいふりをした
これがいわゆる大人の付き合い
うわべだけの
体裁だけの人間関係だ──
だが
それが
思わぬ事態を招いた
晃司
晃司
晃司
友人たちの中で唯一の男子
増田 晃司から
相談をもちかけられたのは
つい最近のことだった
美香
美香
美香
晃司
晃司
晃司
美香
美香
晃司
晃司
晃司
晃司
晃司
晃司
晃司
晃司
晃司
晃司
美香
美香
美香
美香
美香
美香
こうして晃司くんは
私の家に居候することになった
そして
今日
仕事中に
いきなり
電話がかかってきた
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
美香
美香
美香
美香
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
美香
美香
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
しつこい女
美香
プチ
晃司くんに電話しなきゃ
美香
晃司
不在着信
美香
美香
美香
晃司
不在着信
美香
美香
一宮ラン
えっ?
美香
美香
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
美香
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
美香
美香
美香
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
プチ
えっ❗
どういうこと!?
美香
晃司
不在着信
美香
一宮ラン
美香
一宮ラン
美香
美香
一宮ラン
一宮ラン
美香
美香
一宮ラン
一宮ラン
ピコン♪
一宮ラン
指輪?
あっ
美香
美香
一宮ラン
美香
一宮ラン
ピコン♪
指がゴロリと一本
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
美香
美香
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
美香
美香
美香
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
美香
美香
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
美香
美香
美香
一宮ラン
美香
一宮ラン
美香
一宮ラン
美香
美香
美香
一宮ラン
一宮ラン
美香
がさがさと音がする
『ねー晃司くーん』
『美香が見捨てるって』
にわかに電話の向こうが騒がしい
わぁわぁと叫び声がする
美香
美香
美香
美香
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
美香
美香
5分後
美香
一宮ラン
美香
一宮ラン
美香
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
美香
一宮ラン
一宮ラン
私はロッカーを飛び出した
一宮ラン
美香
美香
一宮ラン
一宮ラン
ピコン♪
一宮ラン
真珠にしてはやけに小さな粒が写っていた
美香
美香
美香
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
美香
一宮ラン
一宮ラン
美香
美香
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
美香
美香
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
美香
一宮ラン
美香
美香
一宮ラン
これって計画的だったんだ!
──怖い
1
1
1
6
カチッ
美香
一宮ラン
美香
美香
一宮ラン
一宮ラン
美香
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
GPSっていつの間に
一宮ラン
一宮ラン
15分後
美香
一宮ラン
ピコン♪
いきなり写真が送られてきた
写真に写っていたのは
緑色をした巨大なイモ虫だった
美香
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
ぶよっとしたフォルムは
気分を悪くさせる
美香
それにしても、昔どこかで聞いたことのあるネーミング
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
美香
たしかあの話は
蝶の採集に熱中する主人公の少年が
自分より優れたコレクションを持つ
完璧で冷淡な少年から
貴重な蝶の展翅を盗む話だ
美香
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
狂ってる
孵化させた蛾の幼虫
持ち出したラット
それと
晃司くん!
晃司くんはどうなっちゃっているのかな?
こんな時に限って
巡回中の警官はいない
一宮ラン
美香
美香
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
美香
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
美香
美香
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
美香
美香
美香
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
美香
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
美香
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
美香
美香
完全にもてあそばれている
一宮ラン
美香
美香
ピコン♪
スマホに
ぶよぶよに太った
巨大なイモムシが送られてきた。
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
美香
美香
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
美香
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
虫ずが走る
吐きそうだし
このまま逃げ出したい
一宮ラン
錆び付いた
三階建てのバラック
脇に鉄階段が見えた
美香
美香
ピコン♪
『三階のドア』
『開いているから入って』
私は鉄階段を上がり
ドアを開けて
中に入った
美香
ゴン!
いきなり頭部に強い衝撃を感じた
私は苦痛を感じる間もなく
気絶した──
どれくらい経っただろう
美香
美香
美香
一宮ラン
美香
一宮ラン
一宮ラン
美香
美香
一宮ラン
一宮ラン
部屋の真ん中で
巨大ななイモムシがもぞもぞ食べていた
マネキン人形のような
足が一本落ちていた
美香
美香
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
美香
美香
美香
美香
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
美香
確かにイモムシは光っていた
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
美香
ランはふらふらとイモムシのところへ行った
一宮ラン
一宮ラン
美香
イモムシはとぐろを巻いてランの体に巻き付いた
美香
イモムシは光輝き
キラキラした糸を吐き出す
ランもろとも
繭玉になってゆく
美香
美香
繭は青白い光を出し
中身が透けて見えた
『嬉しい』
『私たち一つになれるのだわ』
しだいに
イモムシの体が溶け出した
どろどろのスープ状になり
ランの体もろとも溶けてゆく
“完全変態”
繭玉の中で
イモ虫は劇的に体を作り変える
まるまる一日が経った──
繭はもう光っていない
バリバリと音を立て
中からもぞもぞと何かが這い出てきた
一宮ラン
一宮ラン
美香
等身大の蛾の成虫が頭をあげた
頭部はなんと!
ぶよっとしたボディーにランの顔そのものが生えていた
美香
翅が広がる
クジャクの羽のような目玉の紋様が見える
晃司
晃司
美香
驚いた
左の翅の眼状紋に
晃司くんの顔があるではないか!
美香
晃司
晃司
よく見ると
他に
犬や猫などの小動物も紋様となって現れている
小動物
小動物
小動物
紋様がいっせいに鳴き出した
晃司
小動物
ランが顔を歪める
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
ランが幼虫に食べさせた肉たちが、翅の紋様となって騒ぎだしたのだ
小動物
晃司
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
蛾になったランの顔が私を見た
美香
美香
美香
美香
美香
美香
美香
にっこり笑ったランの口から
注射器のような管が
するりと伸びてきた
ブスッと腹に突き刺さる
チューチューチュー
次に気がついた時には
向かいの翅に晃司くんの顔があった
!?
美香
美香
晃司
晃司
そう私も紋様にされた
私たちは三人は
あのヤママユ蛾に全てを飲み込まれたのだ
残された道は蛾の一部として
生きるのみ──
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
ランは苦虫を噛み潰したような顔をした
一宮ラン
一宮ラン
一宮ラン
ギィー
ドア開いた
戸口に
黒いレースをまとった
老女が立っていた
『おやまぁ』
『ワタシが言った通り』
『ちゃんと羽化したじゃありませんか』
『それにしても』
『えらく奇妙な蛾ですこと』
『これはこれは興味深い』
『突然変異からの新種になりますわね』
『この珍しい蛾を、ワタシがきちんと処置いたしましょう』
『美しい翅を展翅板に張りつけたら』
『さぞかし見栄えがするでしょう』
『コレクターが羨むような標本ができるんだからね』
ふはははは──
いひひひひひ──
END