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地面に着地した瞬間、心臓がまだ バクバクしていた

無傷でいることに安堵の息をついた

"りょう"は悠真の胸にしがみついた

青いTシャツが煙で汚れて、顔は涙と 煤でぐちゃぐちゃだ

周囲はカオスだった

消防車のサイレンがけたたましく響き、赤いライトがタワーのガラスに反射 している

消防隊員がホースを握り、放水の音が ゴウゴウと鳴っている

タワーから逃げ延びた人々が広場に 集まっていた

りょう

ありがとう…

風見 悠真

どういたしまして

風見 悠真

元気でな!バイバイ

今は"りょう"を近くにいた消防隊員に 預け終わったところだ

悠真は笑顔で手を振るけど、内心は 3人のことが心配でたまらない

風見 悠真

(非常階段から無事に出ていてほしいんだけど…)

広場を走って、非常階段の出口を探した

風見 悠真

(そういや、俺に言い寄ってくる人はいなかったけど…)

風見 悠真

(落下と着地の瞬間は誰も見ていなかったのか)

風見 悠真

(そこはラッキーだ)

風見 悠真

あ…

風見 悠真

おーい!

木崎 陽菜

悠真!?

悠真は3人の方に駆け寄った

陽菜の髪は乱れ、蒼のTシャツは煤で 汚れており、蓮は膝に手をついて ゼハゼハ息をしていた

風見 悠真

良かった、皆無事で

木崎 陽菜

悠真が…生きてた!良かった…!

風見 悠真

ハハ、そんな簡単に俺は死なねえって

木下 蒼

おい、勝手に列から抜け出して何やってんだよ!

木崎 陽菜

うん、こっちはめちゃくちゃ心配したんだよ?

風見 悠真

それは…ごめん

風見 悠真

あの時、煙の中で子供が倒れてたのが見えてさ

風見 悠真

助けに行ってたんだ

木下 蒼

…そうだったのか

神崎 蓮

その子供はどうした?

風見 悠真

さっき隊員の人に預けて・・

風見 悠真

今は親御さんを探してもらってるんじゃないかな

そうして話している内に、背後から女性と子供の声と足音がこちら側に近づいてきた

振り返ると、母親と思わしき人が "りょう"を抱きかかえていた

母親A

あの、息子の"りょう"を助けてくれた方…ですよね?

風見 悠真

ああ、はい

母親A

助けてくれてありがとうございます!

母親A

本当にっありがとうございます!

風見 悠真

いえ、別に…息子さんが無事で良かったです

親子の去り際、子供が手を振ったので 悠真も手を振り返した

木下 蒼

お前すげーじゃん

木崎 陽菜

ねえ、次からは絶対に無茶なんかしないでよ?

木崎 陽菜

今は助かったからいいものの…

風見 悠真

…わかったよ

神崎 蓮

でもまあ、皆助かったんだし良しとしようぜ

木下 蒼

だな

木崎 陽菜

ねえ、この後どうする?

木崎 陽菜

もう帰る?

風見 悠真

そうだな、一旦落ち着きたいし

木下 蒼

俺も、こんな目に遭ったら疲れるわ

神崎 蓮

俺も一旦家に帰りたいかな

 

木下 蒼

火事の原因って何だったんだろな

木下 蒼

ニュースでもう何か言ってるのかな

神崎 蓮

んー、まだ速報出てないな

神崎 蓮

でも、〇▲タワーで火事って、結構大事だと思うし・・

神崎 蓮

すぐ出てくるかもな

ブーブーブー

木崎 陽菜

あっ、お母さんからだ

木崎 陽菜

ごめん、ちょっと待ってて

陽菜が少し離れた場所で母親と 電話をし、戻ってきた

木崎 陽菜

お待たせ

木崎 陽菜

皆はもう火事のこと親に連絡した?

木下 蒼

してない

神崎 蓮

しなくてもいいっしょ

風見 悠真

(連絡…スマホ…)

風見 悠真

(あれ、ポケットに無い?)

木崎 陽菜

悠真は?

風見 悠真

っ俺も、まだしてない

木崎 陽菜

え〜、絶対したほうが良いって

木崎 陽菜

親御さん絶対心配してるだろうし

木下 蒼

心配してるなら電話かけてくるだろうし、大丈夫だって

神崎 蓮

うん、家に帰ったら火事のこと言うで大丈夫っしょ

木崎 陽菜

え〜…んー、そっかぁ

人でごった返した場所から離れて、 今日の集合場所まで戻ってきた

聞こえてくる消防車のサイレンの音が 少し小さくなった

木崎 陽菜

じゃ、解散ねバイバイ!

蓮は駐輪場に向かい、陽菜、蒼、悠真は それぞれの帰り道を歩んでいった

互いの姿が見えなくなったところで 悠真は引き返した

無い

斜め掛け鞄の中、ポケットの中、 広場、タワーから飛び降りた地面の 付近と・・

"落とし物として届いているかも"と 希望を持って最寄りの交番に 行ったものの・・

スマホは見つからなかった

コツ、コツ、コツ、コツ…

コッコッコッ…

風見 悠真

(無かった…)

風見 悠真

(タワーの中で落としたとしか考えられねえな…)

風見 悠真

(あー、最悪だ…)

風見 悠真

(絶対怒られるよなぁ…)

そんなことを思いながら、仕方なく 帰路についていた

左には取り壊し途中の廃墟ビルが 不気味に聳えていた

ひび割れたコンクリート、剥き出しの 鉄骨、割れた窓ガラスとクレーンが 鉄骨を吊り上げたまま、キーキーと 軋む音が響く

風見 悠真

(早く帰ろ)

コツコツコツコツ…

 

ゾッ

突然、背中に寒気を感じた

風見 悠真

…!?

???

振り返ると、黒いフードの男が 30メートル先に立っていた

背が高く、肩幅が広いに加え、 フードで顔はよく見えない

風見 悠真

…?

風見 悠真

(なんだ…?)

スッ…

男が右手を上げて、振り下ろした

キラキラ☆ キラァ…✩

ヴォンッ!!

キラキラした光の線が向かってきたのを最後に…

男が目の前にいる

そして、男の左手にあるナイフが 悠真目掛けて振り下ろされる

ズバッ!!

それを見た悠真はナイフを躱そうとして後ろに倒れ・・

足裏を男に向け、偶然にも横向きに アクティブ能力が発動した

川端 志郎

!?

風見 悠真

あっ!!

背中の面と地面が平行になるようにして後ろに吹っ飛び、男と距離をとる 形になった

川端 志郎

チッ

風見 悠真

(あっぶねえ!!)

風見 悠真

(何が起きた今!?)

風見 悠真

(絶対に離れてた筈だ、おかしい)

風見 悠真

(まさか能力者?)

川端 志郎

(さっきので殺っておきたかったが…)

川端 志郎

(面倒だ)

男はまた手を振り下ろそうとした

風見 悠真

っ!

タッタッタッタッ!

起き上がった悠真はすぐさま廃墟ビルに 駆け込み、崩れた壁に隠れた

キラキラ…✩ キラキラ…✩

ガシャンッ!

光の線が壁に刺さり、コンクリートが 砕けた

壁がググッと動き、男の前に 引き寄せられた

風見 悠真

壁がっ!

川端 志郎

逃げんな、ガキ

男の声は低く、ドスが効いていた

風見 悠真

お前…能力者か?

川端 志郎

…ああ

川端 志郎

お前もそうなんだろ?

川端 志郎

〇▲タワーから飛び降りて…

川端 志郎

普通の人間なら無事でいられるはずがねえ

風見 悠真

(見られてたのか…!)

男はナイフを構え、ギラついた目で 悠真を睨んだ

そして、一歩また一歩と悠真へと 近づいていく

風見 悠真

!!

風見 悠真

なあ、こんなことやめてくれよ!!

風見 悠真

殺し合いなんて!こんなの間違ってる!!

川端 志郎

(溜まったか)

スッ…

男は悠真の言葉を無視し、攻撃に移った

風見 悠真

くそっ!!!

それを見た悠真は即座に逃げ、廃墟の 階段を駆け上がり、2階へと移った

悠真は2階の開けた空間に移った後、 階段の方を見るため、振り返った

キラキラ✩ キラキラ✩

風見 悠真

(またか!)

光を避けようと、体の重心を左へ 傾けようとした際、右足の裏が地面を 離れた瞬間・・

アクティブ能力を誤って発動させて しまった

ドッ! フワリ…

左斜め上に体が跳んでしまった 悠真は・・

咄嗟に頭を守ろうと、臍を見るように する形で頭を下げるも、天井に背中が 強打してしまった

風見 悠真

(痛い")

逃げないと…殺られる!!

風見 悠真

(振り向いたのは正解だ…)

風見 悠真

(あのまま直進して逃げてたら間違いなく喰らってた)

風見 悠真

(大丈夫だ、俺)

風見 悠真

(絶対になんとかなる!)

コツ…コツ…

川端 志郎

風見 悠真

…っ

風見 悠真

(もう来たのか?!)

川端 志郎

(後ろに吹っ飛んだのと、今の跳躍力の高さ…)

川端 志郎

("身体能力を上げる能力"か?)

川端 志郎

(だが・・)

川端 志郎

(身体能力を上げれば高所から飛び降りて無事でいられるっていうのは・・)

川端 志郎

(ひっかかるな…)

風見 悠真

(コイツの能力はきっと・・)

風見 悠真

("光に当たった物を引き寄せる能力"!!)

川端 志郎

っまだ逃げるか!

風見 悠真

(今はまず距離を!!)

ドッ!!

アクティブ能力で空を蹴り、前方へと 大きく跳んだ

風見 悠真

(よし!ちゃんと発動した!)

風見 悠真

(屋上に行こう)

風見 悠真

(そこなら俺が有利だ!!)

そして、2階の天井に開いている大きな穴に目掛けて、跳ぼうとした

が、悠真は能力で大事な"ある要素"が 頭から抜けていた

はっ……?!

CT(クールタイム) の存在を…

川端 志郎

ハハッ

川端 志郎

CTか!!

8.15

7.69

風見 悠真

( そうだCT!)

風見 悠真

(長い!)

6.32

風見 悠真

(長い!!早く経て!)

刹那を争う戦いにおいての 1秒という果てしない重みが 悠真に伸し掛かる

風見 悠真

ぁ……

川端 志郎

!!!

男はその隙を逃すわけもなく、ナイフで 切り裂きに行った

その時、空気が揺れた

パッと黒髪の女が現れる

肩までのストレートヘア、毛先が 跳ねており、黒いフリルのスカートに リボンのブラウス、大きな瞳がギラッと悠真を見て、ニコッと笑った

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