とある家にて
瑛太
瑛太
キュー
キュー
瑛太
いつもの生活。
いつもの日常。
俺は何も変わらない日常を何も考えずに過ごしていた。
瑛太
仕事は昼間か夕方だけのアルバイトを週6で勤務。
正社員じゃないとは言え、1週間に1回しか休みが無いのはやっぱりキツい。
瑛太
瑛太
瑛太
久しぶりの休みだ
ゆっくり寝ることにしよう
そう思いながら俺はカップ麺に湯を張った
瑛太
大学の友達は既に就職。
女子のSNSは名字が変わって結婚してる奴も居る。
就職率97%とか言われた時代の、残りの3%に取り残されたのかと思うとため息が止まらない。
ニュースに映る大学生
瑛太
瑛太
自分のレッテルと周囲からの目線に疲れたのだろうか…
もう他人の幸運すら素直に祝えなくなった 自分がそこにいた
瑛太
キュー
瑛太
俺はポケットからスマホを取り出して 食卓に置き、出来上がったカップ麺をすする事にした。
その時…
(ピロリンッ)
瑛太
スマホに見たことの無い通知が届いた
瑛太
瑛太
俺のスマホのトップ通知に書いてあったのは、インストールもしてないアプリの名前が記されていた
あなたへのオススメ:「無敵アプリ」
瑛太
瑛太
最近は自己嫌悪ムードも入ってた事もあり、名前に惹かれてインストールする事にした。
瑛太
アイコンは黄色の円の中に、 目一杯埋まる程の大きな黒字で「無敵」と 書いてあるだけ。
アプリの参照となる画像は、ライインの様なトーク画面のスクリーンショットが幾つか並んでいる。
瑛太
瑛太
瑛太
容量が軽かったおかげで、すぐにインストールが終わった。
瑛太
ムテキくん
瑛太
起動したら、例のトーク画面に遷移し、 ごく普通の片言が表示された。
音が出るわけでもなく、ただの文章が吹き出しの形で表示されただけだった。
トーク画面の背景は、薄黄色。そこに薄い黒色で、カタカナで目一杯「キ」が1文字書かれている。
瑛太
瑛太
瑛太
時刻は既に夜11時半。
疲れていた俺は風呂に入って寝ることにした。
明日じっくりいじれば良いや…
翌朝。
瑛太
瑛太
スズメの鳴き声で起きてしまった。
スマホの時計は朝8時を表示していた。
二度寝しようと思うが、不思議と目が冴えてしまい寝れなかった。
瑛太
キュー
キュー
瑛太
キューが来てから、生活でストレスを感じることが少なくなった気がする。
これが俗に言う、アニマルセラピーというやつだろう。
キラキラとした純粋な目で俺を見つめるのが愛おしくて仕方がない。
瑛太
俺は気だるい体を、布団からゆっくりと起こした
瑛太
瑛太
瑛太
キュー
俺はご飯と即席の味噌汁を食べながら朝のニュースを見ていた。
窃盗、痴漢、殺人、誘拐… 数日に一回程のペースで流れるおっかない ニュース。
瑛太
瑛太
瑛太
瑛太
通知アイコンの文章が空白の、よく分からない通知が例のアプリから来た。
内容がよく分からず、取り敢えず起動してみることにした。
ムテキくん
瑛太
瑛太
瑛太
ムテキくん
瑛太
挨拶返しをしたら、一方的な返事が返ってきた。
瑛太
瑛太
瑛太
ムテキくん
瑛太
ムテキくん
瑛太
ムテキくん
瑛太
AIでも何でもなく、その後何を送っても返事は同じだった。
瑛太
俺は朝食を済ませて、隣の寝室へ戻ることにした。
瑛太
瑛太
瑛太
微妙な変化に俺は気付いた。
瑛太
トーク画面の文字が変わっていた。
昨日薄い黒で表示されていた「キ」の文字が、「ミ」に変わっていた。
瑛太
瑛太
無駄に推測力だけは良くなってしまった。
どうせこのちゃちいアプリの事だ。
6日間かけて、「キミハムテキ」とでも書きたいんだろう。
瑛太
キュー
昨日は午前中を睡眠で潰してしまい、キューの散歩が出来なかったから今日は一段とキューの目が眩しい。
俺は朝食後キューを散歩に連れていったが、その後特にやることもなく家で休みを過ごして一日が終わった。
ムテキくん
翌日
瑛太
瑛太
俺はスマホで無敵アプリを開いてみた
ムテキくん
瑛太
瑛太
瑛太
俺の予想通り、背景の文字は「ハ」に変わっていた。
瑛太
瑛太
瑛太
確かに、一回周りからバカにされて悔しくて、権力も力も誰にも負けない無敵な人間になってやると一瞬思ったことは有るが…
こんなショボい形で無敵を叶えられても困る
瑛太
瑛太
ムテキくん
瑛太
ムテキくん
瑛太
ムテキくん
俺は駄文をうんと書いてみようと思い、更に「あ」の連打を送ってみた。
しかし何回送っても、何十回送っても、 無情な一言しか返って来なかった。
その時だった
瑛太
ムテキくん
瑛太
ムテキくん
瑛太
ムテキくん
瑛太
突然の出来事に俺はスマホを 落としてしまった
瑛太
久しぶりの鳥肌。
鳥肌が立ちすぎて腕の毛が抜けるかと思うくらいだった。
不意の出来事に頭も真っ白になり、一瞬、 考えることが出来なくなってしまった。
瑛太
瑛太
おそるおそる自分のスマホを手に取る。
そして、例のアプリの トーク画面を覗き込んでみる。
瑛太
瑛太
瑛太
唐突に放たれた先程の一言は書かれておらず、アプリはいつものセリフで 会話が終わっていた
瑛太
俺は疲れてんだろうと自分を諭し、キューを留守番させて仕事に行くことにした。
それから3日ほど経った頃。
瑛太
瑛太
キュー
久し振りの頭痛に襲われた
幼少期に持病持ちだった事もあり 頭痛の痛みは重く鈍かった。
瑛太
同じシフトの人には申し訳ないが、 俺は休みを貰った。
俺のバイト先は幸いにも、当日早めに言えば休みを取れる場所だった。
瑛太
俺は休みが取れた安心からか、痛みとは別に眠気が襲ってきた。
瑛太
キュー
瑛太
キューを一撫でした後を覚えてないくらい すぐに俺は寝入ってしまった。
だが寝てから数時間後…
(ビーーーーッ!!) (ビーーーーッ!!)
瑛太
音源は俺のスマホだった
瑛太
少しだけ和らいだ頭痛をこらえつつ 災害情報を探してみるが、何一つ 情報は見当たらなかった
瑛太
すると、ふと一瞬頭で何かがよぎった
瑛太
俺は例のアプリを開いてみることにした
すると…
瑛太
俺が見たアプリは、まるで別物のように 変わっていた。
トーク画面は赤黒くなっていて、上から下へと液体が流動的にドロドロと落ちている。
履歴の吹き出しは白と黒のコントラストが逆になっており、吹き出しの色は真っ黒だった。
背景には最後と思われる文字、「キ」が大きくどす黒く書かれていた。
瑛太
瑛太
と、次の瞬間。
ムテキくん
瑛太
ムテキくん
まだ文を送っていないのに勝手に 返事が返ってくる
ムテキくん
ムテキくん
ムテキくん
ムテキくん
ムテキくん
ムテキくん
トークが止まらない。
むしろ送られてくるペースが早くなっていく
頭痛が酷い事もあり、冷汗か風邪か分からない大量の汗をかきながら画面を薄目で見ることしか出来なかった
ムテキくん
ムテキくん
ムテキくん
ムテキくん
ムテキくん
ムテキくん
ムテキくん
トークの早さは秒速で送られるほどに加速していた。
瑛太
瑛太
突然、背中に頭痛より重い痛みが 身体中を走った。
瑛太
俺の布団と右手は既に血まみれだった
瑛太
瑛太
俺は薄目が更に薄くなるなか、部屋の真ん中に誰かが立っているのが見えた
確認しようにも、体は動かず目も もう大きく開けられない
ただ、片手に何か長いものを持っている
もう片方は……無惨なキューの首が 掴まれていた
瑛太
ザシュッ!!!!
片手に持っていた何かで俺は体を真っ二つにされ、意識を失った。
ムテキくん
ムテキくん
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