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第十六話 たった一人で戦い続けた赤
お茶を淹れてくると言って席を立った
Broooockを除いた四人は
案内された部屋で
Broooockを待っていた
きんとき
スマイル
きんとき
きんときは忘れてはいない
黒ローブの正体はスマイルだったのだ
スマイル
きんとき
きんとき
スマイル
きりやん
きりやん
きりやん
スマイルは小さく頷いた
Broooockは浄化対象ではなかった
もうスマイルも隠す必要がないのだろう
スマイル
きりやん
きりやん
スマイル
きりやん
笑みを浮かべるきりやんとは裏腹に
シャークんときんときは首を傾げた
きりやん
きんとき
きんとき
スマイル
スマイル
スマイル
シャークん
シャークん
きりやん
きりやん
きりやん
きりやん
きりやん
きりやん
シャークん
スマイル
スマイル
シャークん
シャークんは目に見えて驚いて
小さく俯いて落ち込んだ様子を見せた
スマイルと出会ってからシャークんは
なんとか家に置いてもらうために
慣れない料理をして
スマイルの役に立とうと
四苦八苦したものだ
それがいつからか習慣になって
ずっと料理担当を務めていたのだが
それは家主にとって
意味のないものだったとは知らなかった
スマイル
スマイル
シャークん
スマイル
きりやん
きりやん
きりやん
きりやん
シャークんは俯き加減のまま
ちらっとスマイルの様子を窺う
スマイルはその視線に気付いて
居心地が悪そうに視線を逸らした
スマイル
シャークん
きんとき
きりやん
きりやん
スマイル
きりやん
きりやん
スマイル
スマイル
スマイル
ちりんと音が鳴った
四人が音の鳴った方を見ると
扉の前に黒猫が座っていた
きりやん
きりやん
スマイル
スマイル
スマイル
そこから扉をすり抜けるように
Broooockが現れた
その両手には盆を持っていて
ティーセットが並べられていた
Broooock
Broooock
Broooock
Broooock
Broooockは機嫌よく皆の前に
ティーカップを並べて
どんどんティーポットからカップへ
お茶を注いでいく
そこから紅茶の良い香りが
部屋を漂い始める
きりやんは感心した
きりやん
Broooock
Broooock
Broooockは慌てて ティーポットをテーブルに置くと
その場に蹲ってしまった
その様子に スマイルが慌てて立ち上がって
Broooockの元に駆け寄った
スマイル
スマイル
Broooock
Broooock
Broooock
Broooock
きりやんがちらっと
蹲ったBroooockの様子を窺うと
彼は両目からぽろぽろと
涙を零していた
きりやんはぎょっとした
きりやん
きりやん
Broooock
Broooock
四人がテーブルについて
Broooockの淹れるお茶を待っている
それを目の当たりにした瞬間――
もうだめだった
――うれしくてうれしくてたまらない
ずっとずっと夢だった
みんなにこうして自分が
何かをしてあげる事が
まだ泣くには早いと言うのに
もう涙が溢れて止まらない
Broooockはずっと一人で戦っていた
虚弱な身体で生まれ
みんなに助けられて生きてきた
それでもこの身体は
みんなを困らせるほどに弱過ぎた
その身体を治すために
永遠とも言える時間を眠り続けた
深い暗闇の中で
Broooockはずっと孤独だった
そんな眠っている中でも
身体は永遠に傷み続けた
――痛い
しんでしまいたい
Broooock
しにたくない――
またみんなと会いたい
みんなと、遊びたい
眠りにつく前――
みんなが会いに来てくれた
Broooockを支える大切な思い出だ
Broooock
Broooock
Broooock
Broooock
起きて会えたらなんて言おう――?
おはよう
ただいま
おまたせ
ごめんね
ありがとう
たくさんたくさん言いたい言葉がある
たくさんたくさん話したい事がある
待っていて、必ず――
必ず僕が、みんなを集めてみせるから
Broooock
Broooockは勢いよく立ち上がり
ぱっと笑った
きりやん
Broooock
Broooock
Broooock
そう言いながらBroooockは
ぽんぽんと空中からお皿を召喚して
その上にクッキーも召喚して
テーブルに並べる
Broooock
Broooock
スマイル
スマイル
Broooock
スマイル
スマイル
ぽかんとしているシャークんときんときに 気付いたBroooockは
二人に微笑みかけた
Broooock
きんとき
シャークん
シャークん
Broooock
Broooock
Broooock
Broooock
きんとき
Broooock
きんとき
きりやん
きりやん
シャークんときんときもきりやんに続いて
クッキーに手を出し始める
その光景を眺めていたBroooockは
感極まる想いだった
Broooock
きりやん
Broooock
Broooock
きりやん
対してスマイルの他三人は
Broooockとの距離感が掴めずにいた
好意的なのはものすごく理解できるが
なぜなのかが理解できない
きりやん
きりやん
きりやん
Broooock
Broooock
きんとき
Broooock
Broooock
Broooock
Broooock
Broooock
きんときの答えにBroooockが
矢継ぎ早に応えていく
きんとき
きんとき
きんとき
Broooock
Broooock
Broooock
きりやん
きりやん
きりやん
Broooock
Broooock
きりやん
Broooock
Broooock
Broooock
しんと部屋の中が静まり返る
きりやんは一つクッキーを手に取ると
口に含んでサクッと嚙み締めた
きりやん
Broooock
Broooock
Broooock
きりやん
Broooock
Broooock
Broooock
Broooock
きりやん
Broooock
Broooock
Broooock
Broooock
Broooockは嘲笑った
Broooock
Broooock
きりやん
きりやん
きりやん
Broooock
Broooock
Broooock
Broooock
きりやん
きりやん
きりやん
きりやん
Broooockは目を見開いて
きんときを凝視した
きんときはじっときりやんを見据えていた
きんとき
Broooock
きんとき
きりやん
きりやん
きりやん
Broooock
Broooock
Broooockの質問にきんときは小さく頷いた
きんとき
きんとき
Broooock
その言葉を聞いたBroooockは
胸が引き裂かれるような想いだった
ずきんずきんと胸が痛む
呼吸が止まりそうになる
Broooock
Broooock
Broooock
ぎりっと歯を食いしばる
怒りの感情が込み上げてくる
きんときが今精霊であると いう事はわかっていた
人間の身から約束を守るために
精霊へと昇華したのだと
勝手に思い込んでいた
Broooock
Broooock
――何を呑気に再び出会えた事を 喜んでいたのだろう
Broooockは自分が無邪気に喜んで泣いたり
お茶やクッキーを用意していた事が
滑稽に見えて恥ずかしくなった
そもそも自分が眠り続けている中――
再会を夢見て待っていてくれている事に
本当はもっと感謝しなければならなかった
Broooockは待つという苦労を 嫌という程知っている
ベッドの中で一歩も動けなかった彼は
毎日待つ日々だった
胃がまともに動いてくれないから
流動食を流し込んで 必要最低限の栄養を補い
それでも足りなければ
治癒の魔法使いから治療を受けながら
生き永らえていた
Broooock
誰かに何かを求めてる毎日
与えられてばかりで 無意味な生活
Broooock
Broooockは誰かに愛されている訳ではない
秘匿にされているこの世界で
唯一の生物魔族だから
大切に保存されているだけだ
自分の様子を見に来る 魔法使いでもなんでも良かった
話をしてくれるなら
新しいものを聞かせてくれるなら
ただの暇つぶしになるのなら、なんでも
皆がBroooockを特別扱いする中
同じ魔族――スマイルだけは違った
Broooockの発見から現在まで
スマイルは手厚くBroooockを保護している
それも研究対象や絶滅危惧種に対する
腫れ物扱いのようなものではない
彼はBroooockを
一人の生命体として接してくれていた
普通ではないBroooockに
普通を教えてくれたのはスマイルだ
スマイルは長生きしている分
知識が豊富で話をするのも楽しかった
感情がない魔族のくせに
人間のように相手への配慮や
気遣いを知っている
長年人間の傍で学んできた 対人間のための話術なのだろう
みんな好きだけど
やっぱりその生活はつまらなかった
手で遊べるおもちゃを渡され
幼児のように扱われる
誰かが来てくれる事を待つ日々――
Broooock
Broooock
ぎゅっと胸を握りしめて
Broooockは苦しそうにきんときを見つめた
Broooock
Broooock
何か言いづらそうに
Broooockは言葉を詰まらせる
きんときはそんなBroooockを見て
いたたまれない気持ちになった
きんとき
きんとき
Broooock
Broooock
Broooock
きんとき
きんとき
Broooockはきんときの言葉を噛み締める
そしてじっとこちらを見つめている
きりやんに視線を移した
きりやん
Broooock
差し出されたきりやんの右手に
Broooockは自分の右手を重ねて
二人は目を閉じた
Broooockは自分の中に埋め込まれた
黄の記憶を取り出して
それをきりやんに委ねた