第四十四話 たった一人で戦い続ける者達23
スマイルが眠る部屋に一同が揃った
皆はお互いに顔を見合わせ 頷き合った
Broooockがぬいぐるみのスマイルを 器の上に置いた
Broooock
Broooockが呟くと ぬいぐるみを中心に魔法陣が展開された
ぬいぐるみが淡く輝き始める
きんときは一つ深呼吸をして 桜の花びらを散らし始め
シャークんに手を伸ばすと
シャークんは きんときの手のひらを掴む
そしてシャークんはきんときに スマイルの気配を伝えた
きんときはその情報を得て ぬいぐるみを見た
シャークん
きんとき
輝いていたぬいぐるみの光が 中に収束した
きんとき
Nakamu
Nakamu
悪魔の瞳を用いて Nakamuはぬいぐるみを見つめる
きんときが視覚化したスマイルの気配に Nakamuは手を伸ばす
Broooock
Nakamuの手は ぬいぐるみの中に入っていった
Nakamu
Nakamu
Broooock
Nakamu
そっと掴んだスマイルの気配を
Nakamuはぬいぐるみから ゆっくりと引き抜いた
それがきらきらと輝いているのは
きんときが 視覚化してくれているおかげだ
本来ならば そこには何も見える事はない
いわばNakamuは今 空気を掴んでいる状態だ
Nakamu
きりやん
Broooock
Broooock
きりやんは器がない状態の魔力の塊を 手のひらにかき集めていた
集中を切らせば 霧散してしまいそうなそれを
Broooockに見せて これで良いかどうか判断してもらった
Broooockはスマイルの気配が 霧散しないように固定している
Nakamu
きりやん
きりやん
Broooock
Broooock
きんとき
きんとき
シャークん
シャークんはきりやんの 手のひらに向けて手を伸ばす
そこにある大きな渦を感じ取った
シャークん
シャークん
きんとき
Nakamu
Nakamu
Broooock
きりやん
きりやんの手のひらの上に集められた 魔力の塊が輝き始める
Nakamu
Nakamu
輝くそれを視認したNakamuは
持っていたスマイルの気配を 魔力の塊に突っ込んだ
それを手放して 勢いよく手を引き抜く
それと同時にきりやんは 魔力の塊に弾かれた
きりやん
Nakamu
きりやん
宙に浮く魔力の塊は きんときによって視覚化されている
どうやら霧散していないようだ
シャークんが感知していた スマイルの気配と魔力の塊が
徐々に混ざって一つになった
シャークん
彼の帰還を誰よりも 待ち望んでいるシャークんが叫んだが
返事はない
もう魔法を使う必要が なくなったBroooockは
魔力の塊を両手で包む
Broooock
Broooockはそれを スマイルの器に寄せた
Broooock
Broooock
Broooock
魔力の塊は スマイルの器に入っていかない
Nakamuが不安げに表情を揺らす
Broooockはくしゃりと顔を歪めた
Broooock
Broooock
Broooockが何度も 魔力の塊に語り掛けるが
魔力の塊は器に入っていこうとしない
Nakamu
Nakamu
きんとき
きんとき
きんときがBroooockの腕を掴むと
魔力を持った腕を 横たわる器に向けて押した
Broooock
抵抗を見せたBroooockに
シャークんの力も加わって 魔力の塊は器へと落とされた
これで魔力の塊は器に宿ったはずだ
しかし――
スマイルは目覚めなかった
Broooockは慌てて スマイルの手を握る
Nakamu
Broooock
Nakamu
Broooock
きんとき
そうして数分待っていると
スマイルはゆっくりと目を開いた
全員
みんなはスマイルに寄って集る
スマイルはゆっくりと周囲を見回した
Broooockだけは スマイルの手を握って俯いていた
シャークん
Nakamu
Nakamu
きんとき
スマイルは何も言わずに 再び目を閉じてしまった
それと同時に Broooockは顔を上げた
きりやん
Broooock
Broooock
Broooock
ぐすっと鼻を鳴らして Broooockはほろりと涙を零した
Broooock
Broooock
Nakamu
Broooock
Broooock
Nakamu
きんとき
Nakamuときんときは顔色を変えた
その言葉から導き出される推論は
スマイルが今自分達と同じ状態に なっている可能性がある
Broooock
Broooock
Broooock
きりやんの顔が強張る
不死のトーテムを思い浮かべて 神の力を使ったのはきりやんだ
Broooock
形のないスマイルの気配を スマイルと呼び
かき集めた魔力の塊に無理矢理 それを入れて魔族として確立させた
Broooock
それをスマイルが使っていた 器に落とし込み
目覚めた彼をスマイルと呼んだ
テセウスの船が テセウスの船たらしめる理由とは
一体何だろうか――?
目覚めた何も知らない彼は
君の名前は スマイルだと教えられて
自らをスマイルだと 名乗り上げるだろう
だが、目覚めたスマイルは
自らをワイテルズのスマイルだとは 名乗らないだろう
彼にそんな過去は 一切存在しないのだから――
シャークん
シャークんは目を見開いた
絆が一つ 解かれた音がした
Broooockは目覚めたばかりの スマイルに様々な事を教えていた
教育係は同じ魔族である 彼に任されたも同然だ
他の四人は別の部屋で 沈んだ表情で各々黙り込んでいた
Nakamuは三角座りをして 膝に顔を埋める
Nakamu
Nakamu
考えて、Nakamuは唇を噛み締める
Nakamu
自分なら喜んでそれを受け入れただろう
どんな形であれ 自分がそこにいる事が大切なのだ
別の自分がいて それがNakamuを名乗るなら
偽物でない限りNakamuはそれを 自分だと認めることができる
それだけでNakamuは自らを 永遠に繋いでいける
Nakamu
Nakamu
Nakamu
Nakamuは彼をスマイルだと呼べるが
スマイルは自らを そう呼んでくれるだろうか――?
きりやん
きりやん
きりやん
きりやんの声に全員が顔を上げた
きりやん
きりやん
きりやん
きりやん
Nakamu
Nakamu
Nakamu
Nakamu
Nakamu
Nakamu
きんとき
かたかたと震えるNakamuを 宥めるように呼んだ
きりやん
きりやん
その答えを吐き捨てたきりやんは 鼻で笑う
Nakamuは悲痛に顔を歪めた
Nakamu
Nakamu
きりやん
きりやん
諦める――
Nakamuはそれを理解した途端
涙をこらえ切れなかった
Nakamu
Nakamu
きんとき
わんわんと泣く Nakamuの背中を撫でる
シャークんは視線を落としたまま 何も喋らない
きりやん
きりやん
きりやん
きりやん
希望を持たない方が
その希望が潰えたときの ダメージが少ないかと思ったが
きりやんは自分にも言い聞かせるように 前向きな言葉を紡いでいた
まだ彼らには
スマイルを失う覚悟ができていなかった
Broooock
スマイル
Broooock
スマイル
Broooock
スマイル
Broooock
Broooock
Broooock
Broooock
スマイル
スマイルは学習能力が高く
一度教えられたことは どんどん吸収していった
それと同時にBroooockを不安が襲う
Broooock
スマイル
Broooock
スマイル
Broooock
Broooock
生まれたての魔族の面倒は Broooockも何度か見たことがある
やってみろとスマイルに言われて
結構な頻度で生まれたての 魔族の面倒を任された
彼らの理解力には 個体差があった事も覚えている
スマイルはその中でも群を抜いて優秀だ
Broooock
スマイル
スマイル
Broooock
Broooock
Broooock
Broooock
Broooock
スマイル
スマイル
Broooock
Broooock
Broooock
Broooockは慌てて 四人を呼びに行った
お通夜空気の部屋に Broooockが飛び込んできて
皆は驚いた
Broooock
Broooock
きりやん
Broooock
Broooock
Broooock
Broooock
きりやん
きりやん
Broooock
Broooock
きりやん
きりやんが立ち上がって
それに倣ってNakamuときんときも 立ち上がってBroooockについていく
そこにはシャークんだけが取り残された
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