「義理のお兄ちゃんは恋愛対象ですかっ!? 第三話」
東雲 結愛
ほんとに、ほんとに、ほんとにやばいって…。ふー。
東雲 結愛
あー、もう無理無理っ!
東雲 結愛
めちゃめちゃかっこよすぎた…。
これが、一目惚れ…か。
好きな人とか、できたことなかったから、わかんないけど、
なんか、これが恋なのかな…。
さっきから、ずっと落ち着かない。
すんごくそわそわするし…。
あー、もうやばい。
東雲 結愛
た、ただいまっ!
東雲 杏
おかえり~。
東雲 杏
あれ、どうしたの?顔がすごく赤いけど…
東雲 結愛
えっ!?そう?
東雲 杏
熱かしらね…?あ、でも、全然熱くはないけど…
東雲 結愛
大丈夫!げ、げんきだし!
東雲 杏
そう、それならよかった。
東雲 杏
あ、結愛、お母さん、お話があるんだけど…いいかな?
東雲 結愛
んー、どしたの?
東雲 杏
いや、お母さんね…、再婚を考えてるんだけど…。
東雲 結愛
さ、再婚っ!?
東雲 杏
そうなの。で、もし結愛がいいんだったら…
東雲 結愛
え、再婚って、結婚するってことでしょ!?
東雲 杏
ええ。
東雲 結愛
うーん。
東雲 杏
やっぱ、だめかしら…?
東雲 杏
別に結愛に抵抗があるんなら、全然いいんだけどね?
東雲 結愛
いや、お母さんには、幸せになってほしいから、応援する。
東雲 結愛
けど、けど、シンデレラのお父さんも再婚して、ひどい人が奥さんになった
でしょ?だから、あんまり再婚っていうのにいいイメージが無くて…。
東雲 杏
そうよね…。
東雲 杏
相手の人も、結愛に抵抗がありそうなんだったら、まだ結婚はやめとこう
って言ってくれてるから。
東雲 結愛
いや、お母さんの人生なんだし、幸せになってほしいから、大丈夫!
東雲 杏
え、本当!?
東雲 結愛
うん!お母さんの選んだ人なんだったら、いい人に決まってるし!
東雲 杏
よかった…。それでね、今度、その人が家に来るんだけど…。
東雲 結愛
お家に?
東雲 杏
うん。それで、相手の人にも子供さんがいるそうで、
東雲 結愛
わぁ!どんな子?
東雲 杏
んと、結愛より一つ上だって。
東雲 結愛
じゃあ、お姉ちゃんか~!楽しみ~!
東雲 杏
あ、それはわかんないの。
東雲 杏
お兄ちゃんか、お姉ちゃんか聞くの忘れてて…。
東雲 結愛
あ、そうなの?そっか。
東雲 杏
そう。だから、明日、早く学校から帰ってきてほしくて…。
東雲 結愛
もちろん!
東雲 杏
ありがとう!
正直に言うと、悲しかった。
お母さんが、お父さんの事を忘れちゃったんじゃないかって。
お父さんは、事故で亡くなった。
私が五歳くらいの時で、
たくさん遊んでくれたお父さんだった。
あの時は、人が亡くなるなんてことの意味を理解できなかった。
だから、いつかは大好きなお父さんが家に戻ってくるのだと思ってたけど…。
とにかく、お母さんは今日まで、
私の学費の為に必死で働いていた。
ずっと気にしてくれたし、参観日なんかも
必ず来てくれた。
お父さんがいなくて寂しいと感じないように、
たくさん遊んでくれたし。
だから、お母さんには、幸せになってほしい。