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コメント
4件
めっちゃ好みの小説を見つけてしまった…切なくて儚いこのお話めっちゃ好きです。更新楽しみに待ってます。

書き方が分かりやすくて好きです🫶
次の日も
その次の日も
佐藤優太は教室に来なかった
いや
来れなかった
4人はようやくその事実に気が付いた
佐藤優太はきっと小さい頃からずっと 父に支配されて生きてきた
そう
自分で選んだことが一つも無かった
教室までの行き方 席に座る意味 「学校に行く」という行為そのもの
それは全部、父が「行け」と言ったから
父が居なくなった今
佐藤優太にとって動く理由が無かった
昼休み 4人は迷いもなく向かっていた
佐藤優太はやっぱりベンチに座っていた
いや
座っているより置かれているようだった
涙だけがずっと流れている
ただ そこに居る事しか出来ない
鈴木 大飛
渡辺 彪雅
誰もこんな姿を想像していなかった
支配者だった佐藤優太
命令する側だった佐藤優太
でも今、ここにいるのは
「どう生きればいいか」を一切 教えられなかった人間
田中 あつき
浦田 悠馬
鈴木 大飛
答えは誰にも分からなかった
下手に声をかけたら壊れてしまいそうで
下手に動いたら崩れてしまいそうで
父という「指示装置」がなくなり 次に 何をすればいいのか分からなくなった人間
渡辺 彪雅
人形ならこんな風に泣かない
鈴木 大飛
佐藤 優太
返事はない
でも聞こえていた、反応していた
そこで4人は確信した
今の佐藤優太に必要なのは
説得でも励ましでも正論でもない
必要なのは「一緒にいる」という事実だけ
4人はようやく掛ける言葉を見つけた
鈴木 大飛
鈴木 大飛
そう言った時
清掃員
清掃員
清掃員
清掃員
その言葉が佐藤優太の耳に届いた瞬間
さっきまで瞬きすらしなかった佐藤優太は
佐藤 優太
さっきまで立てなかった体が 当たり前のように動く
それは 「指示」されたから
佐藤優太は言われた通りの方向へ歩く
その背中は今までの支配されていた 佐藤優太そのものだった
そして自然の方へ
いつものようにそっと姿を消した
鈴木 大飛
田中 あつき
浦田 悠馬
渡辺 彪雅
佐藤優太は命令されることで自分を保って 命令されることで存在を確認している
だから 佐藤優太にとって自由は救いじゃなかった
選択肢がある世界は恐怖でしかなかった
鈴木 大飛
鈴木 大飛
佐藤優太が本当に"人"になるために
自然の中に消えなくても 生きていけるように
指示じゃなく、選択を覚えられるように
次の日から佐藤優太は
一切指示を出さなくなった
生徒 1
生徒 2
生徒 3
その声は好意じゃなかった
今まで抑えつけられていた分 今度は弱くなった佐藤優太を好き放題 扱っていい。そんな空気が流れ始めていた
生徒はあからさまに距離を取った
先生も同じだった
それでも父はいない…守る者はいなかった
しかし佐藤優太の表情は変わらなかった
誰に無視されても、冷たい言葉を向けられても、机を蹴られても
怒りも悲しみも顔には出なかった
出し方を知らなかった
教室で佐藤優太は完全に独りになった
席に座ったまま動かない
まるで「ここにいろ」と指示されている ように
4人は心が苦しかった
教室という佐藤優太にとって1番居心地の悪い場所で孤立していることが
渡辺 彪雅
渡辺 彪雅
鈴木 大飛
助けたい
声を掛けたい
それなのにその優しさでさえ佐藤優太に とって新しい支配になる可能性がある
その日の放課後
佐藤優太は庭に行かなかった
「行け」と言う指示が無かったから
教室に残り 窓の外を見つめていた
鈴木 大飛
4人は教室の入口で立ち止まった
佐藤優太はふと視線を動かした
佐藤 優太
4人と目が合う
何も言わない、何も求めない
それでも
佐藤優太は完全に独りじゃなかった
誰にも愛された事が無いと思い込んでる 人間のすぐそばで
命令でも支配でもない「一緒に居る」事を 選んだ4人がいたから
~continue~