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とある高校

明日花

今日からだよね!

明日花

教育実習の先生来るの

智紗

そうだねーどんな人だろう

私は智紗と何気ない会話をしている

今日から教育実習の先生が来る

上手くやってけるかな

ドキドキするよ

そんな事を考えてたら、先生がやってきた

担任

前にも言ったと思うけど、今日から教育実習の先生が来ます

担任

秋菜ちゃん、入って

先生の指示で秋菜と呼ばれた先生が入ってくる

明日花

……………………

絶句した

あまりの可愛らしさに、絶句した

一つに束ねられた髪は緩い天然パーマがかかっていて

二重でとてもくりくりとした可愛らしい目

小柄で細身の体型は、スーツによって身体のラインが引き立つ

森 秋菜

初めまして、今日から二週間実習をさせていただきます。

森 秋菜

森秋菜です

森 秋菜

よろしくお願いします

ふわふわした綿飴みたいな声

その全てに、私の心は奪われた

数日後

森 秋菜

はい、授業を始めまーす

今日から森先生の授業だ

彼女の担当は世界史だ

元から得意教科だし、頑張ろうと思う

委員長に従い、挨拶を終えると授業が始まった

森 秋菜

では、今日から帝政ローマについてやります。

森 秋菜

教科書は、えっと…25ページを開いて下さい

森 秋菜

アクティウムの海戦でアントニウスとクレオパトラ七世を破ったオクタウィアヌスは

森 秋菜

紀元前27年に元老院から、尊厳者アウグストゥスの称号を与えられ、皇帝となりました

そこまで説明すると、なれない手つきで黒板に字を書いていく

どんどん下へと字が下がっている

それに気づいてあたふたしている姿も可愛らしい

森 秋菜

それで……

手に持ってるメモを確認している

森 秋菜

あ!それで、アウグストゥスさんは、ローマ市民の第一人者を名乗りました

森 秋菜

市民の反乱を防ぐためと言われています

説明しながら黒板を書く森先生を見つめる

背伸びをして一生懸命書いている

先生を見つめていると、いつの間にか話を聞くのを忘れてしまった

森 秋菜

それでは、明日花さん

明日花

へ?はい!

智紗

ふぁいとー

森 秋菜

なぜ、ティベリウスは人々に人気がなかったのでしょう?

ティベリウスとは、ユリウス・クラウディウス朝の第二代目皇帝だ

予習の成果を発揮してやる!

明日花

えっと……あまり人前に出なかったし好かれるような行動を取らなかったから

明日花

その上話も他の皇帝、特にアウグストゥス帝と比べると暗く

明日花

市民の求める皇帝では無かったからです

先生の目をみて答えた

森 秋菜

……はい!そうです

森 秋菜

詳しいね…

明日花

ありがとうございます(^^)

よっしゃあ!褒められた

この日から、世界史の授業が楽しみになった

三日後 世界史

森 秋菜

今日は前回の続きのギリシャです

明日花達のクラスは世界史を専攻しているため週の殆どに世界史がある

森 秋菜

前の復習からすると、ギリシャは哲学と自然科学が多く発達しました

森 秋菜

中でも、アルキメデスのアルキメデスの原理、ピタゴラスのピタゴラスの定理、エウクレイデスのユークリッド幾何学は覚えておいて下さい

なぜユークリッド幾何学をチョイスした?という疑問が残る

それよりも、最近先生ばっか見てしまって授業に集中出来ない

彼女に心を盗られてしまったみたいだ

世界史への愛が、全て先生へと注がれていく

これは一体何なんだろう

同日、帰り道

智紗

明日花、森先生の子と好きなんでしょー

明日花

ち、違うし……

智紗

えーでも、私がもし男だったらあんな感じの女性、好みだなぁ

明日花

マジ?

智紗

うん、凄い可愛いもん

明日花

それは、分かる

智紗

好きだけど女を好きになるなんておかしいとか思ってるんでしょ

明日花

そんな事ないよ!

智紗

はいはい、私ね

智紗

誰かを好きになったんなら気持ちに素直になった方がいいと思うよ

明日花

うん…………

智紗

まだ先生は居るんだから、もう少し考えな

明日花

そうだね

智紗

何かあったら相談してよ

智紗

友達なんだからさ

明日花

それは違うよ

智紗

え?

明日花

智紗は親友だよ

智紗

……嬉しい事言うなぁ

明日花

私、好きなのかな……?

明日花

森先生の事

考えても答えは出ない

翌週 世界史

森 秋菜

はーい、始めまーす

森先生もだいぶ授業に慣れてきたらしい

今週でお別れなのが淋しいくらいだ

彼女の居ない学校なんて、意味があるのかな

私は世界史さえ出来れば、他はどうでもよかったはずなのに

森 秋菜

今日からは、アジア・アメリカの古代文明についてやってきまーす

森 秋菜

まずは、インドで

森 秋菜

気候は雨季と乾季が交互にくるモンスーン気候です

先生がインドの説明をしていく

上手く集中出来ない

森 秋菜

……です。では、明日花さん

明日花

……

森 秋菜

明日花さーん

智紗

あす

明日花

はっはい!

森 秋菜

大丈夫?

明日花

平気です

森 秋菜

じゃあ、仏教の開祖を答えてください

明日花

開祖……

ヤバい!出てこない

何よりも大切な世界史の知識が出てこない

思い出そうとしても先生の動き、仕草についての記憶に阻害される

森 秋菜

分かんない?

時間を掛けたら迷惑だ

明日花

はい、ゴメンなさい

森 秋菜

大丈夫だよ、しっかり覚えていこうね

森 秋菜

じゃあ……

智紗

あす、気にすることないよ

明日花

そうだね……

智紗

気づいた?

智紗

先生への気持ちは

明日花

うん、多分

明日花

私は先生に魅了されてる

明日花

私はだから世界史に夢中になれない

智紗

そうだね

明日花

だから、先生に気持ちを伝えるよ

それから毎日のようにある授業

私はいつも通りの調子を取り戻すことが出来た

当てられても迷いはしない

予習してきたし、何よりも

自分の気持ちに正直になれたから

授業が楽しい

先生に会える事が嬉しい

自分は自分なんだ

常識なんか忘れてしまえ

先生、あなたの事が……

チャイムがなり、最後の授業が始まった

森 秋菜

始めまーす

いつも通りに授業が始まる

森 秋菜

今日はインドに現在も少し残っているカースト制度についてやります。

先生の説明が続く

最初と比べると詰まる回数も減ってきている

森 秋菜

では、明日花さんアーリア人と呼ばれたのはどの階級迄ですか?

明日花

ヴァイシャです

森 秋菜

はい、そうですね

森 秋菜

実はその下にスードラという階級があるのですが、

森 秋菜

彼らは奴隷なので、どちらかと言うと……

先生が最後の解説をしている

明日からはこれが聞けないのか

ちょっと寂しい

授業の終わりを告げるチャイムが鳴った

委員長の号令で礼をする

これで最後だ

明日花

ありがとうございました!

森 秋菜

ありがとうございました〜

六時間目の授業が終わり、担任による帰りの会があった

森先生と写真を撮り、掃除に取り掛かる

結局、緊張して何も言えなかった

これは一生の後悔になるだろう

私は深くため息をついた

智紗

あす、行ってきなよ

智紗

まだ先生実習生控え室にいると思うよ

明日花

いいよ。掃除しないといけないし

委員長

大丈夫、先生には質問しに行ったって伝えとく

委員長

みんな知ってたよ

委員長

明日花が森先生の事好きだって

クラスメイト

好きなら行ってきな!

クラスメイト

みんな明日花の味方だよ

明日花

いいの……?

智紗

早く行ってきな

智紗

先生帰っちゃうよ

明日花

……分かった

明日花

ありがとう!

私は無我夢中で階段を駆け上がる

私の教室のある2階に対して実習生控え室は4階だ

階段を二弾飛ばしで上がる

先生の注意だって気にしない

私は後悔したくない

四階、実習生控え室に向かう

明日花

頼む……間に合って!

丁度、控え室から森先生が出てきた

明日花

先生!

森 秋菜

は、はい!

森 秋菜

どうしたの?質問?

やっぱ先生は可愛い

ちょっと照れくさい、けれど

ちゃんと伝えないと

明日花

あのっ私!

明日花

先生の事

明日花

好きです!!!

森 秋菜

………………へ?

首を傾げている

あまり理解していなさそうだ

明日花

えっと…だから、

明日花

好きなんですよ…先生の事

森 秋菜

…どういう、意味で…?

明日花

恋愛的……な?

森 秋菜

そっか…………

森 秋菜

ごめん、私…そういうのじゃ、ないんだ

森 秋菜

でっでも、ありがとね

森 秋菜

鈍臭い私の事、好きなんて言ってくれて

明日花

……………………

明日花

もし私が男だったら、

明日花

先生みたいな人の事

明日花

タイプでした

森 秋菜

……

私はそう言うので精一杯だった

七年後

高校

明日花

初めまして、本日からこちらで教育実習をする事になりました

明日花

よろしくお願いします!

かつての森先生のように、私も教師を目指すことにした

もしかしたら森先生に会えるのかもしれないという希望論からだ

クラスの皆に挨拶を終えると、先生方に挨拶する為に職員室へ向かう

明日花

本日からこちらで教育実習をさせて頂くことになりました明日花です

森 秋菜

あっ……貴方

明日花

森先生…………

思っていたよりも直ぐに会えた

だけど、なんか気まずい

森 秋菜

久しぶりだね、私もまだ新人で非常勤なんだ

森先生が近づいてきてそう小声で言った

森 秋菜

あと、あの時の返事

森 秋菜

もし私が男だったら、君の事

森 秋菜

結構タイプだったと思うよ

森 秋菜

あの時は驚いちゃって、ごめんね

森 秋菜

でも、あれからちゃんと考えたんだ

森 秋菜

世の中いろんな生き方があるからね

森 秋菜

だから、返事を変えていい?

明日花

はい

森 秋菜

いいよ、宜しくね

この日から、私の心は晴れになった

七年ぶりの晴れが来た

この作品はいかがでしたか?

131

コメント

12

ユーザー

ありがとう!

ユーザー

分かりました!そういえばコメントとかタメ語でOKだよ

ユーザー

ありがとうございます!見てきますね!あと、江華でいいですよ~

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