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第1話 - あ

2023年09月15日

#恋愛

結城　真矢

モネ

サナ、今日の数学の授業でまた、先生のこと見てたでしょ？

サナ

え？何？

サナ

別に、全然そんなつもりなかったんだけど

モネ

え？まさか無意識なの...？

モネ

みんなが分からない問題、自分だけ分かって挙手して手上げた時、

モネ

先生のことにやにやしながら見てるじゃん

サナ

別に、そんな変な意味で見たことなんてないよ！

サナ

ただ、自分だけが問題正解出来たら、嬉しいでしょ？

サナ

嬉しいから喜んでるだけじゃん

サナ

それの何がいけないわけ？

モネ

みんなは優しいから言わないけど、陰で噂してるんだよ

モネ

「先生のことが好きだから、数学にだけ力入れてるんじゃない？って」

サナ

何それ！？

サナ

誰がそんないい加減なこと言い始めたのか知らないけど、

サナ

私は単純に、数学が好きだから応用問題とかも解いてるだけだもん

サナ

理数教科は好きだから、伸ばしたいの

モネ

ふ～ん、え、でもさ～

モネ

数学は毎回95点とか取ってるのに、

モネ

生物と物理は80点台じゃない？

モネ

なんでその2教科は90点台行かないの？

サナ

生物も、物理も好きだよ

サナ

ただ、全部正解しないと点数もらえない問題が多くて、

サナ

なかなか90点台にいかないだけ

モネ

そうなんだ

モネ

じゃあ、先生に気がないなら、私のお願い聞いてくれるよね？

サナ

え？何？お願い、って...

モネ

私、先生のこと好きなんだよね

モネ

今度のテスト、私がクラスでトップになるから、

モネ

数学のテスト、わざと平均点以下取ってもらえる？

サナ

は？何それ？

サナ

そんなお願い、聞けるわけないじゃん！

モネ

なんでよ！？簡単なことでしょ？

モネ

解き方分かってるんだったら、適当にどこか数字変えて係船すればいいだけのことじゃん

モネ

そしたら、簡単に間違った答えなんて出せるでしょ

サナ

なんでモネのどうでもいいお願いに付き合って、私が成績落とさないといけないの？

サナ

大学の推薦狙ってること、知ってるでしょ？

モネ

どうせ無理だって、推薦なんて

モネ

だって、サナが受けたい国立大学の推薦、県内のもっと頭のいい高校の生徒も、

モネ

沢山応募しに来るんでしょ

モネ

サナは成績が突発して良いのは数学だけだし、

モネ

優秀な子たちに負けるに決まってるじゃん

サナ

そんなの、やってみないと分からないでしょ？

モネ

もう、勝負はある程度決まってるんだって

モネ

諦めなよ

サナ

諦めるわけないじゃん

サナ

これまで2年間、頑張って成績キープしてきたんだし、

サナ

ここでわざとその努力すれるほど、私バカじゃないから

～1週間後～

サナ

ちょっとモネ！

サナ

なんで、教科書ビリビリに破ったりしたの！？

サナ

私、数学の教科書ないと明日の授業、受けれないんだけど

モネ

見られてたか～誰かに借りればいいじゃん？

モネ

それに、数学のテストで1番取れるくらい頭良いんだから、

モネ

教科書なんて必要じゃないかな～って思ったんじゃん

サナ

私の成績が、教科書破っていいこととは関係ないでしょ？

サナ

なんで、そこまでされなきゃいけないの？

サナ

悔しいなら、モネだってもっと努力すればいいじゃん

モネ

は？私が頑張ってないみたいな言い方じゃん！

モネ

私だって、睡眠時間削って、数学の勉強量増やしてるんだよ

モネ

だけど...あんたが邪魔なの！

モネ

1,2年生でずっと数学はクラスで1番だったのに、

モネ

3年生になってサナと同じクラスになった途端、私のいたポジションを取ってきたんじゃん！

サナ

取るとか、そんな勝負みたいに私思ってないし...

サナ

推薦を取るために、私だって2年間勉強し続けてきたんだよ

サナ

モネが2年間頑張ってきたのはすごいと思うけど、

サナ

でも、それは私には関係ないでしょ？

モネ

先生にこっちを見てほしいの

モネ

だから、そのために1位を取りたいんだよ

サナ

別に、1位を取れなくても2位でもいいじゃん

サナ

モネが努力してるところ、先生もきっとちゃんと見てくれてる、って

モネ

1位のサナだから、そんなこと言えるんでしょ？

サナ

先生は、ちゃんと努力を見てくれる先生だよ

サナ

本当に先生に見て欲しいなら、質問の1つくらい、しに行けばいいじゃん

モネ

質問しても、結果が出ないと意味ないの！

サナ

モネがいう結果を出したい、っていうのは私だって同じだよ

サナ

大学の推薦枠を取るために、こっちだっていつも全力で、

サナ

人生かけるつもりで勉強してきたの

サナ

だから、モネのお願いは聞けないよ

サナ

悪いけど

～2日後～

サナ

ねえ、今日の数学のプリントって集めたのモネだよね？

モネ

そうだけど？

サナ

帰ってきた答案見てみたら、私が書いた答えと違う答えが書かれて返ってきたんだけど

サナ

モネ、間違っている答えに書き直したの？

モネ

そうするしか、方法なかったんだもん

モネ

サナと答えが違うところ、その朝鮮問題しかなかったし

モネ

私の答案に、サナの回答を書き写してサナの回答を適当に数字変えて、答え変えたの

サナ

は？何それ？

サナ

なんでそこまでするわけ？

サナ

この問題、一生懸命自分で時間かけて考えて解いたのに！

サナ

私の努力、返してよ！

モネ

イヤに決まってるじゃん！

モネ

朝鮮問題なんて、そんなサナしか正解できな問題、

モネ

2番の私が解けたら1番になれるでしょ？

モネ

日朝の特権、利用させてもらったから

サナ

日直の特権、って...

サナ

意味わかんない

サナ

そんなんで正解できても、先生は喜ばないよ！

モネ

気づかれなきゃいいもん！

モネ

それに、サナはテストでわざと間違えるのは嫌なんでしょ？

モネ

今回の課題のプリントは別にテストじゃないし、

モネ

そこまで成績に響かないじゃん

サナ

テストで手を抜きたくないのは、自分の人生を棒に振りたくないからだけど、

サナ

プリントの回答を盗まれたら、誰だって嫌な気持になるでしょ？

サナ

モネはこんなことして、何とも思わなかったの？

モネ

別に、思わないよ

モネ

私は、先生に褒められたらそれでいいんだもん

サナ

こんな汚いマネして、あとで後悔するのはモネなんだからね

モネ

別に、後悔なんてしないから

モネ

心配してくれなくても、大丈夫だよ

～翌日の授業後～

タイガ

サナ、さっき、モネになんか嫌なことされなかったか？

サナ

ううん、特に何もされなかったけど...

サナ

なんで？

タイガ

いや、今日の数学の授業で、先生が言ってただろ？

タイガ

「挑戦問題で正解できたのは今回1人だけでしたって」

タイガ

それせ、モネの子と呼んでたじゃん

タイガ

あれさ、モネがサナの答え盗んだこと、俺見てたんだ

サナ

え？そうだったの？

タイガ

うん

タイガ

それで、このまま黙ってるのもなんか嫌だな～と思って...

タイガ

俺から先生に、モネが回答盗んだことを話したんだよ

タイガ

サナが先生に話したか、モネに疑われたかな～って心配してた

サナ

そっか...そうだったんだ...

サナ

なんか、不思議だったんだよね

サナ

先生、いつも授業の中で答えとか解説、自分でさっさと説明しちゃうのに、

サナ

「今日は生徒に説明させるんだ～って...」

サナ

ありがとうね、タイガ

タイガ

いや、良いんだよ

タイガ

って言うか、俺もモネがサナになんか嫌がらせしてること、

タイガ

なんとなく気づいててさ

タイガ

なのに、先生に言うのが遅くなってごめんな

サナ

そんな、謝ることじゃないよ

サナ

むしろ、めちゃくちゃ感謝してる

サナ

私、大ごとにするの好きじゃないから、先生には言わないタイプだったし

サナ

タイガがいてくれて、助かったよ

タイガ

いや～そう言ってもらえると照れるな～

タイガ

あっ、それで

タイガ

みんなの前では言わなかったけど、あとで先生、モネのこと職員室に呼び出したらしいよ

サナ

え？そうだったんだ

タイガ

うん、それで、さすがに高校3年生の次期だし、内容も内容なだけに...

タイガ

親も読んだらしいよ

サナ

え？そんな大きなことになったの？

タイガ

イヤ...校長とか他の先生に知られるとまずいと思ったらしくて、

タイガ

3者面談みたいにして、親の前で先生が今、全部話してるところ

タイガ

さっき、チラッと教室の横通ったらさ、モネ号泣してたよ

サナ

まあ、自業自得だよね

サナ

人の書いた答案を盗むとか、さすがにびっくりしたしね～

タイガ

親もそうだけど、先生もさすがに呆れてたみたいで、

タイガ

なんか...なんて言っていいか分からない感じだったよ

タイガ

あとさ、モネ、先生になんで人の答案なんて盗んだのか理由聞かれたとき、

タイガ

「1番取れなきゃ、大学に入学できないと思ったからって言ったらしいよ」

サナ

それで、先生は？

タイガ

それ聞いて、先生言ってたよ

タイガ

「答え盗んで正解出来たら、その時は気持ちいいしラクかもしれないけど、

タイガ

そんなの何の力にもならないって」

タイガ

それで、「俺が入学者を決める人だったら、そんな生徒は絶対に大学に入れたくない」

タイガ

って、言ってたりもしたかな～

タイガ

先生、って、授業中教える時は優しいけど、

タイガ

それ言ってるの見て、「かなり厳しいこというな～って印象受けた」

サナ

そりゃあ、どの教科の先生も、答案写してるの知ったら怒るでしょ

タイガ

モネさ、呼び出されてる母親にも先生の前で大激怒されててさ、

タイガ

もう挟み撃ち、って感じで、かなり大ダメージ受けてるよ

サナ

今回のことって、モネの成績に影響したりするのかな？

タイガ

「学年主任や校長には黙って置くし、進路に影響はしないようにするって先生は言ってたよ」

タイガ

でも、かなり厳しいペナルティ出してたけどね

サナ

え？ペナルティ？

タイガ

「答案を写したことは、この先誰にも言わないし、

タイガ

すでに知っている子には言わないようにお願いするって約束してたんだけど」

タイガ

「このままというわけにもいかないので、数学の問題集を数1・Ａ共に、

タイガ

1周してノートで提出してください、だって...

サナ

え！？あの分厚いやつを！？

タイガ

いや～絶対しんどいよな～

タイガ

俺だったら半分もいかずにギブアップするわ、多分

サナ

私も、途中でギブアップするかな...

サナ

まあ、これでモネが反省してくれるといいよね

タイガ

うん、そうだな

サナ

タイガが言ってくれてなかったら、私、モネに何も仕返しできないままだったよ

タイガ

だって、そんなサナが困ってるところ、いたくなかったし...

タイガ

入学してから2年間も好きな子のこと、ほっとけるわけないじゃん

サナ

え？

タイガ

俺、サナのことずっと好きだったよ

タイガ

先生の方見て笑ってるところ見ると、焼いたりもしたけど...でも、

タイガ

俺はサナの恋、応援する、って決めたから

サナ

え？待って...

サナ

私、そんなに先生のこと好きなように見えてるの？

タイガ

え？違うのかよ？

サナ

褒められると顔赤くなっちゃうし、勘違いされるからいい加減止めたいんだけど、

サナ

でも、恥ずかしいだけなんだよね、

サナ

あと、嬉しいのと...

タイガ

なんだよ～そうだったのか！

サナ

私も、タイガのこと好きだし

タイガ

へ？うそ？

サナ

嘘じゃないし！

サナ

タイガに見ててもらえて、私すごい嬉しかったよ

～後日談～

サナ

モネは分厚い数学のテキストの問題を何とか終えることができたみたいですが、

サナ

そうとう疲れたのか、学校に来ても友達と話す気力がないほどでした

サナ

私はというと、第一希望で出していた大学の推薦を無事取ることができ、入学先が決まりました

サナ

タイガとは通う大学が近いので、学校が離れていてもお互いに合えることができそうです

サナ

3年間、推薦を取るために頑張って勉強し続けてきて、本当に良かったと思っています

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結城　真矢

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