ロー編
—クリスマスイブ—
“少し遅れる “
そう彼から送られて来たのは今から7分前のこと。
さき
今日は12月下旬の冬真っ只中。
冷め切った手に吐息をかけて暖まりながら彼を待つ。
実を言うと、面と向かって会うのはかれこれ1ヶ月ぶりだ。
さき
さき
なんてことを考えて1人苦笑する。
彼——ロー先輩は、
一言で言うとクールだ。
だから1ヶ月そこら合わないなんて、容易いと思う。
こんなことを考えたら失礼だし、虚しいだけだけど。
さき
ふと、手に冷たくて柔らかいものが触れた。
今年の初雪だった。
さき
クリスマスイブにぴったりだなんて思ったりした。
さき
姉と1時間かけて考えたデート服。
姉の服を借りたのは先輩には内緒。
さき
さき
さき
先輩は完璧人間みたいな感じだ。
メッセージを確認する時間も惜しいほどの多忙な日々を送っていると思う。
なのに予定を空けてくれたのは、先輩の優しさだ。
さき
さき
カバンからスマホを取り出し、ロックを解除しようとした時。
ロー
聞こえた。
聞き慣れた声が。
大好きな声が。
胸がギュッと締め付けられた。
さき
見上げると、先輩がいた。
当たり前のようにカッコいい。
というか、理由は分からないがなんか恥ずかしい...
さき
ロー
さき
ロー先輩は何も言わない。
私に会えて嬉しくないのかな。
さき
ギュッ
ロー
さき
さき
決して人通りが少ないとは言えない道の真ん中で、
先輩に抱きしめられた。
ロー
ロー
さき
さき
嬉しくて、胸が踊った。
先輩がこんなに甘いなんて考えもしなかったから。
ロー
ロー
さき
さき
ロー
先輩は私の肩にその小さな顔を埋めた。
ロー
さき
さき
なんか今日の先輩、やけに甘いな。
調子狂う....
さき
ロー
さき
あぁ、これ多分
月に1回の甘えモードだな。
さき
ロー
さき
ロー
ロー
ロー
さき
ロー
先輩が1人で歩いて行ってしまったので、
すかさず後に続く。
さき
ロー
さき
ロー
先輩は前を向いていて、表情が見えない。
ロー
さき
勝手にしろ。というのは
いわゆるOKという意味である。
さき
ロー
さき
ロー
さき
さき
ロー
さき
さき
先輩は帽子を深く被り直している。
照れている時のクセだ。
さき
さき
ロー
さき
ロー
ロー
さき
さき
さき
ロー
ロー
さき
さき
納得がいかず、先輩にバレないように口をタコにしている私であった。
さき
ロー
ロー
さき
指されたのはいかにもフカフカそうなソファ。
従順な犬のようにそのソファに腰掛ける。
さき
さき
先輩、ちゃんとしてるなぁ....なんて考える私は大雑把人間である。
さき
部屋をゆっくり見渡してみる。
髪の毛1つない床に、
綺麗に整頓された本棚。
あまり家具が多くない部屋は、何故だか広く寂しく感じた。
さき
根拠のない偏見を立てていると、
廊下から足音がした。
さき
さき
ロー
さき
残念。なんてことを口で漏らしている間に
先輩は私の目の前まで来ていた。
さき
先輩は、目つきの悪い目で私のことを見下ろしている。
さき
何を考えているのかさっぱり分からずにぼーっとしている。
その時だった。
ギシッ....
先輩が、座っていた私に跨るようにソファに乗った。
さき
さき
さき
ロー
ロー
先輩は持ち前の長い足を私の背中の後ろで組んだ。
これで逃げる事は出来ない。
さき
さき
ロー
さき
まずい。
私の心臓が持たん...
さき
さき
さき
ロー
スス...
先輩の手が、私の頰に添えられた。
さき
さき
心臓の音が今にも聞こえそう。
ロー
さき
ロー
さき
嫌いになるわけがないじゃないですか...
さき
ロー
ロー先輩が私を見つめる。
それだけで心臓が破裂しそうなくらいに高鳴る。
ロー
さき
さき
さき
さき
先輩は照れ臭そうに咳き込むと、
何度も言わせるな。と言って濁す。
さき
さき
ロー
今日は先輩だけじゃなくて、私もおかしいかもしれない。
気づいたら先輩の首後ろで腕を組んでいた。
さき
ロー
さき
ロー
ロー
さき
さき
ロー
さき
ロー
先輩は照れ臭そうに頷いた。
珍しく先輩が押されている。
さき
ロー
そう言うと、先輩は私の両頬に手を添えた。
覚悟を決めたように生唾を飲み込み、
そのままゆっくりと顔を近づける。
チュ....
唇同士が触れ合うだけのキスだった。
さき
さき
さき
ロー
先輩も顔を赤らめていた。
さき
ロー
さき
ロー
ロー
さき
さき
ロー
さき
先輩は嬉しそうに笑っている。
ロー
さき
ロー
さき
慌てふためく私を見て、先輩はククッと意地悪な笑い方をする。
そういうとこ、ずるいです。
でも私、
先輩のずるいとこ
大好きなんですよ。
コメント
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主からのクリスマスプレゼントです🎁 (正直なところ、急いで書きました...笑) 正月にも何か上がるかも? 楽しみにしていてください〜✌️