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ロー編

—クリスマスイブ—

“少し遅れる “

そう彼から送られて来たのは今から7分前のこと。

さき

....う〜、さむ....

今日は12月下旬の冬真っ只中。

冷め切った手に吐息をかけて暖まりながら彼を待つ。

実を言うと、面と向かって会うのはかれこれ1ヶ月ぶりだ。

さき

(私は死ぬほど寂しかったんだけど...)

さき

(先輩に限ってそんなことはないか)

なんてことを考えて1人苦笑する。

彼——ロー先輩は、

一言で言うとクールだ。

だから1ヶ月そこら合わないなんて、容易いと思う。

こんなことを考えたら失礼だし、虚しいだけだけど。

さき

..........あ

ふと、手に冷たくて柔らかいものが触れた。

今年の初雪だった。

さき

(雪降って来た....綺麗)

クリスマスイブにぴったりだなんて思ったりした。

さき

(あ、でも服汚れちゃうな)

姉と1時間かけて考えたデート服。

姉の服を借りたのは先輩には内緒。

さき

(.....ロー先輩、遅いなぁ)

さき

(連絡した方がいい...?)

さき

(でも見てくれるのか....?)

先輩は完璧人間みたいな感じだ。

メッセージを確認する時間も惜しいほどの多忙な日々を送っていると思う。

なのに予定を空けてくれたのは、先輩の優しさだ。

さき

..............

さき

(....はやく、会いたいのに)

カバンからスマホを取り出し、ロックを解除しようとした時。

ロー

....おい

聞こえた。

聞き慣れた声が。

大好きな声が。

胸がギュッと締め付けられた。

さき

....ロー先輩!

見上げると、先輩がいた。

当たり前のようにカッコいい。

というか、理由は分からないがなんか恥ずかしい...

さき

....会いたかったです

ロー

...........

さき

........先輩?

ロー先輩は何も言わない。

私に会えて嬉しくないのかな。

さき

先輩、どうかしま....

ギュッ

ロー

............

さき

.....へ

さき

!?先輩、ここ外.....

決して人通りが少ないとは言えない道の真ん中で、

先輩に抱きしめられた。

ロー

うるせェ

ロー

.....何日会わなかったと思ってんだ

さき

..........!

さき

(先輩も、私と同じこと考えてたんだ....)

嬉しくて、胸が踊った。

先輩がこんなに甘いなんて考えもしなかったから。

ロー

............

ロー

....遅くなって悪かった

さき

全然気にしてませんよ

さき

先輩に会えるなら、なんだってしますから

ロー

........

先輩は私の肩にその小さな顔を埋めた。

ロー

....会いたかった

さき

......え

さき

(え、えぇ!?.....)

なんか今日の先輩、やけに甘いな。

調子狂う....

さき

あ、はい....それは私もですけど.....

ロー

....すげェ会いたかった

さき

...え、えっと.....

あぁ、これ多分

月に1回の甘えモードだな。

さき

先輩、とりあえず行きましょうよ

ロー

....どこに?

さき

え、今日は先輩の家でパーティーじゃないんですか?

ロー

....お前

ロー

年頃の男の家に上がりたいなんて

ロー

どうかしてんな

さき

...!?そそそそういうことじゃないですっ

ロー

まァいい

先輩が1人で歩いて行ってしまったので、

すかさず後に続く。

さき

せんぱーい

ロー

なんだ

さき

手繋いでもいいですか?

ロー

..............

先輩は前を向いていて、表情が見えない。

ロー

....勝手にしろ

さき

勝手にしろ。というのは

いわゆるOKという意味である。

さき

ふふ....へへへ

ロー

何笑ってんだ

さき

だって、今日の先輩甘いんですもん

ロー

はぁ?

さき

いつも”公共の場でイチャつくのは嫌いだ"

さき

って言ってるじゃないですか

ロー

............

さき

......ん?

さき

あれ、あれれ?

先輩は帽子を深く被り直している。

照れている時のクセだ。

さき

......先輩

さき

もしかして、照れてる?

ロー

....うるせェ

さき

照れてんだ〜、可愛い

ロー

......さき屋

ロー

お前....敬語はどうした

さき

....あ

さき

(わ、忘れてた....調子乗りすぎた?)

さき

ご、ごめんなさい

ロー

それでいい

ロー

お前が俺にタメ口なんて10年早ェ

さき

....むー.....

さき

(せっかく先輩をからかえたと思ったのに)

納得がいかず、先輩にバレないように口をタコにしている私であった。

さき

お邪魔しまーす

ロー

さき屋

ロー

そこに座って待ってろ

さき

あ、はい

指されたのはいかにもフカフカそうなソファ。

従順な犬のようにそのソファに腰掛ける。

さき

(先輩、部屋の方に行ったけど....)

さき

(着替えかな?)

先輩、ちゃんとしてるなぁ....なんて考える私は大雑把人間である。

さき

(部屋もめちゃくちゃ綺麗に整頓されてる...)

部屋をゆっくり見渡してみる。

髪の毛1つない床に、

綺麗に整頓された本棚。

あまり家具が多くない部屋は、何故だか広く寂しく感じた。

さき

(先輩絶対A型でしょ)

根拠のない偏見を立てていると、

廊下から足音がした。

さき

..........あ

さき

先輩、コート脱いだんですね

ロー

....あァ

さき

好きだったんだけどな〜

残念。なんてことを口で漏らしている間に

先輩は私の目の前まで来ていた。

さき

........先輩?

先輩は、目つきの悪い目で私のことを見下ろしている。

さき

..............?

何を考えているのかさっぱり分からずにぼーっとしている。

その時だった。

ギシッ....

先輩が、座っていた私に跨るようにソファに乗った。

さき

....え

さき

え......!?

さき

ちょちょちょ...!?何してるんですかっ

ロー

...別に

ロー

ソファに乗っただけだが

先輩は持ち前の長い足を私の背中の後ろで組んだ。

これで逃げる事は出来ない。

さき

せせせ先輩!??

さき

おおお下ろしてください...

ロー

断る

さき

えええ.....

まずい。

私の心臓が持たん...

さき

せ、先輩.....

さき

どうしたんですか?

さき

なんか今日おかしいですよ.....

ロー

................

スス...

先輩の手が、私の頰に添えられた。

さき

(え、え!?なになに....?)

さき

(私をキュン死させる気ですか!?)

心臓の音が今にも聞こえそう。

ロー

....嫌か?

さき

........え?

ロー

俺のことが嫌いになったか?

さき

....え、えええ?

嫌いになるわけがないじゃないですか...

さき

嫌いになるわけないですよ

ロー

......じゃあ

ロー先輩が私を見つめる。

それだけで心臓が破裂しそうなくらいに高鳴る。

ロー

...キス......していいか

さき

............

さき

.....ん?

さき

え、今なんて言いました....?

さき

(先輩からは死んでも聞かないようなセリフが聞こえた気がしたんだが)

先輩は照れ臭そうに咳き込むと、

何度も言わせるな。と言って濁す。

さき

ロー先輩.......

さき

....もしかして、キスって......

ロー

っ........

今日は先輩だけじゃなくて、私もおかしいかもしれない。

気づいたら先輩の首後ろで腕を組んでいた。

さき

先輩.......

ロー

.............

さき

キス.....しましょ?

ロー

.......は?

ロー

おま、何言って.....

さき

私だって、ずーっと先輩に会いたかったんですからね

さき

キスだってしたかった

ロー

............

さき

だから、しましょ

ロー

............

先輩は照れ臭そうに頷いた。

珍しく先輩が押されている。

さき

先輩からしてくださいね

ロー

....分かってる

そう言うと、先輩は私の両頬に手を添えた。

覚悟を決めたように生唾を飲み込み、

そのままゆっくりと顔を近づける。

チュ....

唇同士が触れ合うだけのキスだった。

さき

...........

さき

(ああは言ったけど)

さき

(いざキスすると恥ずかしいな...)

ロー

..............

先輩も顔を赤らめていた。

さき

.........先輩

ロー

................

さき

好きです

ロー

.......あ?

ロー

なんだ、急に

さき

急じゃないです

さき

ずっとずっと思ってることです

ロー

....そうか

さき

え?なんで笑ってるんですか?

先輩は嬉しそうに笑っている。

ロー

....俺もだ、さき屋

さき

........へ

ロー

お前のことが好きだ

さき

(な、ななななな!!?)

慌てふためく私を見て、先輩はククッと意地悪な笑い方をする。

そういうとこ、ずるいです。

でも私、

先輩のずるいとこ

大好きなんですよ。

ずるい先輩の短編シリーズ💖

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