黒
黒
黒
黒
黒
ザクッ
黒
ヒトは最後になると 急に価値観が薄れて見える
言いたいことなんて、普段なら 山ほどあっただろう
黒
これで何人目かも分からない相手に
これで何回目かも分からない作業をする
血を拭い、切られた皮膚に小さなサイコロ
サイコロには、番号が付いていない
ただの白い正方形、と言ったところか
黒
それを埋め込んで、縫い付けたら終わり
黒
黒
正しい道を歩け」
そう言い放って
【規則正しいダイスの様に】
神がダイスを振るときは
次は奇数か偶数か
黒
きゃぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁ
黒
夜中に響いた悲鳴
ドンッ ガラガラ、バリンッ
それに続いた音
黒
この街ではこんな事日常茶飯事
殺人、強盗、通り魔、空き巣
物騒な世界に生まれたのが 間違えだったな
黒
_「だすげて、っ"」_
バンッ パリン
黒
気がついたら足は動いていて
黒
黒
首突っ込みたくないねんけどな、
さてどうしようか、と考えていると
「殺してやる!!」
黒
あれから何が起こったのか
何も分からなかった
何も覚えていない
黒
ただどうしようもなく腹が立って
気づけば体は動いていたんだ
良かったんだ!!!
投げられた皿は額に当たって 音を立て割れる
青
思ってんのか!
何も悪い事なんか、してないのに
罵倒されながら殴られて、蹴られて
痛い、痛い、痛い
髪の毛を強引に掴まれて。
何も抵抗は出来なかった
青
こぼれ落ちる涙に理由なんてない
死ねるもんなら死んでやると
考えなかった日なんてない
殺してやる
殺す、殺す、か
青
青
青
青
青
さっさと殺せよ!
青
殺せばいい
青
青
青
青
殺せよ!
引き攣った顔が凄く惨めで
青
青
こんなもんなのか、人間は
呆れて部屋を出ようとしたその時
バンッ
青
静かな銃声が目の前で鳴った
整った顔は返り血で濡れていて
その目は充血していた
銃弾はアイツの腹に直撃している
出血部分を抑えて 黒髪の人を睨みつけた
銃を握られた手は震えていて
酷い怒りに燃えている様だった
青
その時の光景は 今でもしっかり覚えている
キラッ
腰に着いたボディーバックから ナイフを取って
ザグッ
だらだらと首から血が流れる
泣いて縋るアイツと
冷ややかな目を向ける黒髪の人
その素早い手つきは
美しくて、恐ろしくて
心臓を抉られたような、 衝撃を受けた
青
濁りのない、真っ直ぐな目
青
しばらく、見蕩れたように見つめた
しない、よ、な、?
青
ギラリと光るナイフは、俺には怖くなかった
青
青
グシャッ
青
後ろからパタパタと焦った声が飛んでくる
黒
黒
振り向かずにそう言うと
グイッ
黒
青
強く手首を引っ張られた
抵抗出来ずに、青髪の彼を見つめる
青
美しい顔は、痣や切り傷だらけで
体は酷く痩せていた
青
青
黒
直ぐに断ろうと思った
足でまといになるだけ、だと
それでも
青
教えてください。
青
青
「俺を連れてって、ください」
過去の自分と合わさって、
青
傷だらけなのも、親がいないのも
全部全部、一緒に見えて、
黒
黒
なんで?ええの?
青
青
技を
教えてください
濁りのない瞳に、何も言えなくなった
なら、質問をしよう
黒
青
黒
唐突な質問に、少し キョトンとした顔
青
申し訳なさそうに彼は答える
黒
その振る舞いが過去の自分に痛いほど 似ていて
自然と口元が緩む
青
その変化に気がついたのか、 彼は驚いた顔をして。
俺より背の高い彼は 掴んだ腕に少し力を加えた
青
「悠佑」は少し満足そうに笑った
黒
青
黒
「if」
黒
黒
未来を見ていてほしいから
もしも明るい世界なら
もしも愛する人が出来たなら
黒
考えてほしいから)
青
黒
青
ございます、ギュゥ
黒
初めての温もりに、同様してしまって
でも凄く、暖かくて。
黒
青
悠佑さん、っ
_The second Alice_